相坂研介による「あまねの杜保育園」

Neoplus Sixten Inc.
29. 9月 2015
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積2,051m2、建築面積1,067m2、延床面積1,493m2。S造2階建て。

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城壁のようにも見える外観は園児達を守ること、不審者を心理的に寄せ付けないようなイメージだ。

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 エントランスは東西からそれぞれ、自転車・歩行者と、車での登園に振り分けられ安全に配慮されている。
 

左には建物のコーナーが円弧に切り取られ、閉鎖的にならないように内と外を繋いでいる。
ファサードは押出成形セメント板。

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エントランスは両側が引戸になったピロティになっており、職員室の前を通る。

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ピロティを抜けると外観とは打って変わって開放的な空間が現れる。

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 池、砂場、築山を配した園庭をウッドデッキ、2階の外廊下、ルーフテラスが取り囲む。そして屋上にはブリッジが掛かるのが見える。
 

庇の出幅は2m。園庭に向かってテーパーが付いており、スラブの厚さより薄く軽快感を出し、空がより広く見えるように工夫されている。

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 建物の白い部分が幅1.3mの壁柱で、その間に各室内空間が納まる。
 

正面上部の塔屋とそのヴォリュームが外観で突き出して見えた部分で、屋根にはソーラーパネル設え、池の水を循環させる電力を得る。

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 子どもが好きそうな築山。
またルーフテラスに降った雨水は2階のタンクに集められ、滑り台の下に見えるパイプから川に流される。

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1階には事務スペースのほか、0歳〜2歳児の保育室。保護者や園児は土足のまま保育室までアプローチできる。

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石の感触も楽しんでもらいたいとのことから、水道の水受けには職人が一粒ずつ丁寧に埋め込んだ玉砂利を洗い出し、グレーチングには石が接着されている。

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 0歳児の保育室のみ床がコルク張り。また受け渡しもしやすい場所で、避難口も備わる。
 

(写真に映るのは0歳児ではなく内覧会に遊びに来ていた子どもたち)

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地域からも様子が伺えるよう、開口に面した庭やフリースペースが備わる。

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3〜5歳児(幼児)の食堂。奥に見える調理室は床レベルを下げ、食育のため子どもが作業を見られるようになっている。

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動線が交差する部分。

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2階へ。ダイナミックな空間構成もあえて子どもに見せている。

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二層吹き抜けの高さをもつ遊戯室。集会や卒園式のほか幼児のお昼寝にも使用する。活動的になる幼児は保育室外に移動し、食堂同様シーンを切り替える。

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2階廊下。

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幼児保育室。トップライトも設けられ、活動的な雰囲気だ。

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 天井が傾斜しているのは、この後紹介する屋上に関係する。

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各部屋のロッカーの下には冷気の吹き出し口がある。夏場、築山のトンネルから吸入された空気が、地下で冷やされここから吹き出してくる。
 

孔の径は乳児の小指が入らないサイズ。

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 2階の廊下はルーフテラスへ連続する。

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 ルーフテラスから突き出した3つのボリュームは3階部分のように見えるが、左はエレベーターの塔屋、中央が遊戯室の吹き抜け、右が階段の庇になっている。
 

手前の手摺部分からは築山への滑り台が見える。またデッキには夏場プールも置かれていた。

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「ひな段テラス」。屋外でのイベント、発表会などに利用できる。

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右を見るとスロープでさらに上へ上がれる。

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 ルーフテラスにも庇が3ヶ所。日陰があれば真夏や雨でも屋外活動が可能だ。

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ルーフテラスには菜園を設けた。
 

幼児の部屋で見えたトップライトは10mm+10mmの合わせガラスを採用。

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 屋上菜園や、二重床になった全面ウッドデッキは断熱にも大きく貢献する。

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 必要不可欠な設備ではないがブリッジを架けることで回遊性が生まれ、視点も大きく変わることで園児の活動は広がる。

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ブリッジから。保育園と、同時期に計画された整備中の市営グラウンドが隣に見える。そのため運動会等はグラウンドの利用が可能になるため園にグラウンドは必要ないと提案したそうだ。
 

また、さらに奥に見えるのは大学の桜並木なので、ルーフテラスから借景を楽しむことも出来る。

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 ルーフテラス最上部(左は遊戯室の吹き抜け)。今後手前と奥の庇のフックを利用してロープを張り、アスレチック遊びができるようにする。

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 園庭を見下ろす。砂場、池、築山はそれぞれ楕円形で優しいフォルムなのが分かる。

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相坂研介さん。「コンペの後、園とは二人三脚で計画を進めてきました。第一に安全性、子どもを守るということ。それだけでは閉鎖的になりがちですので、外部や地域との接触部分もバランス良く設けています。」

「内部は園庭を中心にどのフロアまで行っても高い回遊性を有し、子どもを活動的にします。色彩に関しては子ども向け施設だからといって原色を使わずに、木や石など自然の色に囲まれた、大人でも十分楽しい空間体験をしてもらいたいと考えています。」

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