黒川智之による「北千束の集合住宅」

Neoplus Sixten Inc.
3. 8月 2015
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積146m2、延床面積490m2、RC造6階建て。
1階にオフィス、2階にシェア住居、3・4階に賃貸、5階に社宅、5・6階にメゾネットのオーナー住居という構成。

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オーナーの出身校であり、現在は非常勤講師も務める東京工業大学は目と鼻の先という立地。
シェア住居と賃貸は、東工大の学生もターゲットにしている。偶然にも黒川さんも同校出身で、設計にあたり周辺環境をよく知っていることはプラスに働いたようだ。

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特徴的な切り取られたようなバルコニーは、縦方向に繋がる半屋外空間として白く塗装されている。街に開いたり、住人同士のコミュニケーションを促す。

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建物の名称は「Nefrock Lab Ookayama」。”黒船" を逆さにしたもの。

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エントランスホールは引戸を開放すれば街へ連続する。レクチャーなどのイベントや商店街のお祭の際にも活用してもらうなど、学生や地域に広く開放していく多目的スペースという位置づけだ。フロアに置かれている箱は黒川さんがデザインしたスツール兼収納。中央奥の扉からはオフィス、左の扉からは住戸とオフィスにアクセス出来る。

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 1階オフィスにはオーナーが経営するITベンチャーが入る。
独自に開発したソフトウェアで電力を制御するなど「建物自体をソフトウェアから制御したい」というオーナーの要望に応え、配線の仕組みから特別に変えていく必要があったという。

照明デザインは岡安泉さん。

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階段室やエレベーターホールなどの共用部は街路をコンセプトにしている。

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街路灯のような照明も岡安泉さんによるデザイン。無垢のアクリルに光を拡散する素材を混合してあるので、全体が美しく発光する。

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2階の踊り場から階段にかけてもコミュニケーションを生むスペースとして綿密にデザインされている。ウッドデッキがそのまま住居内へと続いているのも、入りやすいオープンな雰囲気を出すためだ。
 

左の隣家に面した開口部にはツル植物のグリーンウォール。

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2階「超会議室」と名付けられた3人で住むシェア住居。オーナーの家賃補助付きだ。
ワークショップや学生達との活発な議論の場になることが期待されている。そのため壁の一部はホワイトボード塗装されている。

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階段下のデッキがめくれ上がったようなベンチ付きのトンネルは談話スペース。壁はもちろんホワイトボード塗装だ。

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トンネルを抜けるとキッチンが現われ、居住エリアへ。

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各部屋は約7畳。

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3階へ上がる途中、水栓も備わるニッチはベンチとして腰掛けることが出来る。

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3階、4階には、大きめと小さめの住戸が2つずつ。こちらは大きめの301号室で約43m2。
球体ボイドスラブを採用し梁のない空間にしている。

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正面から見えたバルコニー開口部の見下ろし。2層3住戸が面し、それぞれを立体的に繋ぐ共用空間のように機能している。

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階段の造形も見所の一つ。
ステンレスネットは、黒川さんが在籍していたヘルツォーク&ド・ムーロンも使っているもので、今回スイスから取り寄せたそうだ。

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402号室。バルコニーとの関係性で採光が良い。

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5階踊り場。スタッフ宅の玄関と、メゾネットのオーナー住居の玄関がある。

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4人家族のオーナー住居、5階部分。長い廊下を挟んで子供室と書斎があり、階段下がトイレや収納になっている。

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階段の踏み面と蹴込みの仕上げ。
複合フローリングの表面板だけを残して、側板の収まり部分を削り取ってある。扉や窓の枠も同様に仕上げられており、非常にフラットな表情の廊下になっている。

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子供室。斜線制限のため右の壁が少し傾斜している。

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バルコニー(3枚目の写真に見えた部分)

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6階LDK。最上階のため収束してくる斜線と室内プランの取り合いに苦労したそうだ。

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奥からキッチン方向を見る。フロアの中央からずらした位置に水回りを置き、回遊型の動線をとっている。
右側の窓から眼下に広がる街並みを眺められるダイニングスペース。
左は主寝室。

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屋上はキッチンの背後から外階段で上がる。
周囲には高い建物が少なく、東工大の本館を望むことが出来る。

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夕日に照らされる北西面。規模的に周囲から突出した建物となるため、外観に表と裏といった差を設けず、全方向に対して開口を配置している。設備用の配管や雨水管も外に露出しないように設計した。

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黒川智之さん
「人と人の繋がりを大切にすることがテーマでした。大学、オフィス、住居、街など、様々な所属を横断し、積極的なコミュニケーションを促す建物です。」

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