天神町place

Hiroyuki Ito
3. novembro 2023
All photos by Neoplus Sixten Inc.
敷地は湯島天満宮の門前、清水坂沿い。大小の集合住宅が林立するエリアで、竿部分の広い旗竿敷地になる。
元々ホテルが建っていたが施主は住宅へ事業転換を希望し、建物そのままに住宅へのコンバージョンする案のほか、容積率一杯での建て替え、既存ホテルと同等の容積率で建て替えの3つの提案を行い、結果3つ目のスキームで進行することとなった。
通りからは2棟建っているように見え、左奥に大きく湾曲している様子が伺える。
(photo: Masao Nishikawa)
エントランスアプローチに、アパートのロゴマークがあるので建物の形が示唆される。
アプローチはの中間にオートロックがあり、住人以外は残念ながらその先を体験できない。
見上げると各フロアに廊下やバルコニーが渡してあり、角度によっては空が見えるものの、平面的には隙間のない屋根となっている。
アプローチを進むと驚きの吹き抜け空間が現れた。
階段を降りた先は地下1階。9層分の穴の底が中庭になっている。
接道面は西向き。東側は10m程落ちる台地の縁。3方を高い集合住宅に囲まれた完全に谷のような敷地であるため、十分な自然光が得られない環境で、どのように快適な住環境とするかがカギとなった。
いくつものボリューム配置を検討した結果、このような馬蹄形とすることで、周辺ビルの隙間にある抜けを出来るだけ多く得られるようにした。
そうして生まれた直径9mの中庭にはいくつもの居場所を設け、住民の憩いの場となるようにした。
閉鎖的ではと思うが、実際訪れると光が底まで差し込み(冬期には光量は減るだろうが)、なかなかない空間体験が出来る場で非常に快適だ。
見上げ。
そして、ここにいるとガウディのカサ・ミラでの空間体験を思い出した。
この吹き抜けがもし、単にコンパネや杉板型枠の仕上げであったら、恐らく “もたなかった” だろう。
ここでテクスチャーとして採用したのは "杉木片型枠” だ。
これは千葉県の山武杉を使っているのだが、産地で溝腐れ病が蔓延し、不良な材が多く余ってしまっているとのことで、なんとか利用方法はないかと相談を受け型枠に利用してみたとのこと。
木材の芯側は真っ直ぐカットしてあるが、外側は皮を剥いただけの厚さ15mmの不定形材で、それをコンパネの上に抜け勾配だけを考慮し等間隔で打ち付けた。
これによりコンクリートの壁に囲まれた中庭に密度が保たれ "もっている” のだ。
3階の渡り廊下より。
同じく3階渡り廊下から見た吹き抜け。
この吹き抜けが単なる壁でないと感じさせるもう一つの要因がこの外廊下。奥の3住戸へのアクセスするためのものだ。
廊下の奥より。3つ廊下でアクセスする3住戸はいずれもメゾネットとなる。
雨天では傘を差すことになるが、吹き抜けを横断的に体験できるこの3住戸の特権といえよう。
8階のエレベーターホールより。
各階共通で、北側へは渡り廊下でアクセスする。
馬蹄形に切り取られる空。
右手に見える802号室へ入ってみる。
手前からDK、水回り、寝室。
壁付きラーメン構造。各住戸の梁は等間隔の放射状に配され、それを手掛かりに間取りが構成されている。柱と柱の間、懐に合わせて家具や洗面などが造り付けられており、収納には困らなさそうだ。
また多くの住戸でご覧のように窓辺が居場所になるようにされている。
中庭側の曲率は約4500R。壁面の鉄筋は細いので曲率に合わせて曲げてあるが、梁の鉄筋は太いので真っ直ぐ配筋され、膨らんだ部分はコンクリートをふかして打ってあるとのこと。
浴室は広く折れ戸で全開にでき、空間を広く使えるよう工夫されている。(住戸によっては通常のコンパクトなユニットバス)
住戸の突き当たりは専有のバルコニー。
バルコニーは建物の内外に開放しており、中庭に向けて風や光を通す大切な装置でもある。
腰壁は両側を切り離し、通気と共に、縦長の各窓に合わせたデザイン的配慮でもある。実際、煙突効果からか周囲が無風でも緩やかな風が吹き抜けていく。
同様の7階バルコニーからの見下ろし。
上と下では光量が異なるため、各階で植栽の樹種は変えてあり、雰囲気も自然に生えている感じにしたそうだ。
803号室。居室全てが円弧状。
こちらの水回りはさらに開放的で、もはや居室と呼んでも差し支えないレベル。床はタイルで壁はFRP防水だ。
704号室はくびれ部分なのでS字型になっている。
メゾネットの503号室。5階がLDKで、
4階に寝室と水回りがある。
地下1階の住戸は内・外両側からアプローチできる。
こんな公園のような風景が生まれたらいいなと伊藤さんは思い描いている。
PDF平面図 >> ダウンロード
左から伊藤博之さん、担当の上原絢子さんと、伊藤愛さん。

「日当りや敷地形状、勾配など、非常に難しい敷地のプロジェクトでしたが、ポジティブな条件にもネガティブな条件にも等しく向き合うことで、ここにしかない場所が生まれるという我々の考えが、分かりやすいかたちで現われたと思っています。周囲に風がなくても、バルコニーで感じられる風の気持ち良さを皆さんに体験していただけたらと思います。」と話す伊藤博之さん。
【天神町place】
設計・監理:伊藤博之建築設計事務所
構造設計:多⽥脩⼆構造設計事務所
設備設計:テーテンス事務所
電気設備:EOS Plus
植栽:⻑濱⾹代⼦庭園設計
施⼯:サンユー建設
建物⽤途:共同住宅 (35⼾)
規模:地上8階 地下1階
構造:RC造
敷地⾯積:782.21 ㎡
建築⾯積:379.52 ㎡
延床⾯積:2448.55 ㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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