野性味溢れるキャンプ以上、別荘未満の建築

DAICHI ISUMI

Makoto Tanijiri, Ai Yoshida, Kuniyuki Yamanaka / SUPPOSE DESIGN OFFICE
27. 9月 2022
All photos Neoplus Sixten Inc.
DAICHIとはサポーズデザインオフィス代表でもある谷尻誠さんも設立メンバーのひとりで、自然豊かな環境に、宿泊、商業、スパ、サウナなどの企画開発及び運営、PR、観光地・地域ブランディングを手がける会社。全国各地でいくつかの別荘プロジェクトが進行中で、こちらが最初のプロジェクトだ。
敷地約570㎡、延床約190㎡のこの別荘を4組の会員がシェアする。入会金と月額30万円で、1組が1か月あたり7泊の利用が可能で、会員の利用予約がない日はビジターも1泊15万円〜で利用可能。収益は会員に分配するシステム。
ちなみにこのISUMIは既に4組の会員が決まっていて、うちひと枠は谷尻さん自身が会員だそうで、試泊をしながらフィードバックをしている。
玄関扉を開けると、少し身をかがめたくなる程低い玄関ホール。
玄関ホールを抜けると一気に開ける大空間。南側の前庭からひな壇状にセットバックしていき、北側の間接光へと光の強弱で空間の質が変化していく。
暖房は薪ストーブが一台。エアコンも床暖もなく、雨風をしのぐ壁と屋根だけがあり、暑ければプールに飛び込めばいい、夜になれば川から涼しい風が吹いてくる、寒いときは火の近くに寄ればいい。そんな「キャンプ以上、別荘未満」をコンセプトに、自然をできるだけありのままに感じられるようにした。
木造でありながら約10mのロングスパンで2層吹き抜け。この空間を実現するためにエヌ・シー・エヌのSE構法が選ばれた。
2つの大きな梁に見えるものはシーンの切り替えのためにデザインされた垂れ壁で、上部に成700mmの梁が東西の柱とラーメン構造となっている。壁や2階の床が少なくても筋交いや火打ちを使わず、北側や東側の外壁で120×240の柱で耐力を補っている。
南側大開口の鴨居がたわまないように、かつ風圧を受けるため垂れ壁には240×900mmの長押が納まっている。
正面奥は玄関、その上はセカンドリビング。右側の1階と2階は寝室。在来木造でれば、それら抜けている空間に筋交いや、耐力壁が必要になるがSE構法では必要ないそうだ。
天井の垂木は軒を支えるためのもので、室内側ではそのまま引き込まれ、天井の意匠となる。垂木と鴨居はさらに上の構造から吊られているような恰好なので、引戸が天井目一杯の高さまである。
北側のソファから。床はコンクリート着色仕上げで少し艶があり、光や外の色を映し込んでいる。
せっかく水平に抜ける空間を邪魔しないように、キッチンは60cm程下げてある。キッチンカウンターの側面は石に見えるが、コーリアンの裏面を表にして貼ってある。左のワークトップの下にオーブンや冷蔵庫、キャビネットが収まる。奥の薪ストーブの左に水回りのドア、左奥の階段から寝室へ。
水回り。対面式の洗面台がユニークだ。筆者の背中側に洗濯機とトイレがある。
カラーモルタルでスタッコのような仕上げ。バスタブの先は両開き扉が全開にでき、外部にソファがある。
2階寝室。外光は差し込むものの、床を上げ、天井は低くほの暗い洞窟のような雰囲気。
寝室から外に出るとバスルームの上がルーフバルコニーになっている。
リビングを挟んで反対側の2階へ。手前はセカンドリビングにも前室にもあたるような空間だが、大人数の場合は就寝スペースにもなるだろう。
奥は二つ目の寝室。この下にもう一つ寝室がある。
2階から望む。壁の仕上げは内外共にリシン。柿渋染めの和紙が貼られたローテーブルで、オンラインミーティングをしている谷尻さん。
幅約10mの大開口はわずか2枚のガラス引戸で仕切る。竪組子ごとに1枚のペアガラス(計8枚)が嵌まっている。
ガラス引戸の外側は簾網戸となる。
庭。芝生に大きな石が置かれテーブル代わりに。その先にインフィニティプール、プールサイドテラス、右下にデッキテラスが見える。
インフィニティプール。プール用に今後井戸を掘る予定だそうだ。このカットだけ見るとかなり山奥に見えるが買い物ができる町までは車で5〜6分。
浴室外側のソファ。
敷地は川に向かって高低差がある。下段は広いデッキテラスになっていて。プールの下にサウナ、手前に水風呂。
正面から。大空間のLDKと、いくつもの横穴で様々なシーンを作りだしている様子が分かる。
川側を振り返るとこのような野性味溢れる景色。敷地を訪れた当初は竹林や藪に覆われ、殆ど川は見えなかったという。
サウナは4人ほどが入れるだろうか。薪ストーブを使うが、換気ダクトの設備はぬかりない。
ストーブはオリジナル。上に置かれた石に水を掛ければ熱い水蒸気に包まれるロウリュもできる。
サウナから出たら豪快なシャワーで一気に汗を流し水風呂へ。

DAICHIでは今後各地に展開し、御殿場、北軽井沢、甲府、美瑛で間もなく着工する。
左から谷尻誠さん、構造を担当したエヌ・シー・エヌの大口仁さん、エヌ・シー・エヌ代表取締役の田鎖郁男さん。

「ここでは自然の中におく建築なのでぜひ木造でやりたかった。これだけの大スパンを在来木造でやろうとすると、できない理由や、やめといたほうがいいといったことばかり出てきてしまいました。SE構法であれば、それをやりたいならこうできるよ、こうしてくれればできるよと実現のために提案して頂きながらこちらも設計できたのがなによりでした。」と谷尻さん。
1階平面図
2階平面図
断面図
【DAICHI ISUMI】
設計・監理:SUPPOSE DESIGN OFFICE
構造設計:エヌ・シー・エヌ
敷地面積:574.08㎡
建築面積:148.18㎡
延床面積:192.55㎡
構造・規模:木造、2階建て
最高高さ:5,420mm
軒高:5,100mm
運営者:DAICHI

Posted by Neoplus Sixten Inc.

このカテゴリ内の他の記事

ESPRIT
1 week ago
段庭の家
2 week ago
House-M
1 month ago
DAICHI ISUMI
2 month ago
hayama huts
2 month ago