伊藤博之による江東区の「辰巳アパートメントハウス(塔の躯体)」
Neoplus Sixten Inc.
13. 4月 2016
Photo by Neoplus Sixten Inc.
伊藤博之建築設計事務所による江東区の「辰巳アパートメントハウス(塔の躯体)」の内覧会に行ってきました。地下鉄東西線/大江戸線 門前仲町駅から直ぐ。SDレビュー2015鹿島賞(最優秀賞)受賞作品。
敷地面積59m2、建築面積48m2、延床面積388m2。RC造(一部鉄骨造)10階建て。1・2階はテナント。9・10階はメゾネットで全7住戸の集合住宅。
右側工事中の敷地はarchitecture WORKSHOPによる複合施設「モンナカプロジェクト(仮称)」。
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鉛筆のように屹立する建物は建蔽・容積率共に一杯。
大通りに面し、下には地下鉄、すぐ近くには首都高速も通ることから振動による揺れが懸念された。その為鉄骨造ではなくRCでしっかりと造ることが前提だった。
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そしてその基礎は、柱状杭に加え、支持地盤まで届かせるように50mの深さにアースアンカーを打ち込む必要があった。
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写真のように敷地面積に対して3~4階建てが見慣れたボリューム感だろう。
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しかしこの建物は10階建て。快適な住環境を当然とするには様々な工夫が必要だったという。
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1階共有部。各階1住戸なので、住人は自室フロアのみにエレベーターで上がれる。
外部階段とエレベーターシャフトは、鉄骨とアスロッック(押出成形セメント板)で構成されれいる。
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〈9階〉
エレベーター前はデッキ張り。そこから玄関へ。
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入って右を見る。
床を窪ませることで(=梁が床上)、梁が腰掛けになり構造がそのまま居場所に。
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梁・柱は下階にいくほど太くなる。ここ9階の床では梁成は500mmで、窪みを450mmにしてテーブルを置けばダイニングになるし、背もたれのある床座りも快適だ。
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シチュエーションが想像できるようにと、訪れていた見学者の方に度々撮影に参加して頂いた。
背景の路地奥には富岡八幡宮の緑が望める。
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収納も容量たっぷりに設えてある。
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メゾネットの上階(10階)。
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フローリングとモルタルと仕上げが異なる。
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モルタル側はインナーバルコニーの趣。都道上野月島線と永代通りの交差点を見下ろす位置だ。
窓は左サイドが少しだけ片開きできるようになっている。
(賃料298,000円、約69m2)
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〈8階〉
9階床の凹凸が天井に現れている。柱のサイズに合わせた収納。
(8階以下の賃料は130,000円前後、約34m2)
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出来るだけ広く見せようと、がらんどうに作りがちなワンルーム賃貸だが、ここには当てはまらない。
右手(北)や奥(西)の外壁はアスロックも使われ軽量化している。
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〈7階〉
柱と収納によって生まれた窪みがベッドスペースにできる。(マットレス、テーブルは内覧会用)
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〈6階〉
ここでは梁成650mmで、床の窪みは550mmになる。腰掛けにしては高く、床に座ると妙に落ち着くこの高さは何だろうと考えたら風呂に近かった。
奥はベッドスペースになるよう、柱・梁からふかし、部屋を若干狭くしてでもそのサイズをとった。ふかした両サイド・下部の中は収納になっており無駄にはなっていない。
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〈4階〉
4階になると梁成750mm、柱は奥行650mm×幅800mm。床の窪みは690mm取り机に変わっている。収納も柱に合わせサイズが大きくなっている。
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キッチンの下は配管が横へ伸びていた。
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窪みに座るとこのように見える。奥がベッドスペースで、柱に合わせた収納のルールから天袋が生まれている。
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撮影にご協力頂いた3人は、すっかりポーズ取りに慣れた様子だ。
ありがとうございました。
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ここで改めて外観を見ると、様々な開口は全て室内のデザインからきているのがよく分かる。「微差を積み上げ変化を持たせた。」と伊藤さん。
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2階テナントスペースには、プロポーザルの最終選考まで残った那須塩原駅前複合施設の模型が展示されていた。
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伊藤博之さん。「周辺環境によるRC造ですが、小さなワンルームでは必然的に柱や梁は存在感のあるものになります。これらを平面的にも断面的にもくぼみとして捉え身を寄せられる居場所を考えました。くぼみの深さを住み手は使いこなしながら、躯体そのものを生活のより所になってもらえたらいいですね。」
設計・監理:伊藤博之建築設計事務所
構造:佐藤淳構造設計事務所
電気:EOSplus
空調衛生:村瀬豊
施工:サンユー建設
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ちなみにこの日は近くで「深川さくらまつり」が開催されていた。和船に三味線の演奏というなかなか味のある演出。