JINS PARK 前橋

Yuko Nagayama
1. 5月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.

永山祐子建築設計による群馬県前橋市の「JINS PARK 前橋」。アイウエアブランド「JINS」とベーカリーカフェ「エブリパン」を併設したロードサイド店舗で、メガネを販売するだけではない体験型の新しい店舗のありかたを提案。[JINS PARK Maebashi, Yuko Nagayama & Associates]

前橋駅から車で15分ほど離れた郊外のロードサイドにJINS GARDEN SQUAREとしてあったものを建て替えた。周辺には緑も多く、ランドスケープに土を多用することから、赤茶の銅板葺で周囲に馴染むような佇まいとした。
地面のサインが来店者を迎える。「PARK」と謳うだけのことはあり、前面には公園のような庭が広がる。
多くのJINSはモールや駅ビルに店舗を構え、気軽にメガネが作れるコンビニエントさも一つの特徴となっているが、ここでは「公園のように」して、さらにカフェなども併設し、家族で訪れてもらえる滞在型店舗となっている。(本当の公園ではないので営業時間外に敷地に入ることはできない)
サインは銅板がインレイ加工されている。
事前に見た写真ではコーナーからのアングルだったので分からなかったが、南西正面から見ると屋根は大きく傾斜し、軒も右側へ緩やかに下がっていることが確認できる。
斜めに葺かれた銅板は硫化イブシ仕上げが施されており、仕上がりに幅を持たせて色味が少し振れるようにした。
南東側から見ても屋根は大きく傾斜し、軒は建物の後ろに向かってさらに下がる。
敷地は2面接道しており、駐車場からの来店者はこちらから来ることとなるが、正面と同じく公園のような趣で客を迎え入れている。
エントランスは南側の角。
店内へ入ると中央に丘のような大階段が出迎える。写真では伝わりにくいが、天井は階段(丘)に合わせ空に向かって上昇していくイメージとなっている。
囲われた低めの軒をくぐって、全てが見渡せるパースペクティブな空間へ、驚きを持って訪れてもらえるようなデザインとした。
大階段の右側がアイウエアブランド「JINS」店舗。
什器も永山事務所によるオリジナルデザイン。櫓のような形で上部に照明を据え、メガネの陳列には「J」の字型に曲げた鉄板と、波板に植毛塗装をした。
奥には、視力測定スペースや、加工スペース、受け渡しカウンターなど、メガネ屋としてのバックスペースが収まる。更に奥はトイレや授乳室へと通じる。
大階段の左側はなんとパン屋。そして前庭にフルオープンで連続する。
パン屋は外注でオペレーションするのかと思いきや、今回ジンズ社内に新たな事業部を立ち上げ、ベーカリーカフェ「エブリパン」という名称で新規開店だという。大階段と、2階の下2/3はパン屋としての機能が収まり、この場で焼きたてのパンと淹れたてのコーヒーなどを提供する。
メガネを作っている合間などにこの大階段や、庭でパンを食べながら過ごすことができるのだ。
もちろん、メガネを作らなくてもパンやコーヒーだけを楽しみにここを訪れてもいい。
もはや公共施設のような雰囲気だ。
「芝生+子ども=走る」。今までのメガネ屋にはない全く新しい光景だろう。
大階段へ。低めの軒はここに座った際、外部の景色をコントロールし、緑がよく見えるようにするためだ。ストライプのグラフィックを施し、緩く座席部分を示唆している。
大階段の上から。壁や天井は淡いグレーの単色で、入隅に仕込んだ照明によって、夜は全体が光に包まれたような空間となる。(営業時は最上部にロープの手摺が付く)
2階には中庭がある。通常郊外型ロードサイド店舗では平屋が多いが、外部の庭と、2階の庭を連続させる構成で店舗としての可能性を広げる試みとした。内外が一体の公園のような設えで、訪問者に思い思いの居場所を見つけてもらえるようになっている。
1辺が20m近くある直角二等辺三角形の中庭には、ステップや植栽がいくつもあり、居場所をつくっている。今後テーブルや椅子も追加され、イベントなどを開催することも計画されている。
周囲は住宅が建ち並んでいるため壁を立て、空だけが見えるようにした。
銅葺きは陽の当たり方で表情を変える。

「メガネの購入以外にも、この場所へ訪れることが目的となるような空間やコンテンツを提案し、地域と共生する新しいロードサイド店舗のプロトタイプを目指しました。地域の方々が主催するマルシェやトークイベン卜を開催したりと、公園の広場のような場所になってもらえたら嬉しいです。」と永山祐子さん。
©Neoplus Sixten Inc.
【JINS PARK 前橋】
設計監理:永山祐子建築設計
担当:永山祐子 小森陽子 池上里佳子
構造設計:金箱構造設計事務所
設備設計:ピロティ
外構:SOLSO
照明アドバイス:岡安泉照明設計事務所
照明計画:大光電機
サイン・グラフィック(JINS PARK):高い山
アートディレクション(エブリパン):菊地敦己事務所
施工:冬木工業 スペース

構造規模:S造 地上2階建
敷地面積:1720.64㎡
建築面積:442.45㎡
延床面積:499.33㎡

建築主:株式会社ジンズ
所在地:群馬県前橋市川原町1-21-9 
詳細:https://store-jp.jins.com/b/jins/info/20005/

Posted by Neoplus Sixten Inc.
 

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