加古川のオフィス

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2007

写真: 松村 芳治



加古川市の中心より車で数分、新興の住宅地や店舗の街並の中に、そのオフィスはある。緑の映える芝生の上にキューブがひとつ、静かにたたずむ。

オフィスという機能上、周囲に対して閉じた構成をとる一方で、幹線道路に面した敷地の南側を、芝生の広場として地域に広く開放している。 キューブと一枚の壁に挟まれたエントランスでは、奥にある坪庭に落ちる柔らかな光が人々を迎え入れる。扉を開き、室内に一歩足を踏み入れると、そこは大きく吹き抜けた空間となっている。

トップライトから落ちる光と上階の執務空間から伝わってくる気配が空間に広がりを与える。

南側の坪庭に対して切られた地窓が、オフィス内のプライバシーを確保しつつ室内に柔らかな自然光と木々の緑をもたらし、暖炉は炎の揺らめきと薪がはぜる音をもたらす。

杉板のテクスチャの残るコンクリート壁は空間を引き締め、ペントハウスへと続く階段が、吹抜けの中に浮かんでいるように見えることで、空間に豊かな表情とシーンを与える。

執務スペースへと続く2本の階段では、ついたての様に曖昧に仕切る壁による空間のつながりとトップライトから落ちる光により、上方へ導かれるように上へと進む。執務スペースは吹抜けを介しもう一方のスペースまで見通せる、水平に広がる空間となっている。

大きな一室空間にそれぞれの執務スペースを配し、ゆるやかな領域を形成しているオフィス空間では、季節や時間の変化を感じることができる。仕事の合間のふとしたとき、何気ない一瞬に感じる自然の現象や日常のうつろいは、そこで働く人々に精神的な安らぎと豊かさを与えることであろう。



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