Zoshigaya T-house

雑司が谷・T邸

Tomoyuki Takahashi + Takuma Kawaguchi
28. 4月 2020
All photo: Neoplus Sixten Inc.

⾼橋朋之+川⼝琢磨による東京都豊島区の住宅「雑司が谷・T邸」。KAJIMA DESIGNに務める⾼橋氏の自邸で、以前同僚で現在は川口琢磨建築設計事務所を主宰している川口氏と共同設計を行った。
[Zoshigaya T-house]

古くからの木造密集地域で、狭く入り組んだ路地が巡る雑司が谷らしい場所。接道は拡幅のためセットバックも求められているが、ベンチや庇が円弧状に欠かれた箇所にシンボルツリーを植えるそうだ。木造に見えるがコンクリートの庇が出ているファサード。3層の上にいくにつれて開口幅が広がっている様子が分かる。
玄関を開けるとRC造だと明確に分かった。二連掛けの根太(後述:梁ではない)、左官珪藻土仕上げ、無垢のラーチ材などによる温もりのある空間が出迎える。右手に寝室、洗面・浴室と続き、奥に階段。
寝室。外観で見えた正方形の開口はここでシンボリックな造形として現れた。
玄関ホールを進んで洗面兼脱衣所。上を見ると木材を曲げて作られた鴨居に支持されるカーテンレールが見える。左階段の下はウォークインクローゼット。M2階には化粧室と書棚。
隣家が密集するが、隙を狙って効果的に外光を取り込んでいる。
化粧室。奥に見えるのは空気循環用のダクトで、塔屋から1階のウォークインクローゼットまで通じている。
化粧室の前から見返す。外断熱の外壁、コンクリートの型枠にはラーチ合板を用い、表情と素材感のある壁となっている。2階の床はt=80と薄いが床暖房も備わる。
ここで気になるのが全体の構成だ。模型を見ると外壁のみをRC造として成立させ、その他の根太、床、階段、屋根を全て木造で挿入したような格好となっている。
周辺は木造住宅密集地域であり、3年前に施行された「新たな防火規制区域」において、より厳しい準耐⽕建築物を繊細な木の温もりを残しながら成立させることが最初のミッションであった。
そこでRCの外壁耐⽕構造(準耐⽕建築物ロ-1)とすることで、内部の木材に耐⽕被覆を不要とし、細い線形材料にて構造を構成。大らかな一体空間に光や風が通り抜けるようにした。
写真は上棟直後の様子で、RC壁は構造として自立しているため3.5層のがらんどうになっている。木部には水平力を受ける梁は無く、鉛直力のみを支える根太のためのアンカーや、家具を支えるボルトが壁の至るところから突き出している。間口は4m、RC壁はt=200、外断熱層はt=50。
(Photo:稲継泰介)
2階LDK。ダイニングテーブル兼用のキッチンカウンターを中心に、半分は3階までの吹き抜けとなっている。
耐火被覆を不要とした木材の現し。3階の組木の手摺が目をひく。
厳しい法規を軽やかにかわしながら最適解を導いた、プレファブではあり得ない住空間だ。
北東を向いた大開口からは隣家の庭が借景として望める。必要に応じて縦格子の網戸を閉めたり、、、
布障子戸を閉めることで、プライバシーの確保と光の質を変化させ楽しむ事ができる。
建て込んだ南西側であるがその雰囲気を受容し、勝手口のごとく開口を設け、小さなバルコニーは物干しとして使いつつ、プランターを置くなどして活用する。
階段の踏面、家具、根太が水平に重なり合う。厚みは全てツーバイ材サイズの38mmで統一している。M3階には夫妻のリモートワークのために書斎を設えた。
階段は塔屋の屋根から1階まで長さ10m・φ16のロッドを吊り、アングル材を溶接、そこに集成材の踏面を乗せている。ロッドはターンバックルでテンションを架けて振れを抑えている。
3階予備室。将来子ども室として使用することを想定している。
RCの棟木は、RC壁の面外変形を防ぐために1本必要だったが、棟木を境にRC造と木造の屋根に分かれているのがユニークだ。
開口の外側にはアルミサッシュが付くが、内側には手作業による木建具を丁寧に設え、空間の質にこだわった。
細かなディテールも互いにアイデアを出し合いながらデザインしたという。
3階からは坂の向こうを行く人と目線のレベルが合う。雑司が谷という街を肯定的に捉え、積極的に大開口とした。
さらに上は塔屋となる。RCで壁厚200mmとするために高さ8.5mに抑え、そこから上は木造の小屋組とし、妻面には採光窓を設けた。
塔屋。トップライトは夏場に重力換気ができるよう開閉可能に。左からは屋上に出られる。
塔屋は屋根とは切り換えて突き出す必要があるが、垂木が3階から連続して見えるように工夫した。
屋上には “風見台” と名付けた2畳程のデッキバルコニー。ここに上がると早速近所の屋上やバルコニーから声を掛けられるという。
⾼橋朋之さん(左)と、川⼝琢磨さん(右)。高橋さんは今も務めるが、二人は以前KAJIMA DESIGNで同期であった。そして川口さんは川口通正建築研究所に在籍後、2年前に独立。

「土地探しをしながら色々な街を巡り、自分たちの生活スタイルと街の雰囲気から雑司が谷を選びました。狭い敷地だからこそ家のどこにいても家族の気配が感じられ、またこの素敵な雰囲気の街を家のどこからも感じられるように、内々の距離感、内外の距離感を等価に扱いました。」と高橋さん。

「防耐火規制が厳しい都心部といえど、火に強く広く普及している石膏ボードで闇雲に構造体を覆って、表層の仕上げをするということを一旦止めて、無垢で厚みのある木とコンクリートという材料で空間を美しく構成する方法を模索しました。」と川口さん。
【雑司が谷・T邸】
設計・監理:⾼橋朋之+川⼝琢磨
構造:坂⽥涼太郎構造設計事務所
テキスタイル:押鐘まどか
施⼯:河合建築

防⽕地域:準防⽕地域(新しい防⽕地域)、準耐⽕建築物(ロ-1)
⽤途:個⼈住宅
構造:WRC造+⽊造(平⾯混構造)
面積:敷地⾯積 47.52㎡、建築⾯積 26.75㎡、延床⾯積 73.63㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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