サイセイ展

Toyoaki Kamimoto / Saisei Laboratory
4. 3月 2023
All photos by Neoplus Sixten Inc.
展覧会コンセプト:
日本は更新、開発により限られた土地の中で高密度な都市を構築しつづけてきました。いま、飽和状態にある都市のストックがポストコロナにおいて、更新型の都市づくりに限界を迎えています。これからは「壊して更新する文化」から「残して再生する文化」へ移行していくべきだと感じています。
それは何も全てを改修により保存、延命させようとすることではありません。新築、既存改修問わず、その場所の記憶や文化を読みとき、佇まいやまとう空気を引き継ぎながら、生まれ変わる状態を「サイセイ」と呼んでいます。
私たちは建築設計という職能を超え、エリアや建物全体の価値を高めることができる「サイセイ」という概念が、日本の新たな文化になることを目指しています。
サイセイ展ではこの概念を軸に、どのように都市や建築と向き合っていくのか、皆さんと対話するきっかけとなればと思います。是非ご覧ください。
〈表参道ミナガワビレッジ〉
再生建築研究所が飛躍するきっかけとなったプロジェクト。増築を繰り返し4棟からなる検査済証もなく、既存不適格の物件だったため、どのデベロッパーも解体・新築を提案した。しかしオーナーは思い入れのある建物や庭をどうにか残せないかと望んでおり、デベロッパーから神本さんに相談があった。
神本さんたちはオーナーの思いや、土地の記憶を継承しながら、検査済証を再取得し、かつ不動産価値も上げたオフィス・カフェへと再生した。

再生建築研究所では、「面倒なため」多くの場合解体→新築してしまえとなってしまうような案件を何とか再生できないかと試行錯誤し、「違反物件の適法化」、「テナントに居ながら再生計画」、「意匠性・商品性を担保した補強計画」、「既存不適格を生かした収益性の向上」、「新築同等の環境性能」など建物の寿命を延ばし再生を文化とすべくこれらの問題を解決に導く。
〈BEPPU SCALE〉
別府市で進行中のホテルを中心とした地域活性プロジェクト。地域のコンテクストを丁寧にリサーチし、地域に馴染むホテル〈アマネク別府ゆらり(新築/2021)〉と〈アマネクイン別府(改修/2021)〉、ホテルの開業準備室→ギャラリー→飲食店と段階的な活用を想定した木造店舗〈旧エルザ(改修/2021)〉の設計をしつつ、訪れた観光客がホテル内で全て完結しないように、周辺の商店街も改修し、サービスやアクティビティを分散させ地域をサイセイする試み。
〈仮称:鶴野邸・宮崎製袋ビル再生計画〉進行中/株式会社ワクトとの共同設計
日本橋浜町エリア街づくりプロジェクトの一環。オーナーが同じ木造(左)とRC造(右)の小さなビルが並んでいる。RC造ビルにサウナ施設を作りたいという依頼だったが、サウナを作るには避難経路を増やす必要があった上に、木造(左)の鶴野邸は、図面が一切残っておらず行政資料に記載された延床面積・敷地面積と現況の面積に齟齬があったため減築による是正が求められた。そこで、木造ビルを減築した上で耐震補強し、減築した部分にRC造ビルの為のバルコニー付き鉄骨屋外階段を増築し適法化、2棟隣合わせの建物らを、敷地境界の垣根を超えて地域と建築を接続させる再生計画。
その鉄骨階段部分のスタディー模型と、展示台は木造ビルを減築した際に出た廃材。会期終了後は本計画建物に半公共的なベンチとして加工され設置される予定。
壁面では、各プロジェクトの背景となる事象を断片的にまとめ、相対化することで、再生建築研究を行っている。
〈新中野豊国ビル〉進行中
新築時の容積率をオーバーしている違反状態、且つ耐震強度不足のオフィスビルを減築しながら適法化と耐震補強する。南北の外壁をセットバックすることで減築した部分は、外部環境であるバルコニーとして豊かな職場となるよう不動産価値も高める再生計画。
ギャラリー中央に置かれた展示台は、現在再生中の物件から出た廃材を集め、什器として再生している。
〈神田錦町オフィスビル再生計画〉2022
吹き抜けがもたらす公共的余白。同一オーナーが所有するビルの間に建つ築53年の既存不的同建築を、そのオーナーが取得し、適法化や耐震補強をしつつ、自社が管理を行うビルに設けていた公開空地を連続させ、街づくりに活用するプロジェクト。
容積率オーバーで違反状態であったため、床を1/3減築させ適法化し、4層の “吹き抜けピロティ” を設け、分断されていた公開空地の風通しや人通りを可能とし、地域に再生文化生み出すきっかけとする。
〈東郷記念館〉2022/フジワラテッペイアーキテクツラボとJV
東郷神社の境内に位置する結婚式場の再生計画。神社の創建当時から大切に残されてきた神池や桜への眺望を妨げないように、かつ新しい居場所となるアウトフレームの耐震補強を行った。
〈大分の住宅〉
高低差約10mの傾斜地に対して、土地や擁壁と切実に向き合いながら、住宅に不向きな土地をサイセイする新築住宅計画。斜面に沿うように躯体をつくり、土地に住む為の大屋根をかけたコンセプト模型。
〈納屋プロジェクト〉
都心でありながら緑豊かな環境の中、様々な建築家が手掛けた建築群や昔からある木造母屋・蔵に囲まれた空地に、エリアの共用部・レンタルスペースを新築する。周辺の建物や庭と関わり合いながら、土地の巡りをサイセイするような計画を構想中。
神本豊秋さんと、チーフの飯島康太郎さん。
「敷地を都市スケールで捉え、建築家が仕組みや座組をコントロールすることで、世界観や空気感を大切にすることに特化した私達の仕事が垣間見られる機会となっています。」と神本さん。
【サイセイ展 – 再生建築研究所】
会期:2023年2月4日-4月22日
開廊時間:平日10:00-18:00 土曜 11:00-18:00
入場:無料
会場:プリズミックギャラリー(東京都港区南青山4-1-9 1F)
詳細:www.prismic.co.jp/gallery/works/?p=3494

ギャラリーツアー:
・(スタッフ)3月11日、15:00頃〜
・(神本)3月22日/16:00〜17:00、29日/13:00〜14:00


Posted by Neoplus Sixten Inc.

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