女子大通りの家

Yukio Asari / Love Architecture
29. 3月 2022
All photos by Neoplus Sixten Inc.

浅利幸男/ラブアーキテクチャーによる東京都武蔵野市の「女子大通りの家」レポート。多様なシーンを内包させる光と素材がテーマの住宅。
 

敷地は第一種低層住居専用地域だが、左(南)が第二種中高層住居地域となり、着工と同時に竣工した共同住宅(設計:千葉学建築計画事務所)がある。当敷地は武蔵野市の条例が定める最低敷地面積120㎡あるものの、建蔽率40%/容積率80%の制限内で建てると、周辺の大きな住宅に比べかなり小さな建物となり、街並みを分断してしまうと感じた。
そこで建蔽率に算入されない二つのヴォイド(中庭)を東西に配置し、それを外壁で抱えるようにして大きな建ち方をさせることが相応しいと考えた。
かつ共同住宅からの視線を回避するため、南側を閉じながら採光計画の工夫が求められた。
西側の玄関ポーチには大谷石が敷かれ、外壁は全て焼き杉で仕上げられている。
玄関を入ると少なめの光が差し込む落ち着いた雰囲気が支配する。左には土間のまま続く納戸、右手前に和室、地窓から中庭が覗き、奥がLDKとなる。
和室。蒲張りの船底天井と障子のような網戸、開口の外は中庭で縁側が設えてある。
和室から玄関を見る。
LDKへ。多様な質感がいくつもの異なる材で仕上げられている。
東西二つの中庭はLDを介して連続し、さらに前述の和室までを結び「大きく住まう」ことを可能にしている。
外壁は室内にそのまま入り込むため(炭が落ちないように)塗装焼き杉を採用している。外壁が黒いため東西中庭からの自然光は淡く、壁や天井もグレーの漆喰で仕上げ微妙な光で表情を変えていく。
黒い外壁が室内に連続するように表現するため、外壁側はサッシュを使わずフィックスとした。
浅利さんの建築は必ず植栽を混在させるが、この中庭にもシンボルツリーが植わり、通りからは建物から木が生えているように見える予定。
ソファの高さまで目線を下げると、隣家の庭から立派な木が借景として取り込まれる。この住宅からも同様の風景を周囲に還元させるのだ。
そのまま後ろに下がって東側の中庭に出ると和室まで連続する様子がよく分かる。
テラスになっており、ここで様々なアクティビティを楽しむことができる。
階段横には納戸。竹すだれを使った扉と、竹を使ったエアコンブラインド、漆喰の壁、木目の強いアカシアの短尺フローリングは、異素材のぶつかり合いを意図した。
2階寝室。開口は中庭に向いており、いずれ植えたシンボルツリーが目の前に見えることとなる。
もうひとつの寝室は二つの中庭に面している。造り付け家具はラワン材で、アカシア材の床と表情のコントラストをつくっている。そして造り付け家具は角を丸め、天井と切り離して独立させ、船底天井の造形を邪魔しないようにしている。

「多様なシーンを内包させる光と素材がテーマです。南側を閉じて東西に開く採光計画は、室内の光の状態を1日を通して目まぐるしく変化させます。その光の変化を鮮明に映し出すには、白よりはグレーの方が光の明暗がよりはっきりするし、単色よりは表情がある方が僅かな光の変化を拾ってくれます。家具や建具の仕上げも濃色で表情がある素材を選択しました。光の乱舞に誘われるように動く視点の先には、玄関のブラケットライトやキッチンの水栓、階段のペンダント照明や個室の開口枠がアイストップとして機能します。住まいの中で最も小さく素材の密度が高い和室は、離れ座敷として日常生活にちょっとした変化を与えてくれると思います。」と浅利幸男さん。
 
【女子大通りの家】
設計・監理:ラブアーキテクチャー一級建築士事務所
担当:浅利幸男、中西由美子、貴志滉一
構造設計:レムニスカート+傳工房
施工:前澤工務店

用途:専用住宅
構造規模:木造/地上2階建
敷地面積:120.19㎡
建築面積:48.26㎡
延床面積:86.64㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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