スイス × 建築 × 日本 Vol.2

24. 12月 2020
(Photo: スイス大使館)

12月12日、日瑞建築文化協会(JSAA)がチューリッヒ建築フォーラムと共同で、オンライントークを開催した。2019年12月にチューリッヒで行われた'Japan Night’ に続く2回目となる日本・スイス建築イベントで、今回はと東京とチューリッヒをオンラインでつなぎ、日本からは千葉学、金野千恵をはじめ、日瑞計10名が登壇した。
[Switzerland • Architecture • Japan Vol.2]

Illustration: Schätti und Lehmann

日瑞建築文化協会(JSAA)は規模は小さな協会だが、スイスの建築家や他の国の建築家が羨む非常に意欲的な協会である。スイスは現在(フランスと並んで)日本建築が最も成功している国である。また日本でもスイス建築への関心も大きく、大陸をまたいだ意見交換は世界的な渡航制限が出ている中でとても重要なイベントであった。

※German-Architectsで紹介された記事をJapan-Architectsで再編集しました。元記事こちら >> www.german-architects.com/de/architecture-news/fundstuck/im-austausch-1

(Photo: スイス大使館)

テーマは「現代建築における文化的質とテクノロジー」。両国のアイディアやプロジェクトはPechaKucha形式(各自20枚✕20秒のプレゼン)で行なわれ、デジタルテクノジーから地域社会の建築まで広範囲に及んだ。

スピーカーは以下の10名:
- 小渕 祐介 (東京大学 准教授)
- 樋口 貴彦 (東洋大学 助教)
- Sylvia Chen (a+u 編集者)
- 金野 千恵(teco主宰、JSAA理事)
- 千葉 学(東京大学 教授、千葉学建築計画事務所)
- Andreas Ruby (Swiss Architecture Museum 所長)
- Kai Strehlke (Blumer Lehman デジタルプロセシング所長)
- Kerstin Müller (baubüro in situディレクター)
- Tibor Joanelly (Shinoharistics 著者、編集者)
- Martin Fröhlich (EPFLスイス連邦工科大学ローザンヌ校 教授、AFF Architects)

(Photo: JSAA)

小渕祐介氏は音の信号を基に空間認識を研究している。

(Photo: 東京大学)

小渕氏は「日本のデジタルデザインの台風の目」と紹介された。どのように建築現場がより「楽しく」そして遊び心を持てるか、デジタル技術を駆使して研究している。彼の研究では、建設現場はプレファブ工法により建設業での現場作業は前世紀に比べて「洗練された」ものの、「誰にでも建てられあまり楽しくなくなった」ため、小渕氏は日本の東京大学の生徒たちと一緒に、被験者が自らの動きを音の共鳴で空間認識し、個々の音がデジタル記録され、次にこのシステムを使用して、圧縮空気バズーカでココナッツ繊維を屋根に発射し、安定した屋根を作るための施工システムを開発した。

樋口貴彦氏は(スイス・メンドリージオのUSIでのペーター・ツムトアとの出会いに刺激され)「大都市や海外からの影響によって」独自の建築伝統との結びつきを失って久しい日本のヴァナキュラー建築に注目している。樋口氏はこの衰退する「建築家のいない建築」を繊細な鉛筆画で描き留めている。

(Photo: スイス大使館)

金野千恵氏(teco建築設計事務所)は子供、高齢者、障害者向けのプロジェクトを紹介。

(Photo: 髙橋菜生)

2019年竣工の〈カミトヤ凸凹保育園〉

(Photo: 髙橋菜生)

日本で急速に高齢化する社会と同じく急速に高齢化する建築は、金野氏の手掛けるような仕事を緊急かつ価値のあるものにしている。

(Photo: 髙橋菜生)

金野氏はロッジアというの建物タイプの研究に基づいて(ETHのピーター・メルクリの元で学ぶ)建物の周りに縁側のような半屋外の空間を設計している。

(Photo: baubüro in situ)

バーゼルにあるBaubüro in situのケアスティン・ミュラーは、実用的な建物へのアプローチを研究しており、写真は藁を使った建築の実験。

ミュラー氏はリサイクルされた建築資材や部品を使った建築を促進する事を目的とした建築材料協会の会長を務めている。「地元の建築資材」の定義を、すぐ近くで入手可能で、既に使用されたことのある資材にしたいと考えている。
その建築資材には今までどのような歴史があり、次の用途にはどのようにアップグレードし使用できるかが、ミュラー氏がリサイクル可能な資材を「ハント」する際に自問する二つの重要なポイントであり、その試みは一種の、不完全で、短命そして未完成というワビサビの美学への推進力になる。
古い建物の解体を全面的に不要にするためミュラー氏は建物のライフサイクルを2倍〜3倍にする「小さいが効果的な提案」の必要性を提唱している。

(Photo: Blumer-Lehmann AG)

坂茂氏がスイス・ビール市に設計した〈スウォッチ本社屋〉は、スイスの木材建設会社Blumer-Lehmann社の協力により完成した。

同社のカイ・シュトレルケ氏は現在世界中の人々の心をひきつけているこの木造建築を紹介。
スウォッチ本社屋では、徹底したプレファブ化とプロトタイプ化への可能性を提示した。
約4,600もの異なる形状の湾曲した梁の製作は、5軸CNCフライス盤のおかげで可能になり、複雑なボールト屋根を実現させた。

(Photo: Blumer-Lehmann AG)

韓国のゴルフクラブ〈ナインブリッジ〉。ここもBlumer-Lehmannが協働。素晴らしいツリー構造が新しいゴシック木材建築造り上げた。 シュトレルケ氏曰く「今、都市における建築木材は、100年前にガラスや鋼が経験したのような革命の最中である。」
そして今や日本や韓国でも、全く新しい木造建築基準に変えてしまった。

新建築社 a+u 2019年1月号

シンガポール出身のジャーナリスト、シルビア・チェン氏は日本の建築雑誌「a+u」の編集長として、スイスの若い建築家について豊富な知識を雑誌の中で紹介している。

また、スイスの建築ジャーナリスト兼講師のティボ・ジョアネリー氏は、1960年代から日本の明晰で儚い建築を分析し、篠原一男によって影響を受け、デザイナーとしての形成にも貢献したという。
ジョアネリー氏は長野の山腹にある詩人の谷川俊太郎のために建てられた家について、新しい本「Shinoharatics:家についてのエッセー」(Kommode出版社)を出版し、その中で「1974年からの、この建築の謎」をほとんど使用できない場所として説明している。建物の屋根は地形にのみ広がっていて、詩人は床のない家に住むのは長くは続かなかった。
ジョアネリー氏はテキストの中で、「建築空間のオントロジー」を作成するために、篠原氏のお気に入りの用語である「裸の現実」、「機械」、「意味」を調べている。

(Photo: スイス大使館)

最後に千葉学氏は主にスイスと日本の教育環境の違いについて話した。

【スイス × 建築 × 日本 Vol.2 / Switzerland • Architecture • Japan】
日時:2020年12月12日(土)日本時間19:00〜、 スイス時間11:00〜
https://doorstoswitzerland.com/events/ch-architecture-jp

テキスト:ウルフ・マイヤー 翻訳:真央・マイヤー
編集:Neoplus Sixten Inc

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