アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ ヴィンク・タユー展

Neoplus Sixten Inc.
19. 9月 2019
Photo by Neoplus Sixten Inc.

9月13日から始まった「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 – ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア」をレポート。[Exhibition: architecten de vylder vinck taillieu: VARIETE / ARCHITECTURE / DESIRE]
ベルギーのゲントを拠点に活動する、3人組の建築家ユニットで日本初の展覧会を開催。会場は東京 乃木坂のTOTOギャラリー・間。

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展覧会コンセプト

アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー(以下ADVVT)は、「ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア」というテーマを通じて、自らの実践の幅広い視野をさらに展開させる。
ADVVTの多種多様な作品の実践 ―ヴァリエテ[VARIETE]。
建築をつくることのみならず、常に建築のあり方を探究する姿勢 ―アーキテクチャー[ARCHITECTURE]。
そして建築に属するふるまいのデザインを希求しつづける ―ディザイア[DESIRE]。

この展覧会では、ADVVTが設計したベルギーのフランダース地方の11の住宅を、図面と模型を制作することで理解を深めた日本の学生とのコラボレーションの結果が展示される。学生たちはさまざまな住宅を日本のコンテクストに置き換え、再解釈することで、異なるコンテクストに置かれたことによって生じる違いを探究している。ADVVTはこの方法によって、作品自体の探究結果を示すだけでなく、両者のコンテクストや文化の違いをも探究しようとしている。

さらには、多彩な写真家が撮影した建築写真のループ再生により、ADVVT作品をさらに深く洞察する。何千枚という画像が見る人をADVVTの宇宙[UNIVERSUM]へと誘う。いくつかの異なるスクリーンに映し出された映像は、メリーゴーラウンド[CORROUSEL]のように回り続ける。この展覧会は、TOTOギャラリー・間のスペースを回遊する旅[JOURNEY]であり、空間の背後にあるものというアイデアは、「間」という言葉の意を解釈したものでもある。

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上記「日本の学生とのコラボレーションの結果」とあるが、本展に先立ち、ADVVTは東京工業大学の学生と3週間にわたるワークショップを行い、そこでの学生達の解釈や学びが展示されている。ADVVTはこの展覧会を単なる発表の場ではなく、探究や議論の一行程に過ぎず、展覧会をつくる長いプロセスそのものが発見や気付きの機会であり、ここでも議論が生まれて欲しいと望んでいる。

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会場には11の作品が11の島に展示されており、それぞれの島には概ね4種類の模型が置かれている。ADVVTの作品、日本の建築家の作品、ADVVTの作品からピックアップされたエッセンスの部分、東工大の学生による日本バージョンの作品からなる。
ADVVTと日本の建築家の作品双方のコンセプトを学生が読み取り、日本のコンテクストに落とし込み新たな作品を設計した。学生たちはベルギーと日本の文化背景の違いと共通点をどう見出したのか、学生達の解釈が介在することで展覧会は複雑なものとなっているが、それを理解するために観る人はより深く考え主体的に展覧会に関わる事になるのだ。これは従来の受動的な展覧会の在り方への問いかけでもある。

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壁にはADVVTの作品、日本の建築家の作品、双方からインスパイアされた東工大の学生の作品の各ドローイングと、オリジナル作品のスライド映像を孔から覗くことができる。
ここで壁の "違和感" にお気付きの方はいるだろうか。壁は前回の展覧会「中山英之展」のものがそのままが使われており、所々薄いグレーでペイントされた四角形とのぞき穴が今回の演出だが、その部分は中山さんが手書きしたキャプションや釘が打たれた跡で、展示会場のリノベーションということだ。

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4階展示室は「施工途中?」と言わんばかり。仕上げがないどころか、バックヤードがむき出しの箇所がありそこにモニターが設置されている。偶然性や既存条件も積極的に設計に取り入れ、不要な仕上げはしない彼らのサスティナビリティな設計思想の現れだ。

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中庭には大きな白いボードが1枚。

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スタンプや色鉛筆を使って来場者が自由に街を描くことが出来る。11月23日にはどんな街が出来上がっているか楽しみだ。

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〈BALADIN|バラディン〉 2011

島にはこのように展示されている。
左はADVVTのオリジナル模型で、ベルギーからの運搬用木箱に乗せられているので見分けが付く。左から2番目は近隣作品として選ばれた篠原一男による〈上原通りの住宅〉の模型。その隣は先の二つの作品からインスパイアされた学生による作品の模型。右はオリジナルから抽出されたディテールを拡大した模型で学生が制作した。
こちらのリンクから各作品の詳細が読めるが、会場で実際に模型を見ながら読んで頂くと理解が深まるだろう。

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〈VERBRANDE BRUG |フェルブランデ・ブルク〉 2016

近隣作品はアトリエ・ワンによる〈理科まちや〉。

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〈BERN HEIM BEUK|ベルン・ハイム・ベーク〉 2012

近隣作品はアトリエ・ワンによる〈ガエハウス〉右

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エッセンスを抽出した模型(この作品では架構をピックアップ)と、左に学生の作品。

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〈HOUSE VOS|ハウス・フォス〉 2014

 

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近隣作品はアトリエ・ワンによる〈ハウス・アトリウム〉右
学生による作品が左。

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〈FRIANT|フリアント〉 進行中

 

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近隣作品は能作文徳×常山未央による〈西大井のあな〉左。
中央が学生の作品。

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〈ARBED|アルベッド〉2013

 

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近隣作品は坂本一成による〈代田の町家〉左
中央が学生の作品。

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〈SPADE ZAAM STRAAT|スパーデ・ザーム・ストラート〉進行中 左下

近隣作品は長谷川豪による〈浅草の町家〉左上
学生の作品が中央

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〈TICHEL|ティッケル〉 2013

近隣作品はアトリエ・ワンによる〈ハウス&アトリエ・ワン〉右
学生の作品が中央

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〈HOUSE BM|ハウス BM〉 2011

 

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近隣作品は清家清による〈私の家〉手前
奥が学生の作品

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〈WARANDE |ワランデ〉 2013

 

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近隣作品は東孝光の〈塔の家〉右
中央が学生の作品

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〈ROT-ELLEN-BERG|ロット・エレン・ベルグ〉 2011 左

近隣作品はアトリエコによる〈菊名貝塚の住宅〉 右

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そして学生の作品。
国や文化が異なるが、その建築を丁寧に紐解いていくことで、異なるコンテクストにおいてもその建築の要素やアイデアを発展させていくことができただろうか。是非会場で議論しながら見て欲しい。

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ヤン・デ・ヴィルダーさん(左)とヨー・タユーさん(右)
ADVVTではリノベーションの作品が多い。「現在、サスティナビリティというものは新しいものから始まる傾向があると思います。しかし、周辺のコンテクストを見回すと役に立たない物ばかりに感じるかも知れませんが、実はそのなかに大切なリソースである。そういったことを今回学生達に気付いて欲しいと思いました。」
Jan de Vylder and Jo Taillieu.

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本展に合わせTOTO出版から刊行された「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー建築作品集」
塚本由晴さんとの対談も含め、ADVVTの63作品を収めた作品集。写真・図面・テキストの3部構成。個々の場の条件の中でポジティブに建築に取り組む彼らの姿勢が読み取れる一冊。https://jp.toto.com/publishing/detail/A0382.htm

【アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア】
会期:2019年9月13日(金)~11月24日(日)
会場:TOTOギャラリー・間(港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル)
詳細:https://jp.toto.com/gallerma/ex190913/index.htm

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