写真 © 矢野紀行
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写真 © Toshiyuki YANO

E-2

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場所
東京
2018

屋上にオープンスペースを備えた二階建ての共同住宅。2016年に竣工した隣地の「A-1」とオーナーが同じであり、「E-2」と「A-1」の関係を、近隣住宅や前面道路も含めた周辺環境全体の中で考えることから計画がスタートした。
賃貸物件であることから収益に必要な面積を確保しつつ、高さを2階建てに抑えることで、周辺に対する日当たりや見晴らしへの影響に配慮している。屋上にあるオープンスペースは、「A-1」の3階にあるオーナー住戸と同じ高さに揃えてあり、四季によって表情を変える草木の庭として設えることで、オーナー住戸の窓からだけでなく、近隣住宅からも楽しめる空中の緑地としている。

共同住宅の間取りは全てメゾネットで、3つのボリューム(=3世帯)に整理し、グレーゾーンと呼ぶ隙間空間を介して連続させている。それぞれのボリュームは、コンパクトな近隣住宅の建築面積を一回り小さくした程度で、それらによって3階のオープンスペースを支えている。3つのボリュームは周辺住宅と近接しているため、窓は視線に配慮した型板ガラスにして必要最低限の面積とし、外壁は周辺住宅に使われているのと同様のサイディングで仕上げてドライな表情を持たせた。グレーゾーンは3つのボリュームへ出入りする動線やバルコニーになっていて、その部分の窓は透明ガラスにして最大限の面積をとり、そこから3つのボリューム内部へ間接的に光を導くようにすることで、プライバシーの確保を試みている。こういった空間構成・開口部の作り方・素材の選び方は、「A-1」のルールを踏襲している。

大正末期から昭和初期に住宅地としての開発が始まったと言われているこの地域では、宅地内の豊かな緑によって落ち着いた住環境が保たれているものの、古い大きな住宅が取り壊されて更地になり、それが細分化されて高密度な住宅群になるという流れの中で、緑が徐々に失われつつある。一定以上の規模であれば区が定めた緑化条例が適用されるが、細分化された住宅では適用されないことが一因と考えられる。

一方で、グリーンマップを作成するなど、住環境を維持してゆくために20年以上前から活動している地域のNPO法人もある。「E-2」「A-1」のオーナーと同じように、行政に頼るというよりも、住民それぞれができることを地道に拡げてゆくという考え方だろう。

「E-2」と「A-1」を合わせると敷地面積は280.51平方メートル、延床面積は426.70平方メートル、世帯数は7に拡がる。両者の間に生まれた2mあまりの隙間は前面道路から引き込まれた細い街路のように奥へ伸びて、各世帯へのアプローチとして機能する。日当たりは良くないが、耐陰性のカエデやシダのある露地としてむしろ積極的に整えることで、日当たりの良い屋上のオープンスペースとは対比的な緑地をつくっている。

「E-2」が竣工してしばらく経ったある日、ロールスクリーンが閉めっぱなしになっていた近隣住宅の窓辺の様子が変わったことにオーナーが気づいた。ロールスクリーンが上がり、「E-2」屋上に育った草木に呼応するように、窓台に観葉植物が置かれるようになったとのこと。ちょっとしたことだが、計画意図が近隣に伝わったことを表すエピソードとして、嬉しく思った。

-中佐昭夫-

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