Onomatopoeia Architecture
Kengo Kuma, John Hill
25. Juni 2023
All photographs by John Hill / World-Architects
ヴェネチアで開催の隈研吾「オノマトペ建築」展レポート 。2023年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展と同じ半年間の会期中に、ヴェネチア周辺で開催される数多くの展覧会のひとつで、アカデミア橋のすぐ近くにあるファルケッティ宮殿 (Palazzo Farchetti) で開催されており (2023/5/14~2023/11/26)、World-Architectsのエディターが訪れた。
展覧会のタイトルである “Onomatopoeia Architecture” は、2015年に出版された隈研吾の著書にちなんだもので、音から連想される言葉を意味する。
オノマトペは多くの場合、建築のようなものよりも漫画で多く用いられる(“バシッ!” や “ドカーン”を思い浮かべてほしい)。オノマトペは隈にとって、論理から距離を置き、言語を通して人々に彼の建築を理解してもらう別の手段を見つけるための方法なのだ。
パラッツォ・ファルケッティでの展覧会に伴うカタログの序文に、彼はこう書いている。「漫画のような13のオノマトペが、パラパラからズレズレまで、ヴェネツィアでの展覧会を構成している。」
隈研吾建築都市設計事務所によるおよそ20のプロジェクトが、パラッツォの8つの部屋に展示されている。
展覧会の各部屋に入る前に、来場者は階段ホールにある複雑な木の彫刻「アルベロ・デッラ・バルカ(船のマスト)」に出会う。波のダイナミクスを思わせるこのインスタレーションは、カタログによれば、ツンツン、ズレズレという擬音語と並んでいる。
最初の部屋は「パラパラ (solid and void)」。2020年東京オリンピックの国立競技場を含む3つのプロジェクトを紹介している。このオノマトペは、鉄骨と木材のハイブリッド・システムで構成されたスタジアムの多孔性に見られる。
高知県にある「梼原 木橋ミュージアム 雲の上のギャラリー」(2010)。展示の基本的なレイアウトは、完成した建物の1枚の写真の前に精巧に作られた詳細な模型を配置するというものだ。
三次元の模型は二次元の写真よりも驚きが多く、ブリッジ・ミュージアムの長い室内に猫がいるように、ユーモラスな発見もある。
2つ目の部屋には、「サラサラ (fluid and soft)」と、「グルグル (whirlwind, tornado)」の2つがあり、このオーストラリア・シドニーの「ダーリング・エクスチェンジ」(2019) は明らかに後者に沿っている。
3つ目の部屋は静岡にある「コエダハウス」(2017) の模型と写真があるり「スケスケ (horizontal, flat) 」が展示されている。
屋根は複雑な樹木のような構造を見せるために、模型では透明にしてある。
4つ目の部屋は「ギザギザ (hard, fold)」と「ザラザラ (rough, perception)」という2つの擬音。もうひとつは、スコットランドの注目の「V&Aダンディー」 (2018) を含むいくつかのプロジェクトに関するもので、荒々しい石板で覆われている。
もうひとつのザラザラは、パリの「Archives Antoni Clavé」(2017) で、内部の写真の横の壁に素材サンプルとして展示されている。
収蔵室の壁は、エキスパンド・アルミメッシュの上に和紙をまぶしたもので、「立体感と透明感のある新しいテクスチャーを生み出している」。
5つ目の部屋は「ツンツン (pressure, explosion) 」と「パタパタ (light, fold) 」。前者は愛知県にある「GCプロソミュージアム・リサーチセンター」(2010)。
パタパタに対応する3つのプロジェクトのひとつが、2018年にイタリア、アルテ・セッラ彫刻公園に展示された球体パビリオン「木霊」だ。部屋の中央には大型の模型が置かれ、来場者は中を覗き込み複雑な木組みに夢中になっている。
6つ目の部屋は、「ペラペラ (flat, firmness) と「フワフワ (elasticity, membrance)」が特徴で、前者は上海のファッション・インテリア「シャンシャー」(2010) で表現されている。特殊なファブリック、ポリエステルの布を立体的に加熱成型することで、繊細で洞窟のような空間を生み出している。
ポリエステルは、北海道にある小さな竪穴式屋根の建物「メム・メドウズ」(2011) にも見られる。この建物は、木造の構造体の周りにポリエステルのフワフワ膜を2層重ね、その空洞をリサイクルボトルのPETパネルで埋めたものだ。半透明の建物の輝きが模型に見事に写し出されている。
7つ目の部屋は「モジャモジャ (wave, line) と「フニャフニャ (relaxed, soft) 」という2つの擬音。隈が東京 吉祥寺の焼き鳥屋「てっちゃん」(2014) のインテリアデザインを手がけたように、カラフルなケーブルの束がシャンデリアから吊り下げられている。
てっちゃんではLANケーブルを再利用してモジャモジャを作り、「毛むくじゃらで毛糸のような風合いを表現している。」と隈は言う。
最後8つ目の部屋、「ズレズレ (displacement, flexible)」 には2つのプロジェクト。うちの1つはこの展覧会の2番目のサイトスペシフィックなインスタレーション「ラグーナ」の模型である。
ファルケッティ宮殿の中庭にあるラグーナは、大運河からも、そこに架かるアカデミア橋からも見えることから、その名にふさわしい。アルミニウム板をCNCフライス加工し、エキスパンドメタルのように変形させた立体的なパビリオンは、宮殿の上階から見ることができる。
【Onomatopoeia Architecture】
Kengo Kuma exhibition for the 18th International Architecture Exhibition in Venice
Venue:Palazzo Franchetti (S. Marco, 2847, 30124 Venezia VE, Italy)
Term:2023/5/14~2023/11/26
Posted by Neoplus Sixten Inc.
Kengo Kuma exhibition for the 18th International Architecture Exhibition in Venice
Venue:Palazzo Franchetti (S. Marco, 2847, 30124 Venezia VE, Italy)
Term:2023/5/14~2023/11/26
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