浅利幸男 + 長崎剛志による集合住宅「神楽坂薫木荘」

Neoplus Sixten Inc.
14. marzo 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.

建築面積66m2、延床面積 177m2、木造地上3階建て。全6住戸の長屋。
奥まった旗竿敷地。27mほどある竿部分が魅力的なアプローチとなるよう庭園美術家である長崎剛志(N-tree)とコラボレーションした。

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アプローチはカタログにないようなオリジナルの庭をという要望があった。有機的にデザインした小道には様々な石が使用され、手前は丸みのある自然のままの石、奥に行くにつれて堅い印象の諏訪鉄平石、そして住戸の前では深岩石を整列させアプローチに変化を持たせた。
両脇に植えられた植物はすべて常緑樹で、南天、ツゲ、サカキ、ヒサカキなど十数種類が選ばれている。

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住戸前に設置された「木」も長崎剛志によるオブジェだ。製材された木をフェイクとしてもう一度生木に戻すというコンセプトで、角材の表面に杉皮を貼っている。施主である木材会社(大和木材)のプロジェクトであるというシンボルであり、そして同じ杉を使っている建築と庭を緩やかにつなぐものであり、このオブジェを通して全体がひとつのストーリーになる。
また隣地の塀が気にならないよう視線を逸らす効果も狙った。

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住戸は1・2階もしくは、1・3階を利用したメゾゾネットが交互に並んでいる。
ファサードは薄めの焼杉。施主の製品である木材をふんだんに使った建物で、木の構造も見せたいところだが、準耐火が求められるので構造は現しに出来ない、或いは燃えしろ設計が必要ということである工夫を施した、、、

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2号室と4号室(写真は4号室)のエントランスに見える階段がそれで、かなり太い桁板が構造部も兼ねる燃えしろ設計による無垢材の階段だ。ほか居室に現した無垢材の柱は構造でありながら、構造計算には含まれないようにした。

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木材会社の物件に相応しい力強い階段となった。ちなみに6段目と8段目の踏み板が下足置きとして使えるように奥に延びている。

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「賃貸だからこのくらいでいいでしょう」とはしたくなったという浅利さん。賃貸は住み手が不特定だが、これまで手掛けた集合住宅は「浅利幸男物件」として愛着を持ってとても丁寧に使ってくれている方も少なくないそうだ。そういった意識の高い借り手をリスペクトし、仮想クライアントとしてイメージしながら、たとえ少ない要素であっても、建具、家具、手摺一つ一つに丁寧にデザインの要素を効果的に落とし込んだ。

例えば、、、

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ツートンに塗り分けた水回り。ミラーキャビネットではなく、円いシンプルな鏡を一枚取り付けた。

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3階へ上がる途中、簾戸のような下足入れや、

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オブジェのような手摺。上から差し込む光の中、階段室を単なる通路としてだけでないように考えた。

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通路を抜け、居室に上がると、光に包まれたモノトーンの空間。下階とは異なり両面への抜ける開放感など空間に強弱をつけた。

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「飽和状態の賃貸物件で面積や設備などのスペック、家賃で差を付けるのは難しい。文章や数字では説明できない部分、つまり住み手が生活シーンをイメージ出きて、印象に残るような効果的なムード作りが重要だと思う。」と浅利さん

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近隣が迫っているが、塀などで隠すのではなく、印象的な庭をつくることでそれらの気配を極力減らすことが出来た。

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右から長崎剛志さん、浅利幸男さん、担当の石毛正弘さん。
浅利さんと長崎さんは20代の独立したての頃からの知り合いで、今回初めて協働が叶った。現在複数の協働プロジェクトが進行中だという。

神楽坂薫木荘公式サイト(Webデザイナーとチームを組んで相応しいイメージを作った)
http://kagurazakakunbokusou.com

【神楽坂薫木荘】
設計監理:浅利幸男、石毛正弘(ラブアーキテクチャー一級建築士事務所)
造園:長崎剛志(N-tree)
施工:株式会社八幡
プロデュース:座光寺商店株式会社

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