三業の石据

埼玉
© N-tree
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ランドスケープ アーキテクト
長崎剛志/N-tree
場所
埼玉
2017

埼玉県川口市安行の持宝院に新しく建設された礼拝堂を囲む石庭。寺院全体の長期的なリニューアル計画の中で、『三業の石据』は数百年後までをも視野に「寺院とともに新たな歴史を刻み後世に受け継がれていくものを」という思いで取り組んだ。

 名も無い巨石たちがこの庭の主役である。合計46tにもなるその巨石たちを作為的に構成しており、山門側は斜めに据えて動きを出し、建物前は立てて荘重さを持たせたもの、寝かせることで悠然とした空気を感じさせるものがある。寝かした石の内、赤石1つと青石2つは坐禅石になっており、その先に小さな石組の風景が広がっている。
巨石の石組は参拝者を正面から迎えるときにはダイナミックな印象を与える。しかし、礼拝堂の中に入って望むと建物の床高との関係と天端を出した石の効果により、地に座し内と一体感を持った様に感じさせ、外と内の二方向からの景色が“動と静”で対比される。
石は赤青白の三色があり、彩り豊かな石を組み合わせて使っていることはこの庭の大きな特徴である。またその三色は仏教の“身口意の三業”のメタファーである。“身口意の三業”とは、身業・口業・意業と人間の行為を身・口・意志の三種に分類したもので、真言宗の教えではこの三種の行為を清めることが大切だと言われている。
石を“組む”ということは石と石との間を考える行為である。離れすぎず近づき過ぎずそれぞれが絶妙な距離感で関係しあうことで、その間が全体の空気を作り出し見るものを惹きつける。“組む”ことにより石自体が物質として変化するわけではない。しかしながらそれぞれをどう扱うかにより石たちの存在の意味づけを大きく変えることとなり、それはまさに“業”を因とし果報を受ける三業の考えのかたちそのものである。

新たな植栽は楓、一位、牡丹、紫陽花などをゾーンに分けて配置した。建物東側に植えた7種の楓は新芽が深い赤紫で紅葉にかけてその色を鮮やかなものへと変化させていく。その葉の色とあたりの石組が相まって一帯を赤の空間としている。新しく加えた木々たちは全て600年後を想定し、あえて若い苗木を植えている。年を重ね、幹を太らせいずれ力強くそびえ立つ一位、しなやかに枝葉を広げる楓に大きな時間の流れを感じてほしい。

 礼拝堂は中心に吹き放ちの廊下があり、その先にオガタマノキを植えた。春から初夏にかけた花の季節、廊下を通り抜ける風がアプローチに甘い香りを運び参拝者を優しく迎える。

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