Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022
14. 10月 2022
All photos Neoplus Sixten Inc.
「東京ミッドタウン デザインタッチ2022」レポート。今年のテーマは『環るデザイン』。人々の生活が大きく変化し新しい価値観が次々と生まれている今、本当に大切にしたいものをこの先も残していくためには何ができるのか。持続可能な未来へのヒントをデザインを通して探る。
"Design for Sustainable Future"
Today, people's lives are changing drastically, and values are being perceived in new ways.What can we do to preserve things that are truly important to us? Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022 is using design to search for clues to making a sustainable future.
〈うみのハンモック〉 永山祐子
芝生広場に展開するのは、大小の波が広がる36m×12mの巨大なインスタレーション=巨大遊具だ。
Sea hammock, Yuko Nagayama
A huge installation that looks like small and large waves from afar, measuring about 36 m x 12 m, makes its appearance on the lawn. This hammock resembles an ocean wave when it is stretched out. You can use it to rest and relax however you want. The hammock is made of discarded fishing nets that had been upcycled into yarn. This is an attempt at designing with recycled materials to depict marine debris—a cause of ocean pollution that affects ecosystems—as something that travels, bringing it face-to-face with people. After the exhibit is over, the netting will be reused and reborn as various objects. Sway in the hammock, place yourself within the cycle, and ponder the natural environment.
海の波のように見えるのは連なるハンモックとタープの連続で、遊んだり寛いだりすることができる。
ハンモックとタープは、廃棄されたナイロン製の漁網をアップサイクルした糸を用いて作った。
海洋汚染や生態系へ影響が問題となっている海洋ゴミを、循環のデザインにのせることで “めぐる”モノとして人々につなげる試み。展示が終わると素材は再利用され、さまざまなモノに再び生まれ変わる予定だという。
ハンモックに揺られながら空やビルを眺めるもよし。タープの下の日陰でピクニックをするもよし。
近所の保育園児が早速体験。夜はライトアップされ大人の雰囲気に変わる。
永山祐子さん。
「私たちの身の回りにある“モノの循環”について考えたとき、海洋ゴミが浮かびました。海に囲まれた日本の海岸には遠く海外からゴミが流れ着き、美しい海の表面はマイクロプラスチックに覆われています。大きな波を描くハンモックは、海ゴミの漁網を再利用したオリジナルの網で作られていて、展示が終わると再利用され、様々なモノに生まれ変わります。ハンモックに揺られながら、私たちの生活を取り巻く自然環境に思いを巡らせてみてください。」
〈F.A.R.M. –Future Agricultural Rights for Mankind–〉 ENERGY MEET(蘆田暢人、オオニシ タクヤ、Alvaro Conti:3名の建築家によるデザインユニット)
ミッドタウン・ガーデンには農業をめぐる実験的インスタレーションが展開。
F.A.R.M. -Future Agricultural Rights for Mankind-, ENERGY MEET
An experimental installation exploring agriculture makes its appearance at Midtown Garden. Agriculture is a process that controls the cycle of solar energy, carbon, nitrogen, enzymes, and other elements, and transforms them into crops that give us life. This work breaks down the various elements required for agriculture into units. It is designed to let the user easily create their own agricultural cycle by arranging and stacking cultivation spots and energy sources like blocks. By allowing people to try agriculture with their own hands and discover possibilities in urban agriculture such as vertical farming, this work can begin a new form of agriculture.
農業は太陽エネルギー、炭素、窒素、酵素などの循環をコントロールし、ひとの生命をつなぐ作物へと変換するプロセス。そんな農業に必要とされるさまざまな要素を分解し、栽培基盤やエネルギーなどをユニット化して、ブロック的に組み合わせ、積み上げていくことで、農業という循環系システムを簡単に構築できるようデザインした。
実験では土耕と水耕でレタスを栽培するほか、ユーグレナ(ミドリムシ)の培養も進める。水耕栽培では水中にメダカやモロコを飼育し、そのフンをレタス育成の養分とする。
左から眞下清名さん、永山つぐみさん(昭和女子大学オオニシ研究室)。松本深愛さん、山本賀子さん(新渡戸文化高校)。
中央から右へ高橋祐亮さん(デザイナー)。蘆田暢人さん、オオニシタクヤさん(ENERGY MEET)
「現在、世界では食糧増産の課題がより深刻になってきています。今後も続くであろう世界的な人口増加に対して農業分野は大きな注目を浴びており、『積極的な農地確保』と『持続可能性』の両立が不可避となっています。この作品を通して、私たちみんなが農業への意識を持ち、積極的に参加できるようなきっかけを与えられることを目指しています。」
〈as it is. -equilibrium flower-〉 TAKT PROJECT/吉泉聡
もう一点、ミッドタウン・ガーデンには花のようなオブジェが敷き詰められている。ミッドタウン敷地内の植物で草花染めされた特殊な繊維で作られたオブジェが、周囲の環境と共鳴しながら咲き誇る姿を体感できるインスタレーション。
as it is. -equilibrium flower-, TAKT PROJECT
About 2,000 flower-like objects make their appearance in Midtown Garden. This installation lets you observe objects made of special fibers dyed with Tokyo Midtown's plants blooming and resonating with the surrounding environment. The objects are made of an original fabric that hardens when heated. With heat applied to certain parts, the work creates a mysterious expression that is both hard and soft. The end result is man-made, but by finding something that leads it to the ground, it forms a cyclical design that connects it to the environment. It is an enchanted flower field with an expression that cannot blossom anywhere else.
ネームプレートには樹種が記されており、その周囲の “花” がその植物で染められている。これはクスノキ染め。
中にはLEDランプが仕込まれており、夜には2000個の光る花が咲き乱れる。
吉泉聡さん。
「その土地と結びつくことで生まれ、環境と美しく共鳴するデザインについて考えています。この作品では、独自に開発した『熱で硬くなる生地』に部分的に熱をかけ、硬くて柔らかい、花のようなオブジェを生み出しました。デザインが生み出すものは、あくまで工業的な素材も含む『人工物』ですが、その土地と結びつく『何か』を獲得する事で、その環境と繋がり『環るデザイン』へと変わっていくように思います。この場所でしか生まれ得ない表現を纏うインスタレーションをぜひご体感ください。」
〈Life Beat〉 CORNER(若田勇輔、金澤佐和子、田羅義史、岩﨑有紗、長屋弘)
ガレリア2Fのlucien pellat-finet横
分野の異なる5人が集うクリエイター集団によるインスタレーション。哺乳類の心臓はどの動物も一生の間に約20億回脈を打つ。小さな生きものほど脈は速く、大きいほど遅くなる。そんな動物ごとの心拍のリズムでライトを明滅させる。
Life Beat, CORNER
An installation by a group of five creators from different fields, including a winner of the Grand Prix in the TOKYO MIDTOWN AWARD 2020 design competition. All mammals' hearts beat about two billion times within their lifetime. Compared to humans, the smaller an animal is, the faster its heart rate. Conversely, the bigger an animal, the slower its heart rate. These lights flicker to the rhythm of different animals' heartbeats. An array of lights shine on a large table and walk in one direction, showing us that the cycle of life is impossible with just one species. This work tells us that humans cannot live by themselves, and must interact with many different living things to survive.
作品に人が近づくと、ヒトを含む動物たちが、それぞれの早さの心拍を刻み出す。テーブル全体が大きな光の集合体となり、それらが同一方向へ歩く様子から、ひとつの種が存在するだけでは生命の循環が不可能なこと、人間単体ではなく多様な生物の関わり合いによって生命が続いていくことを伝ええる。
DESIGNART TOKYO 2022
デザイナート トーキョーの東京ミッドタウン会場として展示する二作品。
〈series 「sea」〉 ambi & STUDIO RELIGHT(小池峻、小林昌平)
ガレリア2F Aesop前
適正処理された廃蛍光灯リサイクルガラスを用いた作品オブジェクト。リサイクルガラス特有の「色」や「気泡」を活かすために鋳造による塊形状をベースにガラスを成形。
〈 "FLOW" 〉 山本大介
ガレリア2F Iucien pellat-finet前
多くの使用可能な建築資材が廃棄され、新しい資材で空間をつくり続ける“スクラップアンドビルト”への問いから、資材の中で最も多く廃棄されるマテリアルの一つである内装下地材LGS(軽量鉄骨)に着目したプロダクト。
TOKYO MIDTOWN AWARD 2022 受賞作品結果発表・展示
プラザB1 メトロアベニュー
次世代を担うクリエイターを発掘・応援するデザイン・アートコンペ。1,481点の応募作品の中から選ばれた受賞作品を展示。
デザインコンペ グランプリ〈souvenyl chair〉ツルタシュリ
ビニール袋を椅子にアップサイクル。旅先でもらうお土産袋や生活の中でもらう袋を加熱加工した、世界でたった一つの「お土産のような椅子」。重ねた袋の種類によって、人それぞれの個性や地域性が現れます。自身の旅を蓄積するだけでなく、この椅子がお土産として、人と人のあいだを旅することを目指した。
GOOD DESIGN EXIBITION 2022 ポップアップショップ
このショップと、東京ミッドタウン・デザインハブで開催中の2022年度グッドデザイン賞受賞作品発表会場も永山祐子建築設計による。
【東京ミッドタウン デザインタッチ2022/Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022】
会期:2022.10.14〜11.3
会場:東京ミッドタウン各所(東京都港区赤坂9-7-1)
詳細:www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch
永山祐子建築設計
蘆田暢人建築設計事務所
Posted by Neoplus Sixten Inc.
会期:2022.10.14〜11.3
会場:東京ミッドタウン各所(東京都港区赤坂9-7-1)
詳細:www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch
永山祐子建築設計
蘆田暢人建築設計事務所
Posted by Neoplus Sixten Inc.