Solana Takanawadai

Spatial Design Studio
16. agosto 2021
Photo by Ryota Atarashi, other photos by Neoplus Sixten Inc.
敷地は一角に建つ住宅を囲うようなL字型の変形地で、かつ高低差がある。共用部へのエントランスは北、東の2カ所にあり、こちら南側1住戸のみ地下階からのエントリーする。1住戸が長屋、9住戸が共同住宅となる。
写真の東側と北側のエントランスは1階。1階住戸のプライバシー確保のために塀のグレーチングは二重にしてある。
エントランスを入ると細長い共用部が現れた。大きなボリュームが裂けたようなスリット状の共用部となっている。
見上げると3層の吹き抜けでトップライトになっており、その光を享受できるよう各住戸には出窓が据えられている。出窓は向かい合うことはなく、かつ出窓であることで他の住戸と視線が交わりにくく計画されている。
集合住宅においてバルコニーやテラス、あるいは外部にオープンな共用空間を設け、住人に積極的な利用を促すような設計も多いが、実はあまりそのような設計者の意図通りに利用されることは多くないそうだ。であれば外部空間を建物内側に挿入し、光を積極的に採り、かつ室内からの視覚的な広がりを得られる装置にしてしまおうという試みだ。
写真ではお伝えするのは困難だが、3階ではスリット状の吹き抜けはT字型に展開し、3方から異なる景色が取り込まれている。
平面で見るとこのようになる。左が2階、右が3階
左がA-A断面、右がB-B断面。
トップライトは開閉可能なハッチになっており、吹き抜けの空気が設定温度になると自動で開く。またセンサーにより強風時、降雨時には自動で閉じてくれる。
こちらは約25㎡の1K住戸。各住戸の殆どが3面に開口を持つ。
出窓部分はデスクになっていたり、、
ベンチになっており座面の高さは椅子タイプとソファタイプがある。
出窓の白い部分は乾式で施工され、吹き抜けを挟んだ隣の住戸も同位置が乾式のため、将来建物の使い方が変わった場合、大きな住戸にリノベーションすることもできる。
面積算入されない出幅の出窓は、スペースの限られる都心のアパートでは有効だ。出窓に用いた天板(座面)は白樺(ロシアンバーチ)の合板で、通常のシナやラワンに比べて強度が高く、ここでは21mm厚でも壁から200mm持ち出してもたわみが出ないそうだ。
約36㎡の1LDK住戸。キッチンにはMUJI+KITCHENを選択した。
フローリングと、水回りに関わる箇所はモルタルの土間的な使い方だ。
別の1LDK住戸。出窓がないが吹き抜けが中庭のような扱いになっている。
これはなんでしょうか。雨音がレンジフードに響かないように人工芝を貼り付けたそうです。
南側の長屋住戸へ。右手前部分は専有部で、左は共用の自転車置き場になるそうだ。
約35㎡で振り分けの1LDK。共同住宅部でのスリットは、この住戸では壁柱に挟まれた収納になっている。
反対側にも壁柱が現れ、程よい目隠しになっている。
この建物唯一の引き戸。SOHO使いも想定して光が入るようにした。
共同設計者の金子太亮さん。
篠原聡子さんは当日いらっしゃることができなかったので、以下のコメントをいただいた。「このコンパクトな集合住宅は、都心に在りながら閑静な住宅街の一画に建ちます。この住宅地の魅力は、起伏のある路地で、歩みを進めると急に景色がかわり、ただ閑静というだけでない魅力がそこにはありました。その路地を二方向から建物に引き込み、さらに多様な景色を建物の中につくりだすことにしました。住人同士のプライバシーに最大限配慮しながらも、この立体路地に面した住戸の窓の明かりから、ここに住む人々は、この建物に住むことを共有できると思います。また、各住戸はいずれも二方向に開口部を持ち、豊かな街の表情をそれぞれにきりとっています。」
【Solana Takanawadai】
設計・監理:篠原聡子+金子太亮/空間研究所
構造設計:オーノJAPAN
施工:辰

用途:長屋(1戸)、共同住宅(9戸)
構造・規模:RC造・地上3階、地下1階
敷地面積:194.18㎡
建築面積:122.96㎡
延床面積:369.32㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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