写真 © Takahiro Arai
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ROKI Global Innovation Center

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2013

敷地は東京から南西に250km、静岡県浜松市にある自然豊かな場所に位置する。
クライアントは株式会社ROKI。高いフィルトレーション(ろ過)技術を持ち、自動車等のフィルターを製造する企業だ。

まず、1年間の敷地環境調査を行い、その場所の歴史、地形、光、風などの特徴を得た。豊かな自然を発見していくことは、働く場の建築的在り方を問い直す作業でもあり、従来の研究施設の考え方である「機械中心の室内環境を一定に保つ事」ことではなく、「人間中心の曖昧性や不均質性」をもつオフィス空間へのアイデアへとつながった。

鉄骨トラスと木を組み合わせた軽やかで大きな格子状のダブルスキン屋根は、クライアントの自社製品である「ROKIフィルター」というオートモービルに使用するフィルター素材で仕上げられている。南面する天竜川から室内へと流れ込む涼風は、フィルターを通して天井部から排気される。フィルターはまた、吸音効果や、光の拡散効果も合わせもつ。日本の障子のような半透明なそれは、刻一刻と変化する空模様を内部に映し出す。

日本独自の「間」の連続性を、積層したプレートによる立体的な構成に置き換え、元来日本建築がもつ自然との豊かな関係性に倣い、外部環境の変化に応じて内部もまた多様で緩やかに変化する場がつくられる。それは、エンジニアのより豊かな創造性を引き出し、また彼ら自らが働く場を主体的に選択することのできる、自由で開放的なオフィスを実現している。

研究施設という特性上、直射日光や空調の急激な変化を避ける必要があったため、より自然に近い“半外部空間”から、より機械に近い“均質空間”へと、なだらかに変化する「グラデーション空間」をつくった。“半外部空間”の具体的な運用としてBuilding Environment and Energy Management Systemを用いて気温などの条件から体感温度を算出し、窓とトップライトを開けるとオフィス部分の空調システムが停止する仕組みとなっている。人間が外部に近い環境の中では温熱環境の許容範囲が広がるという考え方を活かし、中間期を1.8倍に伸ばし、積極的な自然換気を施すことで、エネルギー負荷を38%削減できる見込みとなった。ガラスの大屋根とフィルター天井でドーム状に全体を包み込む「フィルトレーションルーフ」は天井全体が採光面となり、日中の人工照明が不要となる。

エンジニアは、建物内部へそそぐ自然の光や風、そしてクールチューブから染み出す冷気によって、数値には置き換えられない、自然環境の快適さを体験する。
建物の一部となっている景観池は、自社の水ろ過の実験装置としても機能している。そのおかげか鴨が巣をつくり雛が孵った。建築をつくることで自然が回復していく姿がみられている。かつて人工的に切り取られた元の地形を復元するように配置されたこの建築は、周辺自然を享受しながら時間を経るとともに、その一部として成熟することを試みている。10年、20年後そして100年後、この建築と自然が渾然一体となる風景を目指している。

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