福田世志弥による「八ヶ岳の住宅・レストラン」

Neoplus Sixten Inc.
10. 9月 2018
Photo by Neoplus Sixten Inc.

標高1,200m、白樺や赤松に囲まれた1500坪の敷地は、10年ほど前に購入したもの。手前、有機的な石のアプローチの先がレストラン棟、奥に見えるのが住宅棟。

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南西側からレストラン棟を見る。エントランス側の軒にはコーナーがあるが、その他は森に対して大きく円弧を描く屋根と床スラブに、三つ星型の平面を持つ室が挟まれるような形だ。

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エントランス。天井や収納に、あえて赤身の心材を使い意匠としている。壁は本漆喰の磨き仕上げ。

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ドアを閉めようと振り返るとドアノブがオリジナル製作のガラスでできており、透過した光が美しく反射していた。

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店内に入ると印象的な円形のトップライトと、複雑な曲面を持つEP(艶消し)の天井に柔らかく包まれる。トップライトは屋根形状に合わせアクリルを円錐型に製作しはめ込んでいる。

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客席は6名掛けのテーブルが1台。昼一組、夜一組のみで、全国の厳選した食材と山梨の野菜やフルーツを使った創作和食を提供する。三面開口が自然に包まれるような感覚を誘い特別な時の流れを演出する。

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キッチンは家庭用の雰囲気に仕上げられており、客席ともオープンで距離も近くキッチンでのライブ感を間近に感じることができる。

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"客を自宅に招くようなレストラン"がコンセプトである。一画に江崎シェフの書斎をイメージした寛ぎのエリアを設け、食前や食後にソファにゆったりと寛ぐことができるようにした。今後書棚には江崎シェフの愛読書などが並べられる予定。

客席のテーブルや椅子、書斎の椅子なども福田さんがデザインしたものでコーディネートされている。

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住宅棟へ。こちらも柔らかな円を基調にデザインされ、エントランスの軒に角があるのもレストラン棟と同じだ。

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反対側へ回ると全体が長円形だと分かった。複数の開口と、屋上にバルコニーも見える。盛り土の下には畑を作り、レストランで提供する野菜やハーブなどを育てる予定だとか。

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エントランスを入ると天井まで届く大きな書棚が出迎える。正面、上がり框をあがると飼い犬用の洗い場がある。

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LVL材を用いた書棚は高さは4.5m、棚板は2.3mmの鉄板を曲げて製作した。棚板は取り外し可能で衣類をかけたりアイディア次第で多様な使い方ができる。

正面から見ると洗い場を避けられるよう階段が納まっている(!)

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室内は壁の少ないワンルーム空間。森に開いた大開口はウッドデッキに連続している。長円形の天井にS字型に切り込まれたようなトップライトが目を引く。そして部屋の中央には同じく長円形のオリジナルソファ。

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トップライトは二面あり、それぞれ南北を向き、質の異なる自然光が差し込む。夜はトップライトの縁に沿って配されたLED照明が煌めく。

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屋上バルコニーから見た様子。屋根はガルバリウム葺き。

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キッチンはL字型で、そのままダイニングテーブルに連続する。椅子はレストランと同じデザインのものを採用。

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反対側には水回りとゲストルーム、2階が主寝室だ。両室ともフロアレベルが下げてある。

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ゲストルームは扇型。奥に見えるのは真鍮製のフロアランプ。こちらも福田さんオリジナルのデザインだ。

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水回り。フロアレベルは浴室に掛けて少しずつ下がり、浴槽からはグランドレベルから森林ビューを楽しむことができる。

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2階主寝室はモンゴルのゲルを思わせるような空間だ。屋上へは、こちらのトップライトに梯子をかけて上がる。

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腰壁にはデスクが設えてあり書斎使いができるようになっている。

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福田世志弥さん。「敷地を何度も訪れ、施主の江崎さんとどの木を切って造成するかを検討しました。住宅、レストランという異なるプログラムでも、太陽、枝葉方向、生態系のでき方を応用してこの地に馴染むような建築ができたと思います。将来的には宿泊小屋なども併設できると良いのではと話しています」

【八ヶ岳の住宅・レストラン】
設計管理:福田世志弥建築設計事務所
構造設計:小西泰孝構造設計
施  工:株式会社新津組

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