蓮山居

Yukio Asari
10. 4月 2024
All photos by Masao Nishikawa
敷地は袋小路の突き当たりで3方を住宅に囲まれ、西側1方に小学校のプールがある。採光が望める西側を谷状屋根とし、西向きの外壁が最大限確保できるよう敷地内通路を設けながら雁行させた。
10住戸からなる長屋。最大ボリューム × 法規制適合のアルゴリズムで導き出された切妻屋根の連なりと、雁行する敷地内通路が奥行きを生み出す。
植栽は外部では雁行の見え隠れを促し、内部からは枝垂れて見えるように植えられている。
隣接建物のない西側の屋根を谷状にすることで敷地内通路と室内に自然光をもたらす。
外壁の焼き杉が半艶の表情を出している。
通路の地面は真砂土。
数学的アルゴリズムで導かれた複雑な形態により入居者の知覚や身体感覚が刺激されるようにデザインされている。各専有室内部と敷地内通路の関係を茶室と露地に見立て、ディテールは現象学的ダイナミズムを生み出す。
各室の玄関やポストへは庭の景石でもある飛び石を伝いてアクセスする。
近景における視覚的情報量が減少しないように、外部階段の手摺りに匙面取りを施しディテールで密度を上げている。
階段の足元にある踏み石。真砂土と植込みの境界を隠しつつ景石にもなっている。
10号室から敷地内通路を見る。アルミサッシの召合せを竹方立で隠すことで、敷地内通路が庭として身近に感じられる。
08号室は3層で1階に水回り、2階は吹き抜けの寝室、3階がLDKとなる。
雁行配置と連続切妻屋根に、多方向からの開口が陰影に富む室内と、多様に切り取られた茶庭の風景を生み出す。
3階LDK。屋根勾配に沿って階段を配置し、吹き抜けを介して寝室と繋がる。
02号室は3階のワンルーム。建物全体が日影規制に適合するように調整された屋根勾配は、一部の室内においては屋形天井になり、天井高さが確保出来ない部分はクローゼットにしている(右手)。
各室開口部の位置は周辺との関係で厳密に決められ、隣家の屋根高さを超える3階は敷地内通路側とは別に南側にも開口がある。
敷地内通路を見る。切妻屋根が連なりつつ雁行する建物は逆光に映える夕山に見えてくる。アルミサッシの存在は竹方立や家具と一体化することでできるだけ存在を消した。
09号室2階キッチンよりリビング・ダイニングを見る。
リビング・ダイニングからは、連続切妻屋根がつくるの山や谷状屋根が室内にも見えてくる。
植栽のイロハモミジは2階でも愛でることが出来るよう計画されている。
屋形天井から吊られた和紙照明が露地行灯のように見える。
1階平面図
2階平面図
3階平面図
【蓮山居】
RENZANKYO apartment
設計・監理:ラブアーキテクチャー/担当 浅利幸男・貴志滉一
構造設計:傳工房
施工:サンオアシス
造園・外構施工:風
建主:シマダアセットパートナーズ

用途:長屋
構造規模:木造 地上3階建
敷地面積:189.83 ㎡
建築面積:107.80㎡
延床面積:284.62 ㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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