加須の美容室

埼玉県
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
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Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
Akinobu Kawabe
建築家
マウントフジアーキテクツスタジオ
場所
埼玉県
2014

2つの構築・2つの構成
人口10万人程の北関東の地方都市に敷地はある。駅から徒歩5分程の立地だけれど、周囲は低層の商店や駐車場がほとんどで、そこに4・5層の商業ビルがまばらに建っている程度だ。いわゆる地方都市の漠然とした風景が、北関東特有の透明な青空の下に低く広がっているような地域である。この土地出身のクライアントは地域で最も高く評価されている美容師で、これまではテナントビルの一画で営業をしてきたが、更なる発展と、地域の永続的な文化拠点となることを願って、独立の美容室の設計を依頼してきた。

「新しくありながら、永続性を保つ存在としてデザインすること」、「周囲の日常的な風景からは閉じながら、上層の自然に対しては開くこと」等の、どこか相反する条件へと状況は解釈されていった。 用いた手法は「2つの構築」と「2つの構成」を重ね合わせることである。通常は1つの構築によって1つの空間の構成を実現する訳だけれど、それでは2つの「相反する問題」のセットに答えられない。構築と構成をそれぞれ2つずつ用意することで、その間の関係を複数化し、単純ではない問題に応えようと考えたのである。

具体的に我々がとった、新しく・永続的な構築の手法としては、都市木質化の追い風を受けて昨今伸展著しい大断面集成材を活かしたものだ。今や容易かつ安価に幅2m以上・厚み200mm以上の大断面材が手に入る状況にあって、木材は既に「線材」を超え出ている。天井高を一息に確保できるこのサイズが実現している今、木は「線材」というよりも、RC壁造と同等な「面材」もしくは「マス」と考えた方が適切な段階にある。そこでRC壁体とほぼ同厚の「木壁体」を用意し、それらを構築上、等価に扱うことを考えたのである。

まず2枚のRC壁体を、敷地周囲の極めて日常的な風景から距離をとり適度に閉じるためにクルリと敷地上に配することで、奥性があり包みこまれた空間を生み出す。その上に13mスパンを跨ぐ、ストレートに伸びた木壁体数列をストンと載せることで、北関東の透明な光と空気に対して開いた明るくヌケのいい空間を重ねたのである。このようにして「閉じつつ・開いた」、明るく自律した美容環境が発生することになった。

構築も構成も、それぞれ実に単純な操作しかしていない。この「手数の少なさ」と、構成と構築が2つずつ用意されそれらが重ね合わされることで発生する「現象の多様さ」、その比率・コンポジションがこの建築にある種独特な「質」を与えているのである。
構成だけでも、構築だけでもない、それらが掛け合わされたところに生じる「何か」に僕は興味がある。

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