Villa B

Eitaro Satake + teamSTAR®︎
19. 9月 2024
photo: Tetsya Ito, other photos: Neoplus Sixten Inc.
敷地は千葉県の里山の風景が色濃く残る場所。小高い山の一角を切り取ったような5,000㎡の土地に、居住用のメイン棟、温浴施設のスパ棟、パーキング棟、そして麓に9台の車を格納できるガレージ棟の4棟が建つ。

施主からは「忙しい日常を離れ、心も体もリフレッシュしながら趣味に没頭できるような別荘を」という要望を受け、山腹をリフレッシュする「リトリートエリア」、麓を趣味に没頭する「ホビーエリア」として計画した。

メイン棟に当たる建物は既存の民家をリノベーション、さらに温泉(冷泉)の井戸も掘られていたのでそれを利用した温浴施設となっている。
テーマは「自然と調和するサンクチュアリ」。里山の雰囲気をできるだけ残しながら好きなことができる自分だけの“聖域”だ。
手前の空地には今後トレーニングジムを建て、斜面には一段平地があるので畑にする予定。
敷地の麓にあるガレージ棟。左はシャッターが開閉し、右はFIXガラス
大切な車のコレクションを守る堅牢なRC壁に、木造の屋根架構を乗せテント膜を張った。木架構にしたのは木造のメイン棟と親和性をもたせるため。
またテント膜にすることで全体が均質な拡散光に包まれ車が美しく見えるだけではなく、日中は照明のエネルギー消費が不要となる。
夜間はブラケットライトが天井を照らし間接照明となり、外からは行灯のように淡く光り輝く。
車は最大9台収容可能。ここで大好きな車やロードバイクに囲まれる。
リトリートエリアを見上げる。聞こえるのは鳥のさえずりや蛙の鳴き声だけ。
日常使いの車はここまで上がって来られる。
パーキング棟。ハイサイドライトや格子戸からの採光でとても明るい。
車のほか、作業用のカートや農具なども置かれる。
パーキング棟の奥にメイン棟、スパ棟が並び、テラスを介して連続する。
メイン棟のテラスにはポリカーボネートのキャノピーを設け、天候に左右されずに利用できつつ、室内への採光を妨げない。
縦格子引戸は3棟に共通の意匠で、雨戸として機能する。
メイン棟。中心にLDK、左手にゲストルーム、右奥は主寝室と浴室となる。
既存ではいくつかの部屋に分かれていたが、一度スケルトン状態にして新たなプランで設計。小屋組も現しとし、強度不足の柱梁を補強した(細いものが既存で太いものが新設の梁)
屋根は既存の瓦屋根をそのまま利用。
天井の野地板に葦簀 (よしず) を貼り、エアコンを隠蔽するルーバーをそのまま延長し欄間のような意匠に。
壁は珪藻土の左官仕上げ、床は全面畳と、温もりのある落ち着いた空間。
キッチンカウンターは据え付けだが置き家具ようなデザインで造作した
開口を全開にすると、できるだけ既存の樹木を残したその隙間から里山の景色が覗く。
田舎の実家に帰って畳でごろごろするような、そんな感覚が呼び起こされる雰囲気に設計した。
メイン棟の浴室をテラスからみる。バブルジェット付きのマイクロバブルシルキーバスだ。
そしてスパ棟は、メイン棟とは縁の切れている離れの雰囲気。
奥にもう一つのゲストルームがある。
温泉旅館のような趣。機能毎に分棟し、あえてそのように感じさせているのだ。
テラスには露天風呂。冷泉なので薪で沸かす。
ゲストルームにはミニキッチン、洗濯機、右手に洗面室やトイレもありそのまま浴室と繋がっている。
浴室。左の奥から右へ、サウナ、打たせ湯、岩盤浴、シャワー。
左手前から寝湯、普通風呂、水風呂が並ぶ。
寝湯のバブルジェットは背中・腰・手の平・ふくらはぎ・足裏まで全身に噴き出す。映画など見ながら長時間浸かれるので、頭の位置に水枕も備えた。
打たせ湯は深い浴槽に立ちながら浴びる。バブルジェット+電気風呂でもあり、右側で座湯としてなど、ここだけで4種類の風呂を楽しめる。しかも全て業務用スペックだ。
大開口からは緑と里山の風景が望め、施主はここで一日中過ごすこともある。
これだけの浴室の要望をくみ取りながら設計できるのは、STARがホテルや温浴施設を多く手掛けてきたことでノウハウの蓄積があるためだ。
設備スペース。これらの温浴施設を稼働させるにはこの規模の設備が必要になる。規模が小さいだけでスーパー銭湯と同様のシステムだ。
プロジェクトリーダーの佐竹永太郎さん (STAR)と、メインアーキテクトの奥野幹さん (Moo-Flat)

「心と体を癒やすこと、趣味に没頭できることという要件を満たした上で、建材に地場産の山武杉を用いたり、太陽熱給湯や高効率の焼却炉を用意するなど、自然に寄り添うローインパクトの計画としたことも、このプロジェクトの大きな特徴です。私たちがこれまでに手掛けたホテルや温浴施設、別荘建築のデザインで得た知見を結集した『集落型のプライベートリゾート』とも言える週末住宅です。」と佐竹さん
【Villa B】
建築設計:teamSTAR®︎
 クリエイティブディレクター/アーキテクト:佐竹永太郎 (STAR
 メインアーキテクト:奥野幹 (Moo-Flat)
 アーキテクト:市江龍之介 (ICE)
 アシスタントデザイナー:簗瀬晃希 (STAR)
 マネジメント:山田慎一郎 (Yamada Studio)
構造設計 : AIG
設備設計:EM design
照明デザイン:Plus y

主用途:別荘
構造:木造、RC造
敷地面積:5,020.6 ㎡
建築面積:424.8 ㎡
延床面積:416.6 ㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.
 

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