宮前の家

Kazuhiko Kishimoto + Yukiko Akaike
4. 4月 2024
All photos by Neoplus Sixten Inc.
計画地は新たに3つに分筆された土地で、2つの土地の間を通るT字型。
接道面に駐車場を設け、奥へ向かって植栽を縫うように飛び石を敷いたアプローチを進む。
玄関は一度半階上がった2階になる。
デッキ張りの玄関ポーチ。岸本さんはここを敢えて「踊り場」と呼ぶ。
玄関扉は2枚あるように見えるが右側はフィックスで、奥に覗く2連アーチを引き立てるようなデザインとしている。
見返すと、整えられたアプローチを少し高い位置から見ることとなるので眺めが良い。
玄関を入り北側を見る。右手の白い空間の上にはトップライトがあり非常に明るい。
アーチはアプローチの先からも見えるチャーミングな存在とした。そして丸柱は動線の中央にあって、いつも皆が触れるような家の象徴にした。
南側を見ても同じ構成で半階上下する階段が明暗の空間に分かれ配置されている。南北の半階下にはそれぞれ水回りと主寝室が配され、さらに半階下に子供室がある。
左の棚は下足棚。
模型で断面を見る。5層を2経路8つの階段でつなぎ、住まい手は1ヵ所に滞留することなく家中を常に巡る。
(photo: Yukiko Akaike)
南側に下りて1階水回り。下が子供室。
2階で見た構成にそっくりだが、1階では明暗部が反転している。天井から光が差し込んでいるのは、トップライトの光が玄関ホールのポリプロピレンの床板を透過しているため。
子供室は建物の中心に位置するためシンメトリーだ。
北側は主寝室。扉はトイレと浴室のみで、個室はカーテンで仕切ることとなる。
玄関前に戻る。トップライトを南北方向一杯に取った明るい路地のイメージ。
南に上がるとダイニングキッチン、北に上がるとリビングに振り分けられる。壁は左がクロス、右はドイツの漆喰プラネットウォールで仕上げで陽が当たると表情が出るようにした。
2階を模型で見る。
(photo: Yukiko Akaike)
2階、 “南の間” と呼ぶダイニングキッチン。壁面の開口は眺めや抜けは余り期待できないため最小限にとどめ、トップライトから十分な採光を得ている。 
キッチンからダイニングまで周囲にはできるかぎり収納を造り付けた。
ダイニングテーブルも造り付け。畳敷きの小上がりと、そこから上がってルーフテラスに通じている。
コンパクトかつ緻密に設計されており、ドールハウスの中に入り込んだ気分になる。
 “北の間” と呼ぶリビング。ひな壇状のベンチと造り付けのソファ。限られた空間だからこそ動線を兼ねた居場所は効率が良い。
ひな壇の最上部は畳敷きで昼寝にはもってこいだ。
2階と1階では雰囲気に大きな差を付け、明確なシーンの切り替えを行い、狭小ながら豊かな空間体験を生み出している。
ルーフテラス。建物の中心で、リビングからもダイニングからもアクセスできる。全方位に抜けが期待できないT字型のこの敷地で、唯一抜けがあるのがこの位置だ。そこを狙ってこの空中のテラスを設け、フランターにイロハモミジを植えた。
岸本和彦さんと、協働した元所員の赤池友季子さん。
「周囲を建物に囲まれながらもトップライトからの自然光が半地下まで届く家を計画しました。スキップフロアの階段を上っていくとルーフテラスを中心にコンパクトながらも様々な居場所をつくりました。」と岸本さん。
【宮前の家】
House in Miyamae
設計・監理:岸本和彦/acaa + 赤池友季子/赤池友季子建築研究所
構造設計:諏訪部建築事務所
施工:渡邊技建

用途:専用住宅
構造規模:木造 地上2階建
敷地面積:90.90 ㎡
延床面積:76.44 ㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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