空間研究所による鎌倉の長屋「SASU・KE」

Neoplus Sixten Inc.
20. janeiro 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

敷地面積499m2、建築面積189m2、延床面積446m2。RC造+一部木造、地下1階、地上2階建て。オーナーの住戸と、賃貸が8住戸からなる。
敷地は4mほどの高低差があり、大階段で一度上がったところに住戸の玄関があるようだ。

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崖地が迫る敷地ではRC造でなくてはならない特有の条例があるが、ここでもその条例が適用される。法定建蔽率40%、且つ風致地区ということから余白が多く植栽を存分に施した。
 

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RCの塊が前面に出ないよう、ファサードの木製ルーバーで緑豊かな周辺環境に配慮した。30度、45度、90度の3パターンで角度が付けられ、RC壁への熱負荷を軽減し、開口部では採光や眺望をコントロールしながら設置されている。

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ベイマツ集成材のルーバーは動かすことができそうに見えたが、ボルトでしっかり固定されている。
 

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階段を上ると中庭が現れた。この中庭を「C型」に囲むように住戸の入口が配されている。
中庭はコモンスペースとして、居住者同士の交流や憩いの場、さらには街と連続することをオーナーは望んでいる。右がオーナー住戸部。
敷地には様々な木が植わり、中央にはソヨゴ、周囲にイロハモミジ、トクサ、ハイノキ、ツツジ、ナンテンなどだ。

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RC造の躯体の上に木造の屋根が軽やかに乗る。折れ屋根は背後の山並みに合わせた格好だ。
 

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庭の中央には迷子石のような石がひとつ。この敷地は随分前に寺院があったそうで、工事の際地中から出てきたものを土地の記憶としてアクセントにした。

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北側の105号室へ。変形の敷地からくる変形の平面を持つ。折れ屋根の複雑な表情と相まって、住み手に住まい方のアイデアを喚起させそうだ。左奥は水回り。
 

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RCの躯体には軒桁がなく壁の展開図が凹凸形状だ。これにより開口が大きく周辺の景色をたっぷりと取り込むことができる。
 

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軒桁と棟木で枠をつくり、その間に垂木を渡して屋根を支持。棟木は120×360あるので、軒先で必要以上に厚くならないように角度を付けながら細くなり、かつ3方から組み合わさるという手の込んだ大工仕事が見られる。
この写真のように、棟木をRC躯体に乗せることができない箇所では鉄柱で棟木を支持している。

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中庭の切れ目が大階段で、街と繋がる。
ちなみに抜けた先に見えるグレー(退色したウリン材)の建物は、当ブログでも以前紹介した手塚建築研究所の「山を捕まえる家」。

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一度大階段を降り101号室へ。この住戸は地下と1階からエントリー可能で、前庭に駐車場もある。
 

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地下階はがらんとしており、ガレージや店舗として使うことができるようにもした。
 

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1階は寝室を想定。水回りもこちらに。
 

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2階はLDK、或いはDKとして。高さの異なる開口から中庭を望むことができる。
 

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オーナー住戸。ガラス引戸でコモンスペースに開いている。
 

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1階。階段の下は駐車場に通じており、そこから上がってきて、右の土間が玄関となる。
天井にカーテンレールが見えるが、手前を仕切って寝室として利用できる。筆者の背後に水回りがある。

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ルーバー越しに見え隠れする鎌倉の景色。
 

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見上げると三角形の吹き抜けになっていた。
 

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2階はLDK。向かいと手前の折り屋根がクロスしながら豊かな表情をつくりだしている。

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2階からは大きさや形状の異なる開口が7箇所もあり、そのどれからも同じ景色がない。

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102号室。南側の庭に面したワンルーム。
 

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103号室。天井に高低差があなりあるL字平面のワンルーム。
 

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「敷地が周辺よりかなり高いので、ここでコンクリートの大きなボリュームが立ちはだかるようにならないよう配慮しました。そしてこの高低差によって敷地と街が分断されかねないので、大階段や店舗利用もできる住戸を配し、街と建築、住み手が繋がるような計画としました。」と金子太亮さん。
 

【SASU・KE】
建築設計:篠原聡子+金子太亮/空間研究所
構造設計:中田捷夫研究室
設備設計:冨張設備
施工:リンク・パワー

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