BASE

Chie Konno, Hiroyuki Unemori
9. 3月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.

金野千恵/teco + 畝森泰行建築設計事務所による台東区浅草橋の「BASE」。1棟を借り上げ、2者によってリノベーションし、それぞれの事務所とプラスアルファのスペースを設けた。

1964年竣工の5階建てビル。しばしば協働でコンペに出す間柄の金野さんのtecoと、畝森さんの畝森泰行建築設計事務所が共有しながら使う。
2020年10月には稼働したが、コロナ禍でお披露目できない状態であり、この記事が公での初公開となる。
角地に建つことから1階は〈SQUARE〉と名付け、広場のように使えるスペースとした。ミーテイングスペースであり、カフェやキッチンともなる。
服飾小物などの問屋が多い浅草橋の街に、店舗のようにフルオープンで開くことができ、近隣の神社の祭りや商店街のイベントなどにも積極的に参加できる構えとした。
引き戸とカーテンを閉めるとこのようになるが、半分街に開いた状態に。
こちらはキッチンとダイニングテーブルで、キッチン用に上下水道管や換気設備を敷いた。tecoではよく夕食を作って皆で食べるそうだ。
将来的にはカフェとして営業できるように飲食店の基準を満たす造りとなっており、金野さんは食品衛生管理者免許を取る予定で、オペレーションしてくれる店を探し、月に何日かは営業したいと話す。
時代を感じる階段室。各階に大きくサインをペイントした。
2階〈GARDEN〉
窓の框を外し、透明ビニールカーテンで緩く閉じた半屋外スペース。近隣は商業地域のため公園があまりないので、余裕のあるビル内に公園のように外気に包まれて仕事ができる場所があったら、働き方の幅が広がるのではと考え作った。
右のミラーシート張りの中は収納とトイレになる。床は防水を改めた上でタイルを張った。
実際はビニールカーテンなので取材に訪れた2月初旬ではかなり寒い。工具を使ったDIYや、暖かい季節にはミーティングなどに使えるが、緑を増やしながらさらに使い方を模索していくと同時に、設計において “半屋外” を提案することも多い中、自身たちの日常でも半屋外空間に身をおき、実験や検証を行うスペースでもある。
左のテーブルは杉、右は現在は伐採が制限されているライチの木。
3階〈teco〉
各フロア共に吊り天井を外し、オフィスでは上部に模型置きの棚を設え、仕上げはそれぞれの事務所の好みとした。
神奈川県愛川町で計画中の高齢者×障害者×コミュニティー施設。福祉施設でもありながら寺子屋的に習い事のスペース、シェアオフィス、ランドリーなども入る複合施設。
この3月に着工する。
4階〈畝森泰行建築設計事務所〉
床にクリア塗装のみの仕上げとした。
こちらが2者共同体のUtA(Unemori teco Associates)でコンペを勝ち取った北上市保健・子育て複合施設〈hoKko〉
ショッピングモールの1・2階を改修して、保健施設や子育て支援施設、キッチン、行政事務所などが入る。
オフィスには模型の1/4ほど分のみしかなかったが、全体イメージではこのようになる。波打ちながら床や天井レベルを操作し、2階ではそれが子供の遊び場になるそうだ。まず行政事務所が3月末から運用を開始する。
他にUtAで琴浦町生涯学習センター、須崎市図書館等複合施設も計画中だ。
まだスタディ中の住宅改修計画。古い民家のある敷地で、既存の軸組を用いて全く新しい外皮をかけてしまおうというプロジェクト。
福島県の田村市屋内遊び場がもうじき竣工する。
5階〈LIBRARY〉
両事務所の蔵書やサンプル、カタログが並ぶ静かな空間。奥では模型制作もしている。
6階〈SKY〉
塔屋を利用したスペースで、水栓やトイレを設け、ビールが冷やされている冷蔵ケースも見える。
オフィスフロア以外のパブリックフロアに、雰囲気の異なるトイレを3箇所設えた。最上階のこのトイレは一番開放的だが、塔屋なので夏はかなり熱くなることも予想される。
屋上は全面にデッキを敷き、使い勝手を良くした。ここもこれから様々に活用していけるだろう。
金野千恵さん(手前左)、畝森泰行さん(手前右)とtecoと畝森事務所のメンバーで。(何名かは現場に出ている)
このビルのリノベーションはスタッフ全員でアイデアを出し合うコンペ形式を採り、金野さんと畝森さんが審査してデザインを決めたという。共用フロアに水周りを設け、それぞれ性格の異なる環境とし、オフィス以外のスペースでも様々な発見や、仕事ができるようにした。協働で北上市のコンペを獲ったあと、2つのコンペでも勝利しているという息のあった2つの事務所だ。

昨今、アトリエ系の設計事務所を敬遠する若者が増えているが、こういった形で小規模な事務所同士が補完し合い、『1+1=2』以上の力を発揮している姿を目の当たりにした。そして若いスタッフが仕事を任され、能力を伸ばし、力を付けていけるのもこういったアトリエ系の良さであることを感じた。
【BASE】
設計:UtA (畝森泰行・金野千恵・石井優希・泊絢香)
施工:恭和SL+自主施工
主要用途:事務所+α

構造規模:RC造/地上5階建+屋上
敷地面積:62.31㎡
建築面積:54.09㎡
延べ床面積:281.91㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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