葉山の展望住居
Tatsuya Nagasaki | 19. 6月 2024
All photos Neoplus Sixten Inc.
長崎辰哉/アトリエハレトケによる神奈川県の「葉山の展望住居」レポート。内外をシームレスに行き来しながら、様々に過ごせるよう居場所が散りばめられ、空や山並み、街並みとつながる見晴らし台のような住宅。Observatory House in Hayama, Kanagawa Japan
敷地は葉山の高台にある住宅地。施主はフランス人と日本人のご夫婦で、都心に暮らしていたが子どもが小学校に上がるタイミングで、海が近く山に囲まれたこの地への移住を選んだ。
ボリュームの2階に巻き付くようなバルコニーが目を引く。
アプローチはフランス流で2つある。家族は1階ガレージ奥の玄関から、ゲストは庭先の階段から上がって2階の木戸を開けてバルコニーからアクセスする。
ボリュームの2階に巻き付くようなバルコニーが目を引く。
アプローチはフランス流で2つある。家族は1階ガレージ奥の玄関から、ゲストは庭先の階段から上がって2階の木戸を開けてバルコニーからアクセスする。
北東正面はセットバックさせ、2台分の駐車スペースと駐輪スペースを確保。階段周りの前庭や、側面、南の角には小さな畑も設け植物に囲まれる。
2階バルコニーを支える梁は現し、帰宅した際、家族を迎えるような門型にした。
バルコニーは左の柱まで広げることも可能だが、コスト面と、地上から植栽が伸びて2階からも見えるよう少し出幅を抑えた。
2階バルコニーを支える梁は現し、帰宅した際、家族を迎えるような門型にした。
バルコニーは左の柱まで広げることも可能だが、コスト面と、地上から植栽が伸びて2階からも見えるよう少し出幅を抑えた。
1階玄関周り
右奥が水回り、その向かいがウォークインクローゼット、奥が主寝室、階段下はトイレ
中央には使い勝手の良いニッチと、下に猫用トイレのスペースをさりげなく用意。
右奥が水回り、その向かいがウォークインクローゼット、奥が主寝室、階段下はトイレ
中央には使い勝手の良いニッチと、下に猫用トイレのスペースをさりげなく用意。
主寝室
イエローのアクセントカラーは施主が選んだ。
常に通気や断熱を重視する長崎さん、プライバシーに配慮した位置3ヵ所に開口を設けた。
イエローのアクセントカラーは施主が選んだ。
常に通気や断熱を重視する長崎さん、プライバシーに配慮した位置3ヵ所に開口を設けた。
玄関周りの反対側を見るとシューズインクロークと奥に子供室が2つ。
小学1年生の長女の部屋
幼稚園生の長男の部屋。
いずれも自分の好きな色でアクセントをつけた。小さなうちから自室のベッドで寝かせる欧米流
いずれも自分の好きな色でアクセントをつけた。小さなうちから自室のベッドで寝かせる欧米流
2階は2層のワンルーム空間
北東面、南東面に向けて目一杯の開口を設け、中央にダイニング、奥がリビング、3階がご主人の書斎で、そこからキャットウォークを伝って屋上に通じる。
北東面、南東面に向けて目一杯の開口を設け、中央にダイニング、奥がリビング、3階がご主人の書斎で、そこからキャットウォークを伝って屋上に通じる。
ダイニングとリビングを取り囲むバルコニー。腰壁でプライバシーを確保し、内部と連続する生活領域を拡大した使い方ができる空間となっている。
左手キッチンの奥は奥様用の小さな書斎。その奥が引戸で仕切られたパントリー兼勝手口となる。
左手キッチンの奥は奥様用の小さな書斎。その奥が引戸で仕切られたパントリー兼勝手口となる。
バルコニーの出幅は約2.2m。ガスコンセントと水栓、オーニングも備わりバーベキュー対応は万全。さらに庇を設けたり、樹脂サッシュ (YKK AP) にLow-eのペアガラスにするなどで断熱性能はG1を達成した。
ちなみに長崎さん、住宅の設計においてもはやアルミサッシュは検討すらしないそうだ。
ちなみに長崎さん、住宅の設計においてもはやアルミサッシュは検討すらしないそうだ。
二面に開口があるリビングは開放的でとても明るい。
左手は子どもたちの勉強机で、天板の中央を外すとプロジェクターが現れ壁に投影できる。
滑り出し窓の開口向きにも注意を払い風をしっかり掴むように配慮している。
左手は子どもたちの勉強机で、天板の中央を外すとプロジェクターが現れ壁に投影できる。
滑り出し窓の開口向きにも注意を払い風をしっかり掴むように配慮している。
床柱に使う材であえて柱を現しにして、家族が常に触れ、感覚として記憶されるようなシンボルにした。
右手は北側斜線で天井が低くなるため、キッチンは2段下がった位置にある。結果、ダイニングに座った人と目線の高さが近くなり、双方で会話がしやすくなる。
夕暮れ、片流れの天井は間接照明に照らされる。
夕暮れ、片流れの天井は間接照明に照らされる。
キッチンから
2階からは所々隣家の隙間から山を望め、キャットウォークからはまた違った景色を望める。また、キッチンから空が見えるのもいい。
2階からは所々隣家の隙間から山を望め、キャットウォークからはまた違った景色を望める。また、キッチンから空が見えるのもいい。
書斎の下はライブラリー。狙い通り子どもたちのお気に入りのスペースだ。
大きな気積の空間に、大小の居場所を散りばめた。
ライブラリーにはフランス語の児童書が多い。
ライブラリーにはフランス語の児童書が多い。
3階書斎
ここに上がるとまた違った景色が望める。
造り付けのデスクにカーブが付いているのは、キャットウォークへの動線を邪魔しないため。
ここに上がるとまた違った景色が望める。
造り付けのデスクにカーブが付いているのは、キャットウォークへの動線を邪魔しないため。
書斎で見返すと同じ空間でも違った見え方ができる。同じことはこの下のライブラリーでも言える。
最後にキャットウォークを通って屋上へ。
最後にキャットウォークを通って屋上へ。
海岸まで自転車で15分ほど。海は見えないものの美しい緑が生い茂る山々と、反対側を見ると地形に沿って立ち並ぶ街並みが広がる。屋上を設け都心にはないこれらの眺望を得られるようにした。
施主ご家族を挟んで長崎辰哉さん (左) と、担当の峯村悠司さん (右)
「内外に立体的に散りばめられた居場所を自在に行き来できる住まいです。クライアントは海と空と緑豊かな山並みに囲まれた良好な環境を求めて都内からこの地への移住を決めました。リモートワークが増え在宅時間が長くなったことを、私たちは建築の質の問題と捉え、外とつながる大きな一室空間の中に、家事と仕事の空間を含む大小様々な居場所を立体的に配置し、それぞれが思い思いの場所で過ごすことができます。」
「内外に立体的に散りばめられた居場所を自在に行き来できる住まいです。クライアントは海と空と緑豊かな山並みに囲まれた良好な環境を求めて都内からこの地への移住を決めました。リモートワークが増え在宅時間が長くなったことを、私たちは建築の質の問題と捉え、外とつながる大きな一室空間の中に、家事と仕事の空間を含む大小様々な居場所を立体的に配置し、それぞれが思い思いの場所で過ごすことができます。」
【葉山の展望住居】
Observatory House in Hayama
設計・監理:長崎辰哉+峯村悠司/アトリエハレトケ
構造設計:長坂設計工舎
設備設計:三浦建築設備設計
施工:バウムスタンフ
用 途:一戸建て住宅
構造規模:木造 地上3階建
敷地面積:163.77 m²
建築面積:71.56 m²
延床面積:120.07 m²
用途地域:第一種低層住居専用地域
不動産コンサル:Freely Design Box
Posted by Neoplus Sixten Inc.
Observatory House in Hayama
設計・監理:長崎辰哉+峯村悠司/アトリエハレトケ
構造設計:長坂設計工舎
設備設計:三浦建築設備設計
施工:バウムスタンフ
用 途:一戸建て住宅
構造規模:木造 地上3階建
敷地面積:163.77 m²
建築面積:71.56 m²
延床面積:120.07 m²
用途地域:第一種低層住居専用地域
不動産コンサル:Freely Design Box
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