中佐昭夫/nafによるパナマ領事館も入居のオフィスビル「Village on the Building」
Nakasa Akio / naf, Neoplus Sixten Inc.
15. 12月 2016
Photo by Neoplus Sixten Inc.
中佐昭夫/ナフ・アーキテクト&デザインによる東京 港区のオフィスビル「Village on the Building」を見学してきました。
大江戸線赤羽橋駅、南北線麻布十番駅から数分の場所。
敷地面積334m2、建築面積232m2、延床面積963m2。RC造地下1階、地上5階建て。
1~2階にはパナマ領事館が入居し、3~5階にはオーナーの弁護士事務所や司法書士事務所などが入居する。
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でこぼことユニークな外観は、2色のタイルといくつかの切妻ボリュームがつくりだしている。
通常、道路や北側などの斜線規制に掛からないように、水平・垂直ラインで建てると薄茶色の階段状のボリュームのみになるが、斜線の内側に勾配屋根のボリュームを作られることを「発見した」と中佐さん。
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切妻ボリュームの中はもちろん角形の “本体” と繋がっているが、敢えて屋外階段をいくつか設け、バルコニーを繋ぎながら離れのような存在で建物内でも少し性格の異なる空間としている。
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敷地の角に面したエントランス。右側にオフィスビルではあまり見掛けないシルバーのポールが据え付けられているのは、領事館としてパナマ国旗を掲揚するためだ。
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エントランスホールは2層吹き抜け。左にエレベーターや階段室へ。1階奥と、右の階段をあがるとパナマ領事館へ。壁面のサインが建物のシルエットになっている。
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パナマ領事館のエントランス。この扉の向こうは治外法権だ。領事館内のインテリアは特に中佐さんは手掛けていない。
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2階からエントランスホールを見返す。
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外観で見えた屋外階段で3階へ。
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3階バルコニーからさらに屋外階段で4階、5階へと続く。
右の切妻ボリュームの3階部分は弁護士事務所の所長室。その上は予備室。
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3階、沙門外国法事務弁護士法人のオフィス。スペイン人のオーナーであり所長の依頼によりアイストップにビビッドな太陽の差し色が入る。
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躯体に埋め込むことが出来なかったエレベーターのパネルは、外付けになるならとしっかり家具のように製作した。
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所長室。ここにもオレンジや赤の差し色。
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ここが3階のバルコニーだと忘れてしまいそうなカット。
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4階。一層ずつシーンが切り替わる。
4階は関連の会計事務所、司法書士事務所、行政書士事務所とミーティングルームが入る
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都心でビルが多いため、少し場所を動くだけで街の見え方も変わってくる。わざわざ屋外階段で移動することで得られる小さな都市体験だ。
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5階。中佐建築特有のカーブした壁はここに現れた(!)
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中は、応接や会議のほかパーティーなどのにも使える多目的空間。
ここも切妻ボリュームで、斜線に掛かる部分を弧を描きながらナイフで切り取った格好だ。
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一角は樹脂モルタルでテクスチャーをつけ、空間が単調にならないように。
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このビル唯一の南側開口はリビングのような空間。オフィスの南側に開口を設けても熱環境的に良い事はない上に、結局殆どブラインドを締め切ってしまう。それならいっそ階段室やエレベーターホール、設備を全て南側に寄せた。
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ガス暖炉、ベイマツのフローリングと家庭的な雰囲気。
右はラーセンによるデザインの “エリザベスチェア”。滑らかな革に、包み込まれるような座り心地が最高だった。
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最後に地下へ。
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領事館が入居することが前提であったため、駐車場のスペックは「メルセデスのSクラスが5台停められること。」が条件だった。
そして奥の扉もカラフルで、特注塗装してもらった変電ボックスが目を引く。
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オーナーのモントロ・ミゲルさんを挟んで中佐昭夫さん(右)と、担当の天野徹平さん(左)。
モントロさんは「2年前いくつかの気になる建築事務所に連絡をしました。私の日本語があまり良くなかったのか皆相手にしてもらえませんでしたが、中佐さんだけは誠実に対応してくれました。タイトなスケジュールでしたがとても丁寧に私の話聞いてもらい、素晴らしいアイデアの建物が出来ました。」と話す。
「モントロさんからはどこにでもあるような箱型の建物は避けて欲しいとお願いされました。法規の厳しい都心部では規制によって外観がほぼ決まってしまいます。斜線で使えなくなるようなスペースを隅々まで利用することで立体的に構成し、山に根ざした村のような建物が生まれました。」と中佐さん。
設計:中佐昭夫・天野徹平/ナフ・アーキテクトアンドデザイン
構造設計:なわけんジム
設備設計:EOS plus
施工:田久保工務店
沙門外国法事務弁護士法人:www.samon.jp/jpn
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