アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth

Ensamble Studio
29. 6月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.

6月24日からTOTOギャラリー・間で開催の「アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth」レポート。“大地(Earth)は素材だ”。大地をとめどなく搾取できる資源ととらえる考え方を超えて、土地や地形をよりいきいきと活かすことができる可能性を示す。[Ensamble Studio: Architecture of The Earth, exhibition in Tokyo, venue: TOTO GALLERY·MA]

地球規模の視点と、自然と響きあうような力強い造形、独自の構法を軸に、建築の可能性を追求するアンサンブル・スタジオ日本で初めての個展
アンサンブル・スタジオは、アントン・ガルシア゠アブリル(左)と、デボラ・メサ(右)が主宰する職能横断型チームとして、スペインのマドリードで2000年に設立。スペインとアメリカを拠点に活動する彼らは単に建物のデザインを行うだけでなく、実験を通して自らの手で考え、建設方法まで考案することにより、他に類を見ない革新的な建築を生み出してきた。(Photo: Ensamble Studio)
展覧会コンセプト
“Architecture of The Earth

大地(Earth)は素材だ。
私たちが暮らし、変化をもたらす場所でもある。
大地から建築をつくることもできる。
大地は、それ自体で存在しているものでもある。
あるいは、その表面をならすこともできる。

岩に刻まれた古代のモニュメントの痕跡やその建造物、周囲を取り巻く素材に秩序を与えているヴァナキュラーな建築群、ランドアートや土を使った作品などは、大地をとめどなく搾取できる資源ととらえる考え方を超えて、土地や地形をよりいきいきと活かすことができる可能性を示している。

「Architecture of The Earth」では、アンサンブル・スタジオが過去20年間に行ってきた、一連のリサーチや専門的なプロジェクトを紹介する。異なる時期、異なる場所、そして異なる理由のために展開されながら、それらはすべて「建築」と「地球(The Earth)」の関係、あるいは私たち人間が環境に及ぼす影響について熟考する機会を与えてくれる。地形を読み取り、再び活用し、その堅い表面を補強し、あるいは型枠として利用し、場所のもつ自然の力を利用し、相乗効果を生み出しながら、構築物をつくっていく。
地質上のさまざまな作用に学びながら、アナログな施工方法を開発し、新しい建築言語を見い出しながら、私たちの想像力は探究する価値のある未知の領域へと開かれていく。

各空間がそれぞれのテーマ、「アイディアラボと中庭(リサーチ&デザイン)」「オーディオビジュアルランドスケープ(施工)」のもとで展開される。アイディアから実現化へ、そして再びアイディアへと巡る旅の道のりである。そして、それは現在も続き、「終わることのない冒険」というテーマを表す循環である。”
3階では模型を通じて彼らのアイデアを紹介。彼らが「カン・テラ(大地の家)」と呼ぶ実験室的なアトリエで、構想、検討、制作してきたテーマ「Architecture of The Earth」について紹介されている。
会場に入って左手、最初のモニターにはアンサンブル・スタジオ20年のタイムライン。そのまま壁沿い右回りに〈ランドスケープの構造体〉の模型が並ぶ。
〈ランドスケープの構造体/Structures of Landscape/2016〉
アメリカモンタナ州にある、広大な原野を敷地とするティペット・ライズ・アートセンターに設置または計画中のシリーズ作品。(Photo: Iwan Baan)
〈ベアトゥース・ポータル(ベアトゥース山脈への門/Beartooth Portal〉
〈インバーテッド・ポータル(裏返された門)/Inverted Portal〉
〈ドーモ(丸屋根)/Domo〉
会場の動画でも確認できるが、これらは大地に土を盛り、そこに穴を掘り、穴に剥離シートを敷き、配筋し、コンクリートを流し込み、大地そのものを型枠として用いる。その後重機で掘り起こしてそのまま構造体となって立ち現れる。上記の〈門〉2作はクレーンで持ち上げ2つ塊を寄りかからせ固定する。
〈ポンテ(橋)/Ponte〉
展示台は石のように見えるが全て発泡スチロールで、カン・テラの土がすり込まれて表情を出している。
〈レティクラ/Reticula〉
展示室の中央に浮かんでいるのは〈コンセプトモデル/Concept Models 2019-2021〉の数々。
これらは、用途や縮尺なども特定されずに生み出されたもので、後から、プロジェクトにマッチするものがピックアップされ、建築的スケールや、ときに都市的スケールへ拡大されていく。
〈砂漠の岩/Desert Rocks/2020〉
サウジアラビアの美術館のコンペに出された作品。上記のようなコンセプトモデルを制作後、具体的な敷地が決まって、具体的なプロジェクトへと進行した。
複数の施設の一つ〈バザール/Bazaar〉
アートセンターや、ビジターセンター、リゾート施設など。
〈ランドスケープの塔/Towers of Landscape〉中庭には連作が4点。
ビルにも見えるが、あくまでも様々な可能性を探るコンセプトモデル。枯山水をイメージした空間にしたので、そのように眺めて欲しいそうだ。
〈掘り込まれた塔/Excavated〉
〈溶解する塔/Melted〉
〈3Dグリッドの塔/3D Grid〉
〈積層する塔/Layered〉
4階は〈オーディオビジュアルランドスケープ〉
3つの作品が映像で紹介されているが、1つの作品につき、左がリサーチ、正面が施工、右が実際に使われている様子が映し出されている。

こちらが〈カン・テラ(大地の家)/Ca'n Terra/2020〉スペイン、メノルカ島の採石場跡をそのまま使った、アトリエ兼住居。本展の展示作品は、ここで実寸大の展示空間をシミュレーションをした上で輸送されてきた。
〈トリュフ/The Truffle/2010〉
アンサンブル・スタジオが一躍知られるきっかけとなった作品。
〈トリュフ/The Truffle〉
(Photo: Iwan Baan)
〈ランドスケープの構造体/Structures of Landscape〉

「過去100年の間に、建築を生み出すプロセスは最終的に『木を切り、小屋を建てる』という直接的ことではなくなり、エネルギーを大量に消費し、ものごとが複雑に絡み合い、多くの資材は、原材料が何か分からなくなるほど変化している。原料となる資源は枯渇するまで搾り取られ続け、別な物に置き換えられ、放棄される。私たち建築家の設計上での判断が環境に深刻な影響を与える一方で、建築を形にするとき、『どのように地球そのものを再構築するのか』という自分たちの力量を超えた大きな課題に注意を払っていない。アンサンブル・スタジオが手掛けた一連の研究は、建築と地球の関係、そして人間が環境に与えてきた影響について考えるのに役立つと考えます。」とアントン・ガルシア゠アブリル、デボラ・メサ。
【アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth】
Ensamble Studio: Architecture of The Earth

会期:2021年6月24日~9月12日
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル)
入場:無料/事前予約
詳細:https://jp.toto.com/gallerma/ex210608/index.htm


Posted by Neoplus Sixten Inc.
 

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