段の家
Niji Architects
18. abril 2022
All photos by Neoplus Sixten Inc.
原田将史+谷口真依子(ニジアーキテクツ)による東京都の「段の家」レポート。敷地と建物が一体となり、全てが居場所や遊び場所となるような住宅。[Step House, Tokyo]
コロナが猛威を振るい始め、子どもが保育園や公園にするら行くこともままならない時期の設計依頼ということもあり、敷地も建物も目一杯使って、家で走り回れるシーンを思い浮かべながら計画された。
玄関は2階。2階にリビング、1階に寝室を配置する前提で、皆のいるリビングを常に通って出入りするように玄関を2階に配した。そのための階段は脇役にせず、家族や訪れる人を迎え、上りたくなるような格好とした。
2階も二辺にデッキ張りのテラス。旗竿敷地ながら旗部分は比較的広く、1階で2.8m、2階で2.3m、「段々」のテラスでセットバックさせ、近隣との距離を取り北西に寄せられている。
建具で仕切られただけのような軽やかなボリュームは内と外の明確な境をなくし、全体が家であり全体が庭のイメージを実現している。
模型で全体を見る。セットバックで外部を積極的に取り入れている様子が分かる。ポールはタープを張るために利用し、外構には木々も植えていく。
2階LDK。40cm床を下げた「段」になり、縁側が屋内にあるような雰囲気。おそらくここを訪れたひとはとりあえずこのように腰掛けるだろう。
下げられた床によって目線がテラス(=外)に近くなり、同レベルで連続させるより一体感を感じる不思議な効果がある。
隙間を作るために床を下げたというより、下げたことによって隙間が生まれた。結果1・2階で気配が繋がるようにもなった。
子どもがまだ小さいのでネットを張るそうだ。
キッチンは舞台のように上がって見える。段差はダイニングのベンチにもなる。
キッチンには強力な換気扇でフードを付けない「手塚式」(と筆者が呼んでいる。手塚建築研究所出身者がしばしば採用する)ですっきり。
キッチンから。これだけ解放して近隣からの視線はというと、こちらを向く隣家の開口はどれも小さくさほど気にならない。もちろんぐるりとカーテンが取り付けられる。
外も内にも段がある「段の家」は全周が居場所になる。
CLTで作られた階段で1階へ。上には南向きのハイサイドライトが設けられており、暗くなりがちな北西の角へ光を導いている。
1階にも床を周囲のデッキから20cm下げた段がある。中央にコア状のウォークインクローゼットを置き家族全員の衣類はここに。明確に「室」とはなっていないが、右側を主寝室、手前を子供室、左が書斎となる。
将来的には子ども3人を想定しており、家族皆がシームレスに繋がり、気になるようであれば何かで仕切ろうという大らかな考えだ。
2階の隙間から可愛い顔が覗いている。1階と2階もシームレスに繋がる。
夫婦共に殆ど在宅勤務になったそうで、書斎は不可欠だ。
書斎から回り込むと水回り。洗面・トイレ、浴室、洗濯・家事室と続き、右に回り込むと引き戸を開けて主寝室へと繋がる、回遊型の動線となる。
床は全面FRPとした。
原田将史さんと谷口真依子さん。子どもがいた方が良い写真が撮れそうだったのでお子さんを連れてきて頂いた。
「コロナ禍になってから、多くの人が住まいに対する関心や意識が高まり、考え方が変わってきているように感じています。『段の家』は、コロナ禍に入ってから設計のご依頼を頂きました。夫婦ともに在宅勤務が基本となり、子どもも含めた家族全員が住まいで長い時間を過ごすことが予想されました。敷地全体において様々な居場所や遊び場所を建築で提供することで、建築のみならず敷地全体を余すところなく使い倒し、居心地の良い敷地環境を作り出すことを念頭に置いて計画を進めました。そのための周辺からの引きの有る段であり、床の段差でもあります。」原田さん。
【段の家】
設計・監理:ニジアーキテクツ一級建築士事務所/原田将史+谷口真依子
構造設計:平岩構造計画
施工:山菱工務店
用途:専用住宅
構造規模:木造/地上2階建
敷地面積:171.11㎡
建築面積:62.08㎡
延床面積:93.49㎡
Posted by Neoplus Sixten Inc.
設計・監理:ニジアーキテクツ一級建築士事務所/原田将史+谷口真依子
構造設計:平岩構造計画
施工:山菱工務店
用途:専用住宅
構造規模:木造/地上2階建
敷地面積:171.11㎡
建築面積:62.08㎡
延床面積:93.49㎡
Posted by Neoplus Sixten Inc.