モトハウス

世田谷区
写真 © Yasuhiro Nakayama

「ハウス」から「ストリート」へ
設計者の自宅である。戦後に妻の祖父が曽祖父から受け継いだ大きな敷地は、70年代に東西に分筆され、東の敷地に大ぶりな2世帯住宅を建てて祖父母が暮らしていた。彼らが亡くなった後、私たち家族がその家で7年ほど暮らした。敷地が北と東の2項道路の突き当たりに位置し、南側を空けて家が建っていたことから、私有地にもかかわらず軒先の庭をご近所さんが通り抜けの道として利用していた。その後、相続対策で2度目の分筆をして自宅を建てることとなった。敷地が引き続きふたつの道の突き当たりとなるような分筆のラインをデザインし、かつての通り抜けがそのまま残るように、道に架構を被せるイメージで住宅を配置した。
1階はポーチから連続する土間としてふたつの道を繋ぐ。幅1間半の開口部は道幅を参照した。内部は吹抜けも含めて天井高さをできるだけ高くして多方向から1階に光が落ちるようにすることで、路上を想起させる外部的な環境をつくっている。また、高度斜線がかかる北側の軒高を下げるため、1階水回り部分を掘り下げて中2階の床をつくり、そこから吹抜けに面して東西に2階の床を配置する、ほぼワンルームの構成とした。2階でもそれぞれの道の端部に正対するように窓を開けることで、稠密に建て込んだ低層住宅地にもかかわらず、ずっと向こう側まで視線が抜ける。それらの窓を介して、道に沿って吹いてくる風もそのまま内部を通って抜けていく。いろいろな虫も飛んで通り抜けていく。
ご近所さんが敷地内を通り抜けることはさすがになくなったが、妻の友人が集い、井戸端会議が行われるようになった。放課後には3人の息子たちの友人の溜まり場として気兼ねなく使われるのも、この大きな気積の開放的な「ハウス」が「ストリート」化したのだろう。

写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
写真 © Yasuhiro Nakayama
建築家
MMAAA / 三木達郎 + 本橋良介
場所
世田谷区
2024

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