ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店

Jun Aoki, Peter Marino
17. 3月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.
3月20日にオープンする銀座の新しい顔は、波打つ水面のようなファサードが特徴だ。合わせガラスの合わせ面に蒸着された薄膜のダイクロイックミラーによって、反射する波長と、透過する波長の光が振り分けられ、空の色や太陽の色、周囲の光を不規則に反射し、見る度に異なる表情を見せてくれる。
2004年に青木が外装デザインを手掛けたルイ・ヴィトンの店舗で、今回ビルの建て替えにより建築設計も手掛けた。
ファサードの造形は非常に複雑に見えるが、数パターンの形状に成形されたガラスが上下左右向きを変えながら規則正しく組み合わされている。波の高さは最大で10cmしかないそうだが、これだけ複雑に見える。
青木淳さんがまず屋上でファサードや建築の解説をしてくださった。
内側では雲の切れ間から見るような開口となる。
(この屋上は今後検討しながら活用していく余地。)
ファサードの合わせガラスをスチールフレームとガラスリブで支持。さらに内側に複層のインナーガラスという構成になる。
合わせガラスの室内側と、インナーガラスの室内側に白いグラデーションフィルムが貼ってある。ダイクロイックミラー加工は特定の波長の光を反射・透過させるが、ここではオレンジの光を外側に反射し、青い光は透過するのでこのように内側は少し青味がかった光となる。
青木さんがイメージしたのはモネの「ラ・グルヌイエール」の水面。
店内へ。
エントランス部は2層の吹き抜けになっている。1階はウィメンズのハンドバッグや時計、ジュエリー。
季節やイベントでフィーチャーされるアイテムが並ぶポップアップスペースも。
クラゲの傘にはルイ・ヴィトンのモノグラムがあしらわれている。
2階はトランクや雑貨、フレグランス。
2階から4階まではもう一つの吹き抜けの階段で。
階段室の壁はマリーノが依頼したアーティストによるスタッコのレリーフ。同じく水からイメージされているようだ。
3階はウィメンズのプレタポルテやレザーグッズ。
4階メンズのプレタポルテやレザーグッズ。
各フロアの什器デザインは非常に凝っており、細部を見ていると発見ばかりだ。
エレベーターで6階へ。(5階はバックヤード)
エレベーターのディテール。ガラスにはファサード同様ダイクロイックミラーによって色が変化しているそうだ。
6階はプライベートサロン専用フロアで2室ある。
奥の引き戸を介してもう1室。
フィッテイングルーム。
ルイ・ヴィトン製品のパーツで作られたオブジェ。
青木淳さんと、担当の竹内吉彦さん(左)。
「絵画は3次元のものを2次元に表現したものですが、このファサードではそれをまた3次元に戻すようなことにチャレンジしました。写り込んだ街が絵画のような、コラージュされたような、そんな不思議なファサードに見えるのではないでしょうか。」
「1999年にルイ・ヴィトンの名古屋栄店を初めて手掛け、その後幾つか手掛けながら、2004年にここ並木通り店を手掛けました。その間に外装デザインとは包装紙のようなものであるが、建築的意味があるのではないかということが頭の中で整理できました。そして建築的な外装デザインとして、もっとできることはないかと考えていくうちに、銀座松屋店、御堂筋店、そしてこの新しい並木通り店で、今までのルイ・ヴィトンの外装デザインの流れとは違うものになりました。それは、デザイン的には外装しかしていないのに関わらず "建築" と感じる事ができるものとなっていることです。表層だけを覆うのではなく実体としてある。外装デザインで建築をつくっているという表現ができていると思います。」と青木さん。
【ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店】
建築・外装・監理:AS/青木淳、竹内吉彦
内装:Peter Marino Architect
   エイチアンドエイ
   A.N.D
施工:清水建設
外装:旭ビルウォール
内装:J.フロント建装
   綜合デザイン

構造・規模:鉄骨造、地上8階建て
建築面積:310.1m2

ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/point-of-sale/japan/louis-vuitton-tokyo-ginza-namikidori
オープン:2021年3月20日
所在地:東京都中央区銀座7-6-1
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休

7階 ル・カフェ・ヴィー(LE CAFÉ V)
オープン:2021年3月20日
営業時間:11:00~20:00

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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