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広島
写真 © Koji Fujii / Nacasa & Partners
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写真 © Koji Fujii / Nacasa & Partners
写真 © UID
建築家
前田圭介/UID
場所
広島
2017

都市部に建つ築 20 年ほどの高層共同住宅の 2 層に渡る改修である。
一般的なマ ンションは、階高やテラスなど同じ形式を垂直方向へ効率よく積層するため、画一 的で単調な表層になりがちだ。また上層階へ行くほど地上と乖離した生活は住まい の機能だけを満たし、豊かな自然の庭(大地)を感じる環境とはかけ離れた状況 にある。

今回、建主所有の高層共同住宅の4、5階部分を新たな住まいの器となるよう手を入れるにあたり、日々多忙な建主夫婦から求められた要望は家で過ごす時間をゆったりとできる居場所であった。子供たちも成人したことから自分たちの時間を優先し、不要な部屋を減築することで適度な床面積と自然溢れる大地を感じられる空間 を考えた。

具体的にはまず、既存のサッシがあった内外境界面を取り払い、外部の庭面積を拡張した。そして5階のバルコニーはもちろんのこと不要な床スラブの減築によって縦方向への開放性をつくり、残された十字のフレーム構造をビル全体の新たなファサードデザインとして取り込んだ。これにより高木の配植が可能となり、空中に浮かぶ庭越しに陽光が内部空間に降り注ぐ。枝葉のゆらぎの陰影を感じさせる、今までにない、確かな大地を感じることができる自然環境が生まれた。

近年のマンションのリノベーションは、間仕切りを取り払い横方向へ拡張したり、仕上げを剝ぎ取りラスティックな器とするものなどが多い。そのような中、上下階 を繋ぐ立体的な設計とマンションという高層階のビルディングタイプにおいてもラ ンドスケープデザインを諦めないこの解法は、ビル所有者との対話の中でこそ生ま れる。

現在、供給過多・需要減少する高層共同住宅において、新たな価値を持ち合わせたストック再生のケーススタディになればと思う。アーバンスケープを感じら れる浮遊した住まいと庭、都市との関係性をこの新たな大地によって創出した。

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