toggle hotel suidobashi

Klein Dytham architecture + Irie Miyake Architects & Engineers
2. 4月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.

クライン ダイサム アーキテクツがデザイン監修、入江三宅設計事務所が建築設計を手掛けた東京都千代田区の「toggle hotel suidobashi(トグルホテル水道橋)」。首都高速と鉄道に挟まれた立地で東京のダイナミズムを体感できるホテル、試泊レポート。

2021年1月29日開業を予定していたが、緊急事態宣言を受け延期され、4月1日にいよいよ開業。地上9階建て、2階から8階に全84の客室と、9階にカフェバーからなる。事業主のアトリウムはホテルの運営も行う。

JR中央線、首都高速5号線、そして神田川が交差する特異な角地に建つため、注目度の高いアイコニックな建築となるようにデザインされた。下層部は首都高速や、JRの軌道よりも下にあり、ともすると暗く沈んだ印象になってしまうが、景観条例が可能とするアクセント色のなかで最も明るい印象の黄色を採用することで明るさと軽快さを表現した。
見上げたとき重要なポイントとなる最上階の庇も、ファサードのカラリーングと統一性を持たせるため、ストライプ状になっているのが分かる。
(Photo: SS Tokyo)
敷地は三角形で、かつ首都高速まではご覧の距離。ホテルという非日常を楽しむ空間として、本来悪条件であることを利用して手前三角形の先端部分では驚きの景色を楽しめる空間となる。
足場を組むスペースが限られており、施工の際困難なこともあったという。
ホテル建築にありがちな四角い窓が連続する単調な外観を避け、周辺のコンテクストに呼応するように水平に連続する開口と壁面による構成とした。さらにプレキャストコンクリートの外壁には黄色いストライプを施すことで、無機質な窓ガラスの連続を打ち消し、退屈な表情のファサード とならないように配慮した。
エントランスにはエレベーターのみで、レセプションは9階になる。
ロゴデザインはartlessが手掛け、toggleの “g” がモチーフとなっている。
9階。エレベーターを降りると目の前に大開口。レセプションとその奥にカフェバーと続く。
カフェバー。両側に大開口となり開放的だ。内装も外装と同じくバイカラーは「toggle hotel」のコンセプトである「ON/OFF」や「切り替える」ことを表現している。
9階は広々とした空間をとるために岡建てとなっている。
また右手は首都高速側となるが、首都高速は道路ではなく隣地扱いとなり延焼ラインがあるそうだ。そのためサッシュやガラスに防火性能も求められ、その範囲内で最大の開口を実現しているとのこと。
朝10時までは宿泊者のみ利用可能で、メニューはサンドイッチ、スープ、飲み物となる。10時〜23時までは一般利用も可能で軽食とコーヒー、ソフトドリンク、ビールなどが楽しめる。
筆者の選んだ朝食はこちら。
テラスもある。春の日差しが気持ちよく、植栽も多く空中庭園の様だ。
先端部のテラス。東京らしい景色と時間を船の舳先のような場所で楽しめる。
共用部のランドリールーム。
サインもartlessによる。オリジナル書体で動きや遊び心が感じられるものを目指したそうだ。
客室フロアへ。各階ごとに異なるバイカラーとなっている。(セキュリティ上、通常は共用階と宿泊階以外には行けないので全フロアを見ることはできない)
客室も「ON/OFF」をイメージしたバイカラーだ。廊下を含めフロアごとに統一されたカラーがあり、同じタイプの客室でも階によって色が変わり、訪れるたびに新鮮な驚きのある空間を体験できる。
こちらはスタンダードなツインルーム 〈Standard Room A〉20㎡。
このホテルの特徴であるロフトベッドの 〈Loft Room A〉20㎡。上に2つ、下に1つマットレスがある3人用の客室。
壁面家具は、軽やかに楽しさを表現するため限界まで細くしたロの字型スチールフレームと、棚板が組み合わさるシステムのデザインで構成し、スチールフレームの横桟は補強の他に、タオル掛けや備品置き場などの機能性を持たせた。
下は小さなリビングのようだ。
ロフトはこのように。
他にLoft RoomとStandard Roomが組み合わさるコネクティングルームもあるので、最大で5人泊まれるタイプがある。
〈Loft Room B〉20㎡。Aと似ているが変形の客室。
〈Premier Loft Room〉30㎡で4人まで泊まれる。
そしてこちらが 〈Corner Room〉22㎡のツイン。三角形先端部の客室。5階(紫のフロア)がちょうど首都高速と同じ高さになるため、このような景色となる。
やはり気になるのが騒音だろうが、全館のガラス+サッシュは遮音等級をT-3グレードとし、腰壁ともに通常のホテルより防音性能は高いため、見た目とは裏腹にかなり静かだ。
この状況をネガティブに捉えれば当然閉じてしまうところだが、首都高速のパノラマビューを独り占めにし、神田川水面の揺らめきを感じ、線路側ではひっきりなしに行き交う電車を間近に見ることができるなど、東京の活動を目の当たりにしながら宿泊する非日常の演出として思い切ったつくりとした。
〈Balcony Room〉、25㎡プラス15㎡のバルコニーを持つ、8階に2室だけあるツインルーム。小上がりで布団のようにマットレスが敷いてある。
浴室が外部に面しているのもこの客室だけ。
なおこの客室より前に紹介した客室は全てシャワーのみだ。
バルコニーから望むのは海や山ではない。中央線とビル群という近隣のオフィスからも同じ風景を望むが、この環境によってこれらを "東京の絶景” として捉えることができるのだ。
筆者が試泊した〈Premier Fourth〉は最も広い40㎡で、4人まで泊まれる、8階に3室だけあるフォースルーム。ご覧のように浴室がガラス張りなのが特徴。もちろんブラインドが付く。
ここも小上がりで布団のように敷かれたマットレスが4つあり、自由に動かすことができる。マットレスのみだがちょうど良い沈み込みで朝まで一度も目を覚ますことがなかった。一点、各照明が調光できるとなお良かった。
各室共通で、洗面は別になっているのがうれしい。環境への配慮からアメニティは最低限で、洗面周りには歯ブラシとハンドソープのみ。浴室にはシャンプー、コンディショナー、ボディーソープ。他備品はテレビ、ミニ冷蔵庫、湯沸かしポット、ドライヤー、金庫などが備わる。
また造り付け以外にも、家具もクラインダイサムのオリジナルデザインで、インテリアにぴったり合う。スツールにはタグのような取っ手が付いており、遊び心と、片手で引っ張ることができるといった実用性も兼ねている。
クライン ダイサム アーキテクツ、入江三宅設計事務所、事業者・運営のアトリウム、家具や什器制作の丹青社の方々。
【toggle hotel suidobashi】
事業主:アトリウム
運営:アトリウムホテルマネジメント
所在地:東京都千代田区飯田橋3-11-4
Web:togglehotel.com/suidobashi

建築デザイン監修・内装デザイン:クライン ダイサム アーキテクツ
設計・監理:入江三宅設計事務所
ブランディング・グラフィックデザイン:artless
FF&E:丹青社
施工:北野建設

構造・規模:S造/地上9階建
敷地面積:544.10㎡
延床面積:3,087.82㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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