薫木荘の路庭

東京
© N-tree
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ランドスケープ アーキテクト
長崎剛志/N-tree
場所
東京
2017

 東京都神楽坂に新しく建設された木造集合住宅「薫木荘」の外構プロジェクト。依頼主である老舗材木問屋、大和木材の住宅事業「木と暮らす未来」への提案を含める庭園設計を要求された。敷地は一般的に不動産評価の低い旗竿地、その路地状の敷地にどのような通りを表現できるのかの挑戦であった。

 この計画の初期段階で設計者浅利氏は、住まいは忙しい現代社会に生きる我々にとってその人間存在を回復する場所であるべきで、人間存在を回復させる居心地の良さとは建築家「私」と庭園美術家「私」のそれぞれが「個」を掘り下げた先にあると考えていると提案している。ざっくばらんにお互いの想いを重ねながら、自然素材というメッセージ素材としての美しさや安心感、部分を感じさせない全体性からまとまった空気感を求めていった。

 床には緩やかな高低を作りうねりを持たせた。見え隠れしながら歩行を惑わす自然石のゴロタ敷きと鋭い飛石から激しく始まり、諏訪鉄平石のおだやかな路に続く、さらに進むとまた荒々しい木曽石が現れ、やがてマットな表情と安定感を持つ深岩石へと辿り着く。住戸前の平らな深岩石(鹿沼石)は整列させることで建物を引き立たせた。4種の石で足運びを変化させることは足に感触の楽しみを与えると共に、視線を隣家の高い塀から遠ざけ足元に向けることを狙った。植栽もまた通る人の視線を下に向けるように、低木を中心に高さの異なる30種類近い常緑植物を優しい膨らみで設えた。住戸前の3本の柱状のオブジェは木の根元と枝を思わせる張り出しをつけ木々が立ち並ぶ姿を抽象的に模している。表面は3面に杉皮を貼ることで、一度材木とされたものを加工される前の樹木の姿に戻している。杉板をアクセントにした建物に呼応し、建物と庭をつなぐ。奥に導く方向性を持った鉄の手摺支柱壁と上下に揺れる照明は薫木荘の凛とした佇まいに引きよせている。

 この庭は「路庭」の名の通り、住戸までの「路」である。居住者にとって居心地の良い人間存在を回復させる住まいの一部として存在することを願う。

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