中京の家

京都府京都市
Foto © Yasunori Shimomura
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Architetti
クル | KURU Co., Ltd.
Sede
京都府京都市
Anno
2018

(I House)

クライアントは旧知の仲でもあるデザイナーであり、カナダ人のご主人もアーティストという美意識の高いご夫婦。
学生時代に過ごした京都を定住の地に選ばれ、間口7m奥行34mの細長い敷地にクライアント自らプランニングした住宅の設計をサポートしてほしいとの依頼から、共同設計プロジェクトとなった。
コンセプトはRC造の京町家。京都特有の奥に長い敷地形状に対して、伝統的な京町家の坪庭と奥庭を配置した間取りをRC造によって現代的に再解釈することを目指した。

そこで、建物の平面形状は京町家に倣った細長い矩形とし、建物中央に坪庭にあたる吹抜けテラス、敷地奥に水盤を配した奥庭、そして、奥庭を望む2階にキッチンを配置し、その上部の大きなトップライトによって視線の抜けを獲得した。このキッチンは「おくどさん」と呼ばれる半屋外的な京町家の空間の再解釈であり、外部に閉じた京町家にあって坪庭・奥庭とともに抜け感や自然を感じる仕掛けと考えた。坪庭・奥庭・おくどさんのこの3つの屋外的空間を適切に配置することで、町家らしい心地よい私的空間と現代的な解放感のある空間を同時に実現している。

一方、全体の構成はRC造の幾何学的な箱型としたが、京都の伝統ある街並みに馴染ませるようファサードには切妻の瓦屋根や下屋、障子戸など京町家の意匠を配置。また、寒暖差の激しい京都の気候に適応するため外断熱工法を用いることでコンクリートの表情を覆い、より周辺の街並みに馴染むように工夫した。室内はRC造のすっきりとした現代的な収まりを目指しつつも、近年の無機質すぎる表情を避け、あえて使用済みのコンクリート型枠を用いることで独特の力強さと物質感のある仕上がりを実現している。

アーティスティックなクライアントらしく質感やディテールに様々なこだわりを頂いたが、そういったこだわりに寄り添い一つ一つ丁寧に実現することでモダンながらも京都らしさも彷彿させる空間が実現できたと考えています。

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