上井草の住宅

Naoya Kawabe
12. 1月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.

川辺直哉建築設計事務所による杉並区の「上井草の住宅」。狭小住宅ながら空間の全貌を簡単には分からない状態を意図的につくり、視覚ではなく住みて個人の感覚と体験でつないでいく広さをつくり出す空間とした。
House in Kamiigusa, Tokyo by Naoya Kawabe Architects

施主は自分で住むのではなく、親族が望めば住むこともできるし、賃貸として運用もできるようにという想定で依頼したそうで、川辺さんとしては明確にここの住みての要望を叶えたというより、この敷地に3〜4人位が住むとしたら、どのように場を振り分けていくのが良いかとドライに考えていった。
玄関を入るとこの家がスキップフロアで構成されていることが分かる。
建築面積27㎡の狭小住宅であるため、玄関を狭小なりの広さ(狭さ)にしてしまうと一気に狭小感が増してしまうので、居室1室と同じ広さを取ってゆとりのある玄関とした。
半地下には水周りと個室。ちょっとした開口を作って、光や視線、空気が抜けるようにした。
大きな構成は、建物の中央に吹き抜けの階段室を設け、その両側に半階づつスキップしながらフロアが配されている格好だ。
1階DK。階段室を貫くように耐力壁が配され、表情のあるモルタル仕上げでアクセントとなる。
四方の開口から光が十二分に注いでいる様子がよく分かる。
 
無垢の耐力壁と、床や天井、階段の無垢材が素材感と存在感を出している。
耐力壁は当然間仕切りとしても機能し、5層の各フロアのシーンを切り替えるために重要だ。
DKから上がった2階は小さいながらリビング的な役割となるだろう。
このスペースは駐車場の上に持ち出しているためブレースで補強。
ファサード側にはバルコニーがある。
このサイズの住宅としては広いL字型のバルコニーを持つ。敷地に大きなセンダンの木が植わるので益々ありがたいが、この木から引きを取るためのバルコニーでもあるそうだ。
リビングから上がると個室(寝室)。とはいえかなり開放的だ。
奥の収納は5/8サイズの不思議な高さだが、垂木が伸びやかに連続して空間を圧迫しないようにする工夫だ。
右上からもう一つバルコニーを作って出入りさせたかったが、これ以上高さをあげられないため断念した。
リビングとは、耐力壁がうまく目隠しとなる。そして右下にバルコニーとセンダンが覗く絶妙な位置に抜けを作っている。
さらに2つの開口は高窓にして近隣からの視線が入りにくくし、ここが寝室としても機能するよう配慮されている。
階段室の見下ろし。階段は単なる動線ではなく腰を下ろせばそれぞれが居場所になる。
川辺直哉さん。「小さな家では常套である “広く見せる” ということはせず、重心を持たせた階段室を中心としてフロアが振り分けられています。この存在感のある壁により、空間の全貌(小ささ)を簡単には分からない状態を意図的につくり、視覚ではなく住みて個人の感覚と体験でつないでいく広さとなる空間を目指しました。」
【上井草の住宅】
設計・監理:川辺直哉建築設計事務所
構造設計:多田修二構造設計事務所
施工:FORM GIVING

用途:専用住宅
構造規模:木造/地上2階、地下1階
敷地面積:54.11㎡
建築面積:27.03㎡
延床面積:67.10㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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