hotel Siro

Mount Fuji Architects Studio
5. ottobre 2020
All photos by Neoplus Sixten Inc.

原田真宏+原田麻魚/マウントフジアーキテクツスタジオによる東京都豊島区のホテル「hotel Siro」。池袋という “街” そのものを受け入れるように身を置いた建物に、宿泊者自らも身を置き、箱の中に泊まるのではなく “街” そのものに泊まることのできるホテル。

地上10階建、2階から10階に全41の客室があり、建築設計と1階ロビー・8階〜10階の客室をマウントフジ、5階〜7階の客室をSO,u、2階〜4階の客室をCAPD+WA-SO designがそれぞれ手掛けた。剥き出しのスラブと、それに取り付くような階段といった、共用部はほぼ全て外部にある。
階段は街に飛び出し、その存在で周囲のホテルとは圧倒的に異なるファサードを形作っている。
階段は、螺旋、折り返し、直、カーブと様々な種類が設置される。回る向きが一定ではないので、例え上階から下階に一気降りても目が回りにくい。
上階ではどのような光景が見えるのか楽しみだ。
エントランス。雑踏の中にあって異例ともいえる植栽がオアシスのように感じる。右の高圧キャビネットをホテルの看板として利用している。
ホテルのキャラクター、白梟が左上に見える。
1Fエントランスホール。チェックイン・チェックアウトは左の端末で行い、そのほかのサーピスをレセプションで対応する。
ホールはロビー兼カフェになっており、イベントなどにも利用できる。エントランスと右手の開口も全開にできるので、その賑わいを街へと開放することもできる。
「CAFE 白梟」。アートワークはKIGIが担当。
「hotel Siro」のSiroは「白」。グラフィックやホテル内の様々なアイテムに、白を象徴する白梟とカラーをモチーフとした。
エキスパンドメタルで包まれたエレベーターで8階へ。
8階。通常「エレベーターホール」と言いたいところだが、ここは屋外だ。そして例の階段が目の前に。
見事に街へ飛び出した階段。
これだけでエンターテインメントの要素十分。
この階段は街をそのまま上へ吸い上げる象徴でもある。
細かな部分に目をやると、シンプルなデザインのなかに各仕上げ材が緊張感を持ってせめぎ合っている。
客室へは外部廊下からアプローチ。
802客室。出入りは引き戸だ。他の宿泊客が前を通るにも関わらず、透明のガラスで且全開にできる。縁側、そして土間という日本の伝統的な様式を彷彿させる。(2階〜7階では鉄扉)
欧米の客は土間で下足を脱ぐだろうか。「必要なら説明を添えるが、靴を脱ぐ日本式の生活を少し体験して欲しい。」と原田さん。
開口には障子がつき、土間との仕切りにもカーテンがつくためプライパシーの確保には全く問題ない。
取材時、隣地でもホテルを建設中であった。ホテルの開口から巨大なクレーンが覗くシュールな光景。縁側越しにこういった風景を望むのも日本での体験だ。
縁側(廊下)も部屋の一部と化し、プラスアルファの広がりを獲得できる。
水回りにも外光が入りとても明るい。
1室1泊¥10,980(2020年10月現在)
1002客室。10階には2室のスイートルームがあり、廊下の奥側であるこちらは木扉で仕切られ、廊下も専有部となる。
通常、ビジネスホテルやシティホテルであれば、廊下は屋内でほとんど窓はない。そして扉を一枚開けて客室へ入り、一方に四角い窓がポツンとある。浴室も大抵部屋の内側に配置され窓はない、そしてインテリアや仕上げで差別化を図るのがセオリーだろう。
しかし間口が狭く奥行きの深いこの敷地で、セオリー通りの設計をしても窮屈なホテルが建ち上がるのは明らかであったため、原田さんたちは「セオリーをひっくり返すような提案を受け入れてもらえないのであればこの仕事は受けられない。しかし受け入れてもらえるなら本気でひっくり返し、徹底的に爽やかにする。」とはじめにクライアントに話したという。そこで廊下に外壁をなくすことで、客室を広く、両面を開口でき、採光も開放感も十二分に確保できるようになった。
もちろんこれだけ開いていても見えるのは池袋の繁華街だけだが、それを肯定的に捉えることでホテルのあり方が全く変わる。
前述のセオリー通りのホテルでは「どこに泊まっても同じ」だが、ここに泊まれば街と一体となり「池袋に泊まった」という記憶ができる、ということを狙ったのだ。
一方雑踏を避けたければ、このように穏やかな空間に変えることもできる。
下足を脱いで、障子を閉め、裸足でちゃぶ台の横に座ってテレビを見る。外国の宿泊客にも日本を、池袋を感じてもらえる演出。
水回り。ゆったりと二口の洗面。
坪庭と空を眺められるジャグジーが備わる。
1室1泊¥21,980(2020年10月現在)
1001客室。この客室はマウントフジが設計した客室では唯一、引き戸ではなく鉄扉のタイプだが、吹き抜けの階段室から屋上へ出られる。
“池袋” に向かって浸かるジャグジー。
階段室はトップライトとして光も導く。
屋上にはグランピング施設が広がっていた。1001客室に泊まればこちらも利用可能というから驚きだ。テントではもちろん寝泊りができ、アウトドアリビングにはガス暖炉のほか、ジャグジー、シャワーも備わる。完全な屋外で池袋を全身で体感し旅の思い出を作ることができるだろう。
1室1泊¥27,980(2020年10月現在)
原田真宏さんと、原田麻魚さん。

「我々が実現したかったのは、訪れた『街』そのものに泊まるホテルです。街並みが積み重ねられたかのような構成で、街路から直接つながる特徴的な階段を上ると、そのまま路地のような外廊下があります。部屋はこの路地的な外廊下に直接面していて、伝統的な日本旅館のような縁側アクセスと土間を持つ部屋の構成は、新しくもあり懐かしくもあります。障子と引き戸を開け放てば、池袋の町並みが眼下に広がり、旅の“只中”にいる自分を豊かに感じることができるのではと思います。」(原田真宏)

「ホテルとはその宿泊客のためであることが基本ですが、ラグジュアリーな機能やサービスだけではなく、もう少し都市のためであったり、環境のためと考えることができたら、それは良いホテルとなり、最終的には宿泊客のためになり、良い宿泊客が自然に集まるのではと考えます。」(原田麻魚)
【hotel Siro】
建築設計 : MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO
コミュニケーションデザイン+グラフィックデザイン : KIGI
構造設計 : 三原悠子(Graph Studio)
設備設計:テーテンス事務所
施工 : 藤木工務店 東京支店
構造 : 鉄骨造

規模 : 地上10階建て
敷地面積 : 170.78㎡
建築面積 : 107.18㎡
延床面積 : 962.47㎡

hotel Siro:https://hotel-siro.jp/

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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