上北沢のコートハウス
Takeshi Hirobe
25. 4月 2024
All photos by Neoplus Sixten Inc.
廣部剛司建築研究所による東京都世田谷区の「上北沢のコートハウス」レポート。中庭を重視した計画で、そこから光を取り込むのは当然として “その先のグラデーション” をどのように表現するか、開口や素材を探求した住宅。
Court House in Kamikitazawa, Tokyo
もともとあった大きな土地を四分割した角の敷地。北と西に接道面があるので採光は西側からとなる。その西面を活用したいため車庫は北側となるが、スペース効率のため車は縦列駐車する方法で車庫へ進入する。
1階の外壁はSOLIDO、2階はジョリパットで明確に仕上げと色を変えた。これは屋内でも同様に1・2階で表情を変えてあることを示唆する。
門扉をくぐると間口一杯に取った中庭 (コート) となる。手前から駐輪場、ポーチ、テラスを配置。
玄関。左手の玄関収納に仕切りを設けなかったのでかなり広いスペースに。
右手がLDKに通じ、中央がトイレ。
車庫との取り合いで菱形になったトイレだがきれいにまとめられている。
LDK。左のダイニング・キッチン側は暗い色で抑え、リビング側は吹き抜けとテラス、上と外に開放する。
吹き抜けにハイサイドライトを設け、目一杯の採光面としている。ご覧のように西日が室内の奥深くまで入り込むので遮熱効果の高いLow-Eガラスを採用し、さらに電動ブラインドも備わる。
鴨居にはプロジェクタースクリーンが収まっており、左のAVラック上部に格納されたプロジェクターから斜めに投影されるそうだ。
1階の引戸もLow-Eガラスが嵌められており、室内側には網戸としても機能する和紙のメッシュを張った引戸もある。
吹き抜け上部は子供室とフリースペースに通じている。
和紙メッシュの引戸はレースカーテンのような透過性がある。
施主から「周りを気にせず使えるテラスが欲しい」との要望があった。リビングの床レベルを上げて座れるようにし、1階階高まで上げた塀と、いつでも座れるベンチを作り付け、リビングを延長した外部スペースとなっている。
反対側には水盤を設けた。小川のせせらぎを思わせる清涼な音が聞こえる。
ダイニング・キッチン。リビング側で吹き抜け空間とする場合、ダイニング・キッチンの天高を抑えることが多いが、ここでは天高を約2.9mとむしろ高めに設定して、1階を大きな気積で家族がおおらかな空間に集まるようにしてある。(後述するが2階はその逆となる)
約11mの奥行きがあるLDK。
ダイニングテーブルはCassina、チェアとソファはTime and Styleのものを選んだ。
南側の壁一面に貼られた大理石は光沢の無いマットな磨き仕上げ。アンモナイトや珊瑚の化石が見える。
キッチンはシンクを中央にレイアウトしたアイランドと、向かい側にIHコンロ。冷蔵庫はmabe。
正面奥は階段下を利用したパントリーや収納、ニッチで、車庫側の収納が入れ子状にもなっている。
2階。1階の大きな気積にグレートーンの空間に対して、2階は家族5人の個室に細かく分けたホワイトトーンの空間。
階段の手摺りには間接照明が備わる。
隣家が迫るため各室の壁面開口は抑え、その代わり3ヵ所のトップライトから光を取り込むためのハイサイドライトが各室に設けられている。
主寝室。奥にトップライトと、左上は廊下のトップライトから採光するハイサイドライト。
子供室。将来分割できるようにはしたが、双子の女の子用なのでそのまま使われるかもしれない。
廊下に2つのハイサイドライトと吹き抜けに面した開口。写真では見えないが南側 (左) は隣家と視線が合わないように腰壁の高い控え目な開口もある。
切り取られる外からの間接光
水回りでも同様の採光。
黒っぽい床は炭化コルク。
5.5畳の畳敷きの客間。
廊下の奥は吹き抜けに面したフリースペース。子供たちの遊び道具が収納できるベンチを作り付けた。また転落防止に手摺りを高くした。
外光が様々な方向からホワイトトーンの内装に複雑なグラデーションをつくっている。
そして1階ではグレートーンの中に柔らかな光のグラデーションを描いている。
廣部剛司さん
「都市住宅における『光』がテーマでした。まずは光をうまく取り入れることからスタートしていくことが多いけれど、この住宅では『その先のグラデーション』をどうつくるか、という点にかなりの時間を割きました。どんな素材がそれに重なっていくのか、ディテールはどうあるべきか。その探求は終わることのない問いかけを常にもたらしてくれます。」
【上北沢のコートハウス】
Court House in Kamikitazawa
設計・監理:廣部剛司、牧野里咲/廣部剛司建築研究所
構造設計:構造設計工房デルタ
施工:匠陽
用途:専用住宅
構造規模:木造 地上2階建
敷地面積:177.52 ㎡
建築面積:101.278 ㎡
延床面積:231.064 ㎡
Posted by Neoplus Sixten Inc.
Court House in Kamikitazawa
設計・監理:廣部剛司、牧野里咲/廣部剛司建築研究所
構造設計:構造設計工房デルタ
施工:匠陽
用途:専用住宅
構造規模:木造 地上2階建
敷地面積:177.52 ㎡
建築面積:101.278 ㎡
延床面積:231.064 ㎡
Posted by Neoplus Sixten Inc.