8 HOUSE(ハチハウス)
8 House by Arbol,
19. december 2018
Photo by Neoplus Sixten Inc.
堤庸策+堤円佳/arbol(アルボル)による東京都練馬区の住宅「8 HOUSE」(ハチハウス)を見学してきました。大阪をベースにするarbolが、東京で初めて手掛けたプロジェクト。
敷地面積83m2、建築面積41m2、延床面積86m2(容積対象延床面積:74m2)。木造2階建て。
第一種低層でかつ上記のスペックに、家族5人と、親世帯2人の計7人が住まう二世帯住宅だ。(来年もう一人生まれ8人に)
「はじめ電話で依頼内容を聞いたときは聞き間違いなのかと思った。」と堤さん。聞き間違いでないことが分かり、非常に難しいプログラムで挑戦しがいがあるプロジェクト、"それでこそ建築" と思い引き受けたそうだ。
ちなみに「8 HOUSE」(ハチハウス)とは施主の名前に「八」があり、ファサードのデザインが「8」の字を描いているのをはじめ、構成に「8」の字を用いているためだ。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
ガルバリウム鋼板の波板は外壁だけに留まらず、柱や梁にも巻き付けた。
法定建蔽率50%ながら敷地一杯に建っているのは、2階バルコニーがデッキ張りでスリットを開け、雨が落ちるようにしたためガレージ部分の多くが建蔽に算入されていないため。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
役物を使わずに曲げた角に合わせ、笠木にもRが付けられている。
そして気になる開口部はテント膜が張られているのだ。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
二世帯だが玄関は一つで引戸で出入り。8人住まいの玄関としてはかなり小振りだ。正面が浴室で二世帯の共用部としてスポット一灯で象徴的な空間とした。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
お母さんの部屋。専用の洗面ボウルが備わる。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
表の植栽やこの中庭は、大阪のグリーンスペースが担当した。
テント膜はこちらにも使われており、塀で覆われた硬さがなく、光も透過するので圧迫感を軽減している。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
2階LDK。6人で暮らすストイックだが、細かなルールを設けながら緻密にデザインされた空間。床の目地や柱、家具の位置、建具や収納の幅・高さなどお気付きの点があるだろうか。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
1階に見えた中庭は、2階でも光を取り込みながら、空間に緑を添える重要な装置だ。
左の壁に沿って、設備を並べ空間を有効利用。奥が主寝室となる。
個室はコンパクトにし、LDKをできるだけ広く取り家族がいつも顔を合わせられるようにした。右の壁にテレビ代わりにプロジェクターを投影する。
壁・天井はマーブルフィールの左官仕上げでしっとりとしている。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
オールステンレスのキッチン。Mieleの食洗機と、施主が選んだKOHLERの水栓。
キッチンの左に洗濯乾燥機が納まり、その上の戸の中が物干しスペースになる。物干しスペースの中には窓もあり、24時間換気の吹き出し口もある。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
主寝室。ダブルベッドを置いてプラスアルファの広さ。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
幅3mある古材の天板を使ったダイニングテーブル。脚の部分は製作で1階同様収納が備わるテーブルだ。
良く見るとダウンライトが対角線を結ぶように配置されている。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
リビングスペース側。洗面室は設けられないので、洗面台がリビングスペースに露出している。奥に子ども室。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
子ども室。下に中学生のお兄ちゃん、上に小学生と幼児の女の子が寝るという。一応ロールスクリーンを用いてプライバシーを確保できるようになっているが、数年後いよいよ手狭になった場合は、ガレージ横のスペース(この部屋の下)に離れを作ろうかと施主は考えている。
筆者の左手前に小さなクローゼットがあるが、このご家族は基本的に非常に物が少ないコンパクトな生活をしているので、この計画が成立するのだ。
Photo by Neoplus Sixten Inc.
バルコニー。サッシュはスチールの製作で黒皮塗装がされている。
不思議なもので、テント膜で覆われていると隙間があることと物理的に薄いためか、閉鎖感がとても少ない。
「今回の条件は、第一種低層、二世帯住宅、ガレージ付き等と制約がある中で、間口6m、奥行き13m、の敷地を1650×2500グリットで区切り、立体で考えることにより設計の糸口が掴めた気がします。」と堤庸策さん