ROPPONGI TERRACE

CAt
4. November 2020
All photos by Neoplus Sixten Inc.

赤松佳珠子+大村真也/CAt(シーラカンスアンドアソシエイツ)による東京都港区のオフィスビル。多様化するワークスタイルを実現しながら、都心にあいた空地(公園)の開放感を最大限に取り入れられるよう、全体がテラスのような親自然的な建築。
[ROPPONGI TERRACE by CAt (C+A Tokyo)]

12テナントからなる賃貸オフィス。敷地は六本木駅から徒歩数分、六本木ヒルズと東京ミッドタウンに挟まれるような場所にありながらも、街の喧騒を避けられる六本木西公園に面している。
折れ戸を開け放つと、都会のオアシスともいえる公園の緑や広がりを目一杯取り込むことができる。空間は筒の如く敷地の前後を連続させてしまう。
建物に近づくと1階は公園のレベルより1mほど下にあることが分かる。デッキ張りのテラスは室内とも隣のテナントとも緩く仕切られ、内外含めた大きなエクストラ空間を作り出している。
西のエントランス側は一転、密集した住宅地となり、15m程のアプローチを持つ旗竿敷地の奥に建つ。
開発を免れた戸建て住宅が肩を寄せ合うように立ち並ぶ一角で、近隣に対しても圧迫感のない姿にすることも大切だ。
建物の東西を開け放ち現れる抜けは、近隣にとっても有効なようだ。
1階共用部。敷地が台形のため、辺の角度に合わせて2つのボリュームが軽く折れ曲がって合わさるような状況。
各テナントは大きめの鉄扉とガラス扉で観音開きにできる。
1階、1C室。室内の半分ほどを土間にして、軽く一段あがりフローリング。そのままテラスへ連続する。
そして室内を横から見ると、傾斜したスラブが公園に向かって開いていっていることが分かる。
オフィス仕様ということでキッチンは小さめだが、正面はシャワールームもある。
1B室。こちらテナントでは土間から腰を掛けられる高さの小上がりもある。
これらの段差は、敷地の若干の高低差を利用しつつも、床下をふかして意図的にレベル差を設け、空間の仕切りや居場所づくりとして操作されている。
断面図。スラブは上階ほど傾斜が大きくなる。公園の緑を取り込みながらも室の奥に対して公園からの視線が入りにくい。
東西それぞれの開口は1階から3階まで同じ高さ。住宅地側では最高軒高が抑えられ、近隣への圧迫感を軽減しながら工事費も抑えるといったメリットがある。
スラブの傾斜は外観の意匠としても現している。
開口から少し見えているが内壁をOSBで仕上げている。そのOSBを部分的に型枠にも用いて表情を変えることでスラブを強調している。
2階共用部。折れ曲がる2つのボリュームは、廊下の床と天井にも段差を設けることで、断面でも2つのボリュームを感じさせる。この段差は階段の段数を減らすために一役買っているそうだ。
スラブは斜め、FLも異なり、ボリュームは折れ曲がるなど、複雑な階段の納まりはなかなか図面では指示しきれないので、大きめの模型を作って現場で合わせていったそうだ。
2階平面図。折れ曲がったボリューム同士の間は個室のように囲われた空間と、エレベーターシャフトなどに利用。
2B室。2階のテナント内の段差は1階よりも大きくなる。
横から見ると1階よりもスラブの傾斜がきつくなるのが分かるだろうか。
天井は面一ですっきり見せ、逆梁を利用して床の段差を作り出している。
南端の2A室は、廊下から直角にエントリーし、サンルームのような内外が曖昧なスペースを持つ。
A・D両端のテナントの内壁は断熱層をOSBで覆っている。
東側。公園の緑と六本木交差点周辺のビル群が風景として広がる。
一方西側には住宅地が迫る。異なる風景を室内に取り込み、都市での営みをスコープで覗いているようだ。
雁行するバルコニーの先に東京ミッドタウンを望む。
お隣さんと少し顔を合わせられるのでコミュニケーションのきっかけとなるだろう。
3階共用部。雁行はこちらにも現れる。
3B室。3階の段差はさらに顕著になり、テナントによっては90cm近く床レベルが変化する。
こういった解放性はコロナ時代では必須となるだろうが、シーラカンスではずっと以前から自然に取り入れてきたデザインだ。
3D室では4段のフロアをもつ。
それぞれのフロアでオン・オフ異なるシーンを創れそうだ。
公共建築でみられるような、おおらかなスキップフロアが心地よい。
バルコニーから南側を見上げると六本木ヒルズ。
屋上にはシンクが備わるコモンテラスを設えた。六本木という街を全身で受け止めながら、入居者同士の交流にも一役買いそうだ。
赤松佳珠子さん、大村真也さん、奥に担当の久保公人さん。
「多様化するワークスタイルを実現する開放的な建築としました。六本木駅に近く、敷地東側には公園という魅力的な立地条件を最大限に活かすため、全室が公園に開放されたテラスを持つ親自然的な建築です。特徴的な斜めの天井が公園からの視界を遮りながら、光や風を採り入れた居心地のよいワークプレイスにできたと思います。」と赤松さん。
【ROPPONGI TERRACE】
設計・監理:CAt (C+A Tokyo)
担当:赤松佳珠子、大村真也、久保公人
構造設計:江尻建築構造設計事務所
設備設計:Yamada Machinery Office
施工:中川企画建設株式会社
建築主:シマダアセットパートナーズ株式会社

構造:壁式RC造
規模:地上3階建、敷地面積270.77m2、建築面積162.27m2、延床面積431.78m2

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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