吉祥寺の家

17. 12月 2019
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川辺直哉建築設計事務所+辻昌志建築設計事務所による東京都武蔵野市の集合住宅「吉祥寺の家」。広い中庭を囲みながら建物のスケールを調整し、集合住宅と戸建て住宅の間のような「家」とした。
[Kichijoji House by Naoya Kawabe + Masashi Tsuji]

吉祥寺駅から徒歩10分程に位置し、角度を付けた門扉が駅の方向(左)から帰ってきて迎えるような格好となっている。一見、二棟に見え、周囲の住宅のスケールから突出した存在にならないように計画。
門扉を開けると通りがそのまま引き込まれたようなイメージの中庭が現れる。実際には通りより広い幅約5mの中庭は、長屋とすることで生まれた共有スペースで、賃貸住宅としての価値を引き上げている。南北のボリューム高さが異なり、奥のボリュームも大きく傾斜しているのは、敷地内で用途地域が異なるためだ。
第1種低層と、第2種中高層と用途地域堺が敷地を斜めに横切る。
コの字型の一棟であるが、2階への専有階段を吹き抜けで穿つことで棟が分節されたように見え、中庭の広さに対する建物のボリューム感を調整している。
また所々出窓とすることでも壁面に変化が生まれ、同じく圧迫感軽減に貢献する。
フラット住戸6、メゾネット6からなる全12住戸。まず左手前の1号室に入ってみる。
1号室はメゾネット。玄関を入ると踊り場から地下1階と1階へ。
足元に開口を設けた玄関扉は、採光に大きな効果をもたらしている。
1mほど掘り下げた地下1階は窓から目の前に植栽。3.3mの天高を利用して水廻りの上をロフト収納に。こちらのフロアを寝室扱いとして想定している。
1階はシンプルな空間に南北2面の開口。こちら南側のボリュームは地下1階を取ったため3層で、上の2階に別住戸がある。
同じ南側の4号室もメゾネット。架構が現れ面白い空間をつくり出している。こちらは地下をキッチンとダイニングとし、1階を寝室として想定している。
クライアントからは「木造ならではの木が現れて欲しい」という要望があったそうだ。
2階住戸の2号室へ。
階段を上がると全く異なる建物の表情が見えてくる。階段の踏面はコルクに見えるが、陸上のトラックと同様のゴムチップを張ったもので、スチール階段の響きを抑えるのに効果的だ。
階段室の見返し。
リビングと雑壁で仕切られたキッチンと寝室。
反対側に水廻りというレイアウト。実質3階の高さなので窓からは空が広く望める。
東面は通りからフラットに見えるようにしたため開口はない。12号室は唯一外壁と同じガルバ仕上げの玄関扉で、階段がなければその存在を見落としそうだ。
この住戸が一番長手方向に広くとれる。デッドスペースを利用したシェルフが造り付けられている。
抜けがあるとなぜか嬉しい。
第1種低層と、第2種中高層の切り替えが住戸内を斜めに通る8号室の2階は、急勾配の屋根が生む吹き抜けのような空間。
川辺直哉さん(左)と、辻昌志さん(右)。
辻さんは川辺事務所に8年ほど務めていた際、本プロジェクトのクライアントと何度か仕事をしたこともある経験を買われ、今回共同設計というかたちでコラボした。「初めクライアントは共同住宅を望んでいましたが、長屋とすることで窓先空地が不要であることや、防火性能の緩和、何よりもまとまった空地が計画できることを提案したところ、この空地が豊かなアプローチとして付加価値になり得ることを気に入っていただき、周辺のスケール感や雰囲気に馴染む “家” のような形にできました。」
【吉祥寺の家】
用途地域:(北側) 第一種低層住居専用地域
     (南側) 第二種中高層住居専用地域
敷地面積:391.90㎡
延床面積:505.38㎡
建物用途:長屋建て (12戸)
規模/構造:地上2階 地下1階/木造 準耐火構造
企画開発:尾張屋土地株式会社
設計監理:川辺直哉建築設計事務所
     辻昌志建築設計事務所
構造設計:多田脩二構造設計事務所
植栽:タカ・グリーンフィールズ
施工:礎コラム

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