比護結子/ikmoによる流山の住宅「ナガレノイエ」

Neoplus Sixten Inc.
18. 7月 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積230m2、建築面積69m2、延床面積89m2。木造2階建。
敷地は40年ほど前に造成された住宅地で、施主は売りに出されていた更地を購入した。230m2もあれば大概分筆して販売されるが、この辺りの街づくり条例で建築物の最低敷地面積が135m2と定められているため、ゆったりとした敷地にゆったりと建っているのだ。

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大きな寄棟屋根の建物が、接道から10m程セットバックした広々とした前庭とバランスよく配置されている。右にある盛り土は、基礎を根切りした際の残土で、草山になるそうだ。またこの部分は将来的に親を呼び寄せ、二世帯にもできるよう想定している。
アプローチの大谷石は敷地前面にあった擁壁のものを流用し、代わりに蛇籠に砕石を詰め擁壁とした。

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アプローチを進むと大きな屋根の大きな軒下が迎えてくれる。広い土間が室内の奥まで連続している。
屋根はアスファルトシングル葺き。

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引戸を境に内土間と、外土間。軒下の奥は浴室で、ガラス引戸と、網付きの目隠しガラリが備わる。その上はバルコニー。

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軒の高さは5.2m、大きな気積がとても贅沢で「自分ならどう使おうか」と考えてしまう。実際軒桁にはいくつものアイボルトが埋め込まれ、様々に活用出来る準備がされている。
5連の引き戸を閉めると一番奥のみ網戸がつき、玄関となる。

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土間のまま連続するLDKは中央に巨大な正方形のテーブルが陣取る。テーブルには階段が乗っているが、、、

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このようなシーンが日常になるようだ。テーブルの大きさは3m×3mで、キッチンであり、ダイニングであり、リビングであり、勉強机でもあり、家族が常にこのテーブルを中心に集まるのだ。下は収納に。

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一度軒を振り返る。前面道路までが遠い。土が緑になった姿を見るのが楽しみだ。
ちなみに近隣の住人からは「何かのお店が出来るのか?」とよく聞かれるそうだ。

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テーブルの奥は小上がりで板の間と、奥に畳の間で、カーテンを設え客間にもできる。板の間の下は一部収納になっている。

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近隣と視線が正対しないよう開口は隅や下に設け、かつ借景で緑が取り込まれる位置を計算した。

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キッチン周りは構造コアになっており、右に冷蔵庫や調理家電も納まるパントリー、背後はトイレになる。左の洗面から浴室に通じる。

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階段の踏面は2枚延長され棚になっている。

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浴室から。犬を飼う予定であることから、散歩から帰って直ぐに洗うことができる位置。

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2階へ。

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100×300のトラス大梁が東西方向に二つ、右の壁に隠れている台形の大梁が南北方向にひとつ、計3つの大梁で屋根を支えている。
大屋根の開口が、採光と視線の抜けのために開けてあるのがよく分かる。

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2階主寝室。外観で見える屋根から飛び出した箱が右の白い部分。正面はバルコニー。

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バルコニー。ここから見る軒下空間もなかなかだ。

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子供室。主寝室との接続部に納戸。2階は “小屋裏に棲む” イメージを強調した。

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比護結子さん。「お施主さんからは、大きな屋根に大きな犬と暮らす、ということが一番のご要望でした。数十年前に開発された住宅地で人も家も更新が進んでいる街ですが、基本的に寄せ棟屋根が継承され秩序だっているように感じます。神社のある小山を中心におおらかな土地の起伏に倣いながら、それらと暮らしの新たな関係性を提案しました。」

【ナガレノイエ】
設計監理:一級建築士事務所ikmo
構造設計:オーノJAPAN
施工:須賀工務店

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