NS house

Yo Yamagata
11. 8月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.
ゆったりとした敷地に伸びやかな平屋。ガレージエリア、パブリックエリア、プライベートエリアと大きく3つのボリュームで構成されている。オープンな敷地に、シンプルな真一文字の門構えで結界を張っているような印象だ。
3つのボリュームは裏手に回るとよく分かる。ボリュームの間に木々が覗くことから中庭が配されいることが想像できる。
ガレージの前面の仕上げは非常に悩んだそうだが、透水性舗装材のドライテックを選択した。外壁はジョリパットの荒いパターンにグレーと白を塗装し深みを持たせる、山縣さんが多用する仕上げ。正面が玄関ポーチで左に2輪車が納まるガレージとなる。
施主はスーパーカーを何台か所有しており、サーキット走行も楽しむためのポルシェ911 GT3も。ガレージにはこれらのほかヴィンテージカーなど8台が納まる。さらにバイクを5台、自転車も4台所有する非常にアクティブな施主。
縦横12mのボリュームに3mグリッドの目地を切り、中心が分かるようにスリット状の照明にした。ガレージの片側はガラス張りで、居室からも愛車を眺めることができる。
ポーチにある大きな観音開きの扉を開けると、土間ガレージとマクラーレン600LTが現れた。
トップライトを設け玄関前が暗くならないようにしたが、周囲に軒が回るので雨でも問題ない。
こちらはなんとリビングに横付けできるガレージだ。
軒は全体的に低く抑え、車高の低いスーパーカーを建築が切り取って見える。周囲がグレーなので真っ赤なフェラーリ458を表に出していただき撮影した。
ガレージと居室の棟の間には中庭。奥はキッチンへと繋がる。
広々とした玄関に入ると正面に緑溢れる中庭が出迎える。右手にシューズクローゼット、左奥は和室、右奥はリビングに通じる。
和室。壁はワラサを練り込んだ土壁のような仕上げに。地窓には和紙スクリーンが付く。
リビングへ。
リビングにはポーチから見えたマクラーレンが鎮座する。トップライトを擁する天井は3.4mあるももの、梁の納まる垂れ壁は1.9mまで下げられ、全高が1.2m程のスーパーカーを額縁に納まって見えるように演出し、かつ各室のゾーニングを担う。
リビングと土間ガレージには間仕切りがないため、車の出し入れの際は爆音が家の中に響くこととなる。車やバイクが生活と一体となる環境といえる。
ちなみにマクラーレンのドアはガルウィングだが、垂れ壁には当たらないように計算されている。
ソファは施主が選んだarflex。
中庭を挟んでガレージも見える。
ダイニングキッチンは天井が低くなり色もダークにし、落ち着いた雰囲気。
ダイニングからガレージも。
リビングとダイニングには間仕切りがあり、排気ガスがダイニングに回らないよう配慮されている。
正面奥が寝室や浴室などのプライベートエリアとなる。
間には渡り廊下的にギャラリーを設け、ガラスケースにヘルメットなどが並ぶそうだ。ほの暗い洞窟のような空間を介して、パブリックとプラベートのシーンの切り替えをする演出だ。
寝室は二面の開口を持ち、それぞれ異なる中庭に面する。デスクを作り付け、書斎を兼ねる静かな空間だ。
寝室の向かい側が浴室。各エリア、スペースで4つの庭の緑が代わる代わる現れ、日常に安らぎを与えてくれる。
パブリック棟とプライベート棟の間にはテラスと、その上にキャノピーを渡した。季節によってはここにテーブルを出して食事を楽しむのも良さそうだ。
右が玄関で見えた開口。
徳光充子(トクゾウ)が手掛けた庭には高低様々な植物が植わり、石畳の小道まで設えられてある。
中央が山縣洋さん、左に担当の安藤浩士さん、右は構造設計の坂根伸夫さん(坂根構造デザイン)。
「クライアントから最初に提示された条件が『車8台、バイク5台、自転車4台、平屋、リビングから車を眺めたい。』という、とても単純明快だが普通ではないものでした。この条件のシンプルさがあったおかげで純粋に建築の空間を考えることができ、とてもスムーズに設計することができました。水平方向にどこまでも続く空間を低い垂れ壁により分節することにより不思議なスケール感を持った空間ができたと思います。」と山縣さん。
【NS house】
設計監理:山縣洋建築設計事務所
構造設計:坂根構造デザイン
外構設計:トクゾウ
施工:木村工業

用途:住宅
構造規模:木造 平屋建て
敷地面積:949.36㎡
建築面積:398.00㎡
延床面積:398.00㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.
 

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