SHAREtenjincho

東京都新宿区
写真 © Kaoru Yamada
写真 © Kaoru Yamada
写真 © Kaoru Yamada
写真 © Kaoru Yamada
写真 © Kaoru Yamada
写真 © Kaoru Yamada
建築家
空間研究所/篠原聡子
場所
東京都新宿区
2021

シェアハウスとは、どのような住まいなのだろうか。
コロナ禍の中で、住まいのあり方は揺らいでいる。

この時期に他人が集まって暮らすなどあり得ないという声も聞かれる。新型コロナウイルスの感染経路でいちばん多い家族内感染は看過されても、シェアハウス内で複数人が感染したなら、クラスターと言われるだろう、単身者の住まいの選択肢として定着したシェアハウスだが、ひとたび危機的な状況になると人は保守的になり、やはり優先すべきは家族、ということになる。しかし、家族という戻る場所がいつもあるとは限らず、すでに基本単位はひとりであることも忘れてはならない。
シェアハウスに対する周囲の視線は、中でどんな人たちが集まり、何をやっているのか分からないなど、いまだに厳しいものがある。確かにシェアハウスは流動的な住まいである。居住者も入れ替わるし、新しい居住者によってコミュニティのあり方も変わる。しかしコロナ禍を経験してみれば、安定的で、しかし硬直しかねない家族の硬い住まいに対して、関係の流動的なシェアハウスは柔らかな住まいと位置付けることもできよう。

SHAREtenjinchoを柔らかな住まいにする建築的な仕掛けは主としてふたつある。ひとつは全体のメインフレームである。鉄筋コンクリートのラーメン構造で、2階から上階は2層でひとつの大フレームになっており、その中に鉄骨造の空間が挿入されている。大フレームのところどころに開けられた吹き抜けを通じて、他の階と視線が交錯することになる。層間で関係性が分断され、住人間の関係性を階の中に閉じ込めないように、階を超えた大きなスケールを感じる構成になっている。

流動的な関係性を内包するシェアハウスのもうひとつの役割は、住人にとって場所へのアンカーになるということである。住人はSHAREtenjinchoを通して場所と繋がり、ご近所の人びとはSHAREtenjinchoを通して住人を受け入れる。
バルコニー、それを繋ぐ梯子階段とそれを覆う金網手すりや壁にくくられたプランターは、住人がファサードに関わる仕掛けである。これらは、個室とランドリールームやキッチン、ダイニングなどを縦に繋ぐ立体路地でもある。梯子階段を行き来したり、プランターの世話をしたりなどの住人の行為がこの建物の柔らかな表情をつくる。

また、3階より上はシェアハウスであるが、2階はコワーキングスペース、1階は食堂といった複合的なSHAREtenjinchoを、この立体路地が接地階から屋上まで繋いでいる。同時に、この梯子階段はバルコニーと避難ハッチという集合住宅の必須アイテムからなるファサードをシェアの景色に転換する装置になっている。
大フレームの吹き抜けも、梯子階段も利用者や住人同士が繋がる仕掛けではあるが、当然そこにはルールが必要で、暮らしながら、使いながらそのルールを順次つくる必要がある。それは、結構面倒なことでもある。しかし、シェアする暮らしというのは、その生成的なプロセスにこそ、柔らかな住まいとしての本質がある。ファサードを彩る緑は、刻々とその生成のプロセスを街に伝えることになるだろう。

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