弦巻の三角

Manabu Naya
28. décembre 2023
All photos by Neoplus Sixten Inc.
敷地は作品タイトルの通り三角形だ。南と北、二面に接道しているので、プライバシーを確保しながら三角の敷地を積極的に利用することにした。
直角二等辺三角形の2箇所の鋭角部分を外部スペースにして、庭やテラスとしている。
地下階の玄関を上がって1階LDK。ご覧のように三角だ。
施主は日当たりの良いこの敷地を選んだが、プライバシーも確保したいとのことでハイサイドの大開口とし、少し視線の抜けも確保しつつ、借景や自身の庭木が望めるように腰高にも開口を設けた。
LDKのダイニングに当たる部分は2層吹き抜け。ハイサイドからの光が縦横に反射し非常に明るい。
キッチンやリビングは天高を抑え、2階の階高を確保すると共に、この吹き抜け空間の高さを強調している。
左の扉はトイレと書斎。2階は寝室。
リビング側から。
こういった三角形の敷地の場合、ハウスメーカーはできるだけ四角い平面を取ろうと雁行させる。しかし納谷さんはせっかく三角形の敷地なのだから、その敷地を感じられるようにしながらも、無駄が出ないような計画を進めた。
リビングの奥からテラスに出られる。
テラス。2階から延びる袖壁は、三角という意匠性を強調しながら、テラスに自分の領域感をもたらし、2階では周囲の視線を遮るパーティションとしても機能する。腰壁の前にBBQグリルを置くそうだ。
テラスは意外に広く、5〜6人集まっても十分に寛げるスペースだ。
キッチン横の書斎。リモートワークが多いご夫婦が二人で利用している。
2階への階段はJパネルで製作した。CLTのように木目の交差させながら積層させた構造用合板で、強度が高いため厚さ30mmの材で階段をつくることができた。
2階。右手にトイレと将来の子供室。左手に浴室で、奥がWICと主寝室。
2階からはハイサイドより遠景が望める。三枚引きの障子戸が吹き抜けに面して2箇所。
吹き抜けを見下ろすと三角。この日は竣工撮影もあったので施主夫妻が撮影に協力していた。
子供室。USMの家具が用意されている。
テラスに突き出した袖壁。プライバシーを確保しながら光や風を引き込む。
水回り。
浴槽からは光井戸を介して小さいながらもプライベートな空を眺めることができる。
主寝室。先ほどの子供室と同様、筆者の左側には袖壁が突き出しており、プライバシーを確保しながら光や風を取り込める。

「絵に描いたような三角の土地が道路に突き出した敷地ですが、道路面より高いため日当たりや風通しが良い環境です。三角形の敷地はその形状が故、無駄で使われないスペースとして計画の置き去りにされがちですが、ここでは建築とパブリックの間に積極的に余白空間を取り組むことで、プライバシーとパブリックの両方を会得することを考えました。敷地のもつ短所に対処し、長所を最大限引き出し、より魅力的な空間として提案するのが建築の役目だと思います。」と納谷学さん
平面図
納谷さんがデザインした家具「LAMINA」シリーズを持ち込み撮影も行われた。
LAMINAは建具を製作する際にでる秋田杉の切れ端、半端もの、選別で振り分けられた材などを使い3層に積層させて板を作り、その板を使った家具だ。
www.giligili.jp
【弦巻の三角】
設計・監理:納谷建築設計事務所/納谷学、太田諭、内山大輝
構造設計:長坂設計工舎
園芸計画:GILIGILI
施工:江中建設
用途:専用住宅
構造規模:地下階RC造1階+地上木造2階
敷地面積:116.12 ㎡
建築面積:66.48 ㎡
延床面積:96.44 ㎡

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