日本最大級の商業リゾート施設

VISON

4. 8月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.
2013年から事業計画がスタートした本プロジェクトは、大型商業の開発・運営はイオンタウン、地域の自然資源である本草学(ほんぞうがく)を活用した健康施設はロート製薬、食・リゾート分野に関してはアクアイグニス、金融スキームはファーストブラザーズと各社の強みを生かして開業に向け準備を進めてきた。
4社のノウハウを集結し、伝統と革新を融合させる新しい地域経済の活性化に向け、三重県、多気町、地元大学が共に産学官連携で事業に取り組む。
伊勢・紀勢自動車道のICからすぐ、伊勢神宮まで高速を利用し車で約20分の場所に位置する山や緑に囲まれた自然豊かな環境。広大な敷地に、ミシュランガイドパリ1つ星シェフ手島竜司監修のマルシェ、パティシエ辻口博啓氏が監修するスイーツエリア、和食の食材メーカーによる体験型店舗、薬草で有名な多気町にちなんだ薬草湯、ミナ ペルホネン、D&DEPARTMENTなどのライフスタイルショップ、ホテル、オーガニック農園など全73店舗が出店。
今回のグランドオープンを迎えるまで、4月に第一期、6月に第二期と三段階に分けて開業してきた。
施設の監修には造形作家・陶芸家の内田鋼一を筆頭に、多くのデザイナーやクリエーターが関っており、全エリアにおける建築の設計は赤坂知也建築設計事務所が手掛けている。
〈マルシェ ヴィソン〉
日本最大級の産直市場。地元松阪牛を扱うブティックのような精肉店や伊勢志摩の魚介、海女の町鳥羽市相差の海女小屋など、これまでにない市場を展開。
 
VISONの建物にはほぼ全て三重県産の杉が使われている。伊勢神宮の式年遷宮をモデルとし、20年に一度木造建築物の一部の建て替えを視野に入れた上で木材を使用して施設を建築するなど、林業を継続した産業として支えることを目指しているという。
「本草学や七十二候というテーマから導いた『野に遊び、野に学べ』というキーワードをベースにしてVISONの各建物の設計を進めました。具体的には建築の内外を繋ぐ、庇や縁側などの『中間領域』空間に着目し、それを色々な形で展開しています。」と赤坂氏。
〈スウィーツ ヴィレッジ〉
 
〈アトリエ ヴィソン〉
・KATACHI museum / museum shop
陶芸家・造形作家の内田鋼一が建築も展示を含めた全体をプロデュースした食にまつわる道具の博物館。
建物は土壁で作られたものとしては国内最大級だとか。
世界各地で昔に作られた「食」にまつわる様々な道具がアート作品のように美しく展示されている。このミュージアムの役割はVISON内でも大きく「地域の価値を高めるためには商業メインではないこのような教育的要素を持った文化施設も必要」という考えのもとに運営される。
併設されるミュージアムショップでは、現代の職人が手がけた上質な調理道具や機能美あふれるキッチンツールなどを購入することが出来る。
〈まほろ橋〉
高速道路のスマートインターチェンジ直結道路を施設が挟むように配されているVISON。その両サイドを繋ぐ橋として構造エンジニア金田充弘が手掛けた。
スチールと木のハイブリッド構造で、アーチが片側からだけ支持している。
〈和ヴィソン〉
まほろ橋を渡って反対側に位置するエリア。様々なタイプの建築が並び、建築ファンには楽しいこのエリアでは、和食の味を支える味噌、醤油、みりん、出汁などのメーカー企業が集い「学んで体験できる蔵」を展開。そのほか鮨や天ぷら・うなぎ・すき焼き・蕎麦など、世界に誇れる日本の食が味わえる一流の飲食店も軒を連ねている。
蔵前広場を囲む7棟は蔵をモチーフとした門型の形状で、日本食の発酵文化を表現する建築タイプとして採用したという。
・無添加商店 尾粂(おくめ)
全国各地から厳選した食材や調味料を販売する食のセレクトショップ。店舗前の斜面に使われているのはVISONの敷地として山を切り出した際に出て来た石材。
店舗設計は長坂常/スキーマ建築計画が手掛けた。
・ダイニングホール
フードイベント専門のホール。存在感のある杉のルーバーの外壁で覆われた外観。
中へ入ると幕天井からの自然光が満たす心地よい空間。923㎡のスペースに様々な飲食ブースがぐるりと配されている。定期的に店舗が入れ替わるので、季節ごとに違った味わいを楽しむことができるなど、これまでのフードイベントやフードコートとは異なるハイブリッド型の施設。
〈サンセバスチャン通り〉
スペインのサンセバスチャン市との連携で実現したスペインのバルや、スウィーツ・カフェ、ライフスタイルショップなどが出店。
緩やかな傾斜地にスキップしながら軒が連なる。
・糀茶寮 Produced by 魚沼醸造
米糀醸造元 魚沼醸造直営の発酵カフェ。インテリアはTransit Branding Studio™の鈴木篤志が手掛けた。デザインアイデンティティは米糀に関わる"熱と蔵”。製造過程で発生する発酵熱と、魚沼醸造がある新潟県魚沼地区の建築形状からインスピレーションを受け、そのイメージを素材、色彩、形に変えてデザインした。
・D&DEPARTMENT MIE by VISON
松阪もめんや伊勢木綿、伊賀焼などの三重らしいロングライフな生活道具を紹介するショップ。
併設されたスタンド式カフェでは厳選された三重県の素材を使用したどら焼きやドリンクも販売されている。
・minä perhonen museum / museum shop ミナ ペルホネン ミュージアム/ミュージアムショップ
テキスタイルのアーカイブの他にも皆川氏が普段使っている鉛筆や絵の具などの道具やスケッチ、プリント柄のためのゴムスタンプまで、手作業の図案によるオリジナルデザインの工程が紹介されている。
 
プリント柄 "hana" スケッチ
サンセバスチャン通りエリアやショップ プロデュースに携わった各氏。
左から松添みつこ(D&DEPARTMENT PROJECT)、中原慎一郎(ランドスケーププロダクツ)、皆川明(ミナ ペルホネン)、石村 由起子(くるみの木 暮らしの参皇室)。中原氏はVISONのホテルの内装デザイン監修や家具デザインも手掛けている。
〈HOTEL VISON(ホテルヴィソン〉
サンセバスチャン通りを抜けホテルへ。フロントは丘陵の上最上階の10階にあり、屋外エスカレーターまたは車で直接上の駐車場にアクセスする。
向かい側からのホテル全景。丘陵斜面に建つ5タイプ全155室の客室からなるホテル棟と、プライベートな滞在が楽しめる一棟独立型のヴィラ6棟がある。
最上階のホテルフロントは水盤に面している。
ロビーとフロント。
フロントから渡り廊下で客室棟へ。
9階 露天風呂付スイートルーム。
露天風呂。
コリドー。
7階、露天風呂付テラスツインルーム。
 
部屋からテラスを見る。
ホテルでも三重県産木材を可能な限り使用している。
テラスから上階を見返す。軒裏にも羽目板が張られている。
・東風吹(こちがそよとふく)
戸建ての離れのように建つ6棟のヴィラのひとつ茶室付ヴィラ。
客室からは日本庭園を眺められる。
〈本草湯〉
三重大学とロート製薬がタッグを組み様々な薬草湯を提供する温浴施設。
ホテルヴィソンの宿泊者は無料で利用することができる。
ウェルネスメニューが揃うサロンや本草を使ったお茶が楽しめるカフェも。
三菱電機、ALSOK、前田建設工業、大日本印刷等が登壇した「三重県広域連携スーパーシティ構想」についてのコンセプト説明会の様子。

VISONは今後、多気町、大台町、明和町、度会町、大紀町、紀北町と連携し、地域活性化を図るコンテンツとして施設内での自動運転、モビリティ、自律式ドローンの活用、遠隔医療クリニック、キャッシュレス・地域通貨に取り組み、これらの先端的サービスを一つのIDで管理する「One-ID」データ連携基盤を構築していくという。

様々な企業の先端技術を集約し、街づくりにとどまらない究極の"地域づくり"を目指す活動に今後も注視していきたい。
【VISON(ヴィソン)】
所在地:三重県多気町ヴィソン672-1
事業者:合同会社三重故郷創生プロジェクト
主体事業者:株式会社アクアイグニス、イオンタウン株式会社、ロート製薬株式会社、ファーストブラザーズ株式会社
事業内容:宿泊施設・温浴施設・飲食店・製造販売店・物販店・産直市場・農園他
敷地面積:約119ha
開発面積:54ha
詳細:https://vison.jp/

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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