岸本和彦による世田谷区の二世帯住宅「Earth & Horizon (House-K)」

Neoplus Sixten Inc.
21. 1月 2018
Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

敷地面積315m2、延床面積240m2。地下:RC造、1F:S造、2F:木造。
地下は車2台分の駐車場と、エントランス、駐輪場が納まり、くびれた1階の上にキャンティレバーでせり出した2階が乗るような構成だ。

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敷地は多摩川沿いに連なる国分寺崖線の一角。この崖線に建つ住宅を幾つか訪問したことがあるが、何れも西に富士山を望むことができた。おそらくこの住宅もだろうということが想像できる2階のデザイン。
 

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施主からは、シンボル的な造形を求められたという。仕事から帰って我が家を見上げたとき『いいなあ』と誇らしく思えるような建ち姿が一番の依頼だったそうだ。
二つのボリュームはかなり趣を異にしており、内部ではどのようになっているか楽しみだ。

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格子扉を開けると玄関へ伸びる階段が現れる。
 

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玄関。天井はレッドシダーの羽目板張りが外部から連続する。
 

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玄関から左には「玄関の間」と呼ぶ、3面開口のこぢんまりとした部屋。2階のボリューム下のピロティーのようにも感じられる。
傍らにはフランク・ロイド・ライト名作 "タリアセン2"。

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部屋には書棚が設えられる。腰壁は高めなので、造り付けのベンチに座ると囲われたような空間になり、落ち着いて読書もできそうだ。
 

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玄関から右は吹き抜け空間を中心に、右手に寝室、水回りが続き、左手に「茶の間」と、奥に子供室。
 

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同居するのは奥さまのご両親で、寝室は二部屋が中央のクローゼットで仕切られる。
 

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二世帯住宅といっても子世帯とほぼ空間を共有する完全な同居だ。「茶の間」は畳と箪笥で懐かしい雰囲気。上部に鴨居が見えるが太鼓張りの障子で、吹き抜け空間と仕切ることもできる。
 

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西側(右)の開口は縁側から濡れ縁と連続する。
 

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濡れ縁からそのまま敷地の傾斜に合わせて、ほぼ全面に階段状のテラスが広がる(デッキはセランガンバツ)。
2階に上がらないと見えないと思ったが、1階から既に富士山が望める。

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テラスの一部は月見台のように平らにし、椅子やテーブルを持ち出して楽しむこともできる。
また2階は、1階の鉄骨によって持ち上げられている様子がよく分かる。左奥に見える白い箱は子供室。

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「ディテールにはこだわった」という岸本さん。
 

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子供室はスリット窓に造り付けの机が設えてある。
 

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1階の一番奥には洗面室と浴室、ほかに洗濯室もある。
 

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2階へ。中央の吹き抜けを挟んで木質の空間と、白の空間に分かれている。右の木質空間はご主人、左の白い空間は奥さまの好みを反映している。
 

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外観から見えた白いチューブはキッチンとダイニングだった。壁から天井は漆喰で、床と両側のカウンターはモールテックス。
東側(左)は隣家からの視線があるため積極的に開口は設けず、この空間は柔らかく包まれるような雰囲気にした。

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DKの反対側は書斎と主寝室。
 

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DKからリビングへは、色も空間の質も変わるシーンの切り替えとしてスキップで上がる。
 

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西側の眺望に対して全面開口のリビング。天井はレッドシダー、床はチーク。ライトのタリアセン2、ハンス J. ウェグナーのソファやネストテーブルがよく似合う空間だ。
 

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リビングは1階と同様太鼓張りの障子で両面を閉じることができる。
 

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障子を閉めた状態。鴨居の上には隙間があり、緊張感を持たせながら、天井が軒へと軽やかに連続するよう演出されている。
 

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リビングの奥には "空中和室" が現れた。周囲は障子で閉めることができる。
夜、部屋の明かりを消して畳に座ると、夜景の中に自分が浮いているように感じることができるのだろうか。

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岸本和彦さん。「外観をまず重視した設計を依頼されたのは初めてでした。そのことを意識しながら各要素を細分化し、積み上げながらデザインしていきました。西側は大開口によって開放的で伸びやか、東側は白いシェルターで守られた空間が並存する構成とすることで、空間に多様性が生まれ日々の暮らしが豊かになるよう目指しました。」

【House-K】
設計・監理:acaa
構造設計:諏訪部建築事務所
施  工:石和建設

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