山口誠によるラオスの住宅インテリア「House in Pakse」

Neoplus Sixten Inc.
26. 8月 2015
photos: Koichi Torimura

広大な敷地に宮殿を思わせる大きな建物が3棟あるが、あるファミリーの為に数年前タイ人建築家が設計したもので、正面のメイン棟は延床約8,000m2ある。今回依頼されたのは、右ウィングの建物のインテリアデザインだ。メイン棟を挟んでシンメトリーに左側にも同様のウィングがあるコの字型の建物。

photos: Koichi Torimura

インテリアデザインを依頼された一棟は3階建て延床面積1,500m2で、そのファミリーの次女のための住居兼ゲストハウスだ。(今回の計画で一部スラブを抜いたので1,266m2に)
依頼された時には、元々の内装工事が少し始まったところでストップしていたという。
「初めはラオスに建てられているヨーロッパ古典風の外観の建物、というその組み合わせに強い違和感がありましたが、途中で外観が黄土色に塗られたことで、意外にもその場所に融合し、固有なデザインとして存在しているように感じられました。その印象を私達のインテリアデザインにも持たせたいと思いました。」と山口さん。

photos: Koichi Torimura

エントランスを入ると、正面には滝をイメージして山口さんがデザインした、スワロフスキーの特注クリスタルガラスを使用した幅6m × 奥行1mのオブジェが迎えてくれる。

photos: Koichi Torimura

街の郊外には手つかずの自然に無数の滝があることで有名なパクセ。今回デザインに取り入れた融合の一つだ。

photos: Koichi Torimura

 1Fリビングスペース。装飾的なアーチ窓のついた外壁との組み合わせが自然になるよう床には大理石を使用しているが、部屋の中央部の床や壁には貴重なラオス産のゴールデンチーク材を使用した。
内壁は御影石で設え、パクセの森の合間を流れる川や滝の周囲にある荒々しい岩のイメージを持たせた。

photos: Koichi Torimura
photos: Koichi Torimura

リビングスペースからダイニング方向を見る。左にエレベーター、右に階段。

photos: Koichi Torimura

1F ダイニングスペースは2階までの吹抜け。

photos: Koichi Torimura
photos: Koichi Torimura

 2Fはオーナーである彼女一人のプライベートエリアで、寝室、バスルーム、クローゼット、プライベートリビングなどがある。

photos: Koichi Torimura

 2Fバスルームのシャワーブースと右にサウナ。

photos: Koichi Torimura

左を向くとゆったりとした空間にバスタブがそっと置かれている。

photos: Koichi Torimura

 3Fホール。ゲストルームが4つある。
床と同様に壁や天井にもチークを貼り込み、ローサイドからの少なめの外光でしっとりと落ち着いた空間だ。

photos: Koichi Torimura

階段の見下ろし。階段は山口さんのデザインで構造設計を小西泰孝さんが担当。

photos: Koichi Torimura

ゲストルームの一室。正面奥が入り口で、両側にバスルームとストレージ。手前の空間にはソファーやベッドが置かれる。
ミラー仕上げのステンレスやガラスが嵌められているが、それらは地域の伝統的で素朴な木造の建物にはもちろん使われていない素材。固有の風景をつくっている岩(石)という素材と、現代的と言える金属やガラスという素材が融合している。

photos: Koichi Torimura

 バスルーム

photos: Koichi Torimura

建物の施工風景。

「プロジェクト開始から3年半掛け、2014年の年末にようやく完成しました。ラオスでの建築工事は普段当たり前と思っていたことが当たり前でなく、何もかもケースバイケースでゼロレベルから調査し進めて行くという、凄まじくもかけがえのない経験をさせてもらいました」と山口さん。

プロジェクトのスタートから完成までを綴った特別寄稿記事が、architecturephoto.netの「東南アジアでプロジェクトをもつということ」でご覧頂けます。

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