前田茂樹によるノルトロック・ジャパン新社屋

Neoplus Sixten Inc.
26. giugno 2015
Photo by Neoplus Sixten Inc.

西側ファサード

ノルトロックグループは、スウェーデンに本社を持つボルトやワッシャー等の製品を扱う国際企業です。今年4月より、ノルトロック・ジャパン本社が大阪市内から、スウェーデン本社のようなより自然の多い環境の大阪府箕面市彩都へ移転。移転してきた理由は、ノルトロックが今後非常に大きな製品を扱うことになるため、倉庫のスペースを拡張する必要性があることと、働く環境をビルからより人間性を持てる環境にしたいということから。

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東側ファサード / 正面エントランス
 

あたかも段々状の敷地に大屋根を掛けたかのような印象。

計画地である箕面市彩都(さいと)は、国際文化公園都市、北部山間部に現在開発中のニュータウンがある。彩都と同じ大阪モノレール路線には、万博記念公園や大阪大学があり、大阪都市圏のベッドタウン、高級住宅地として発展している。ノルトロック・ジャパンの新社屋は、その新興住宅地に計画された、敷地の緩やかな傾斜を利用して、地形に沿った伸びやかな建築だ。

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正面エントランス

家のような落ち着きのあるエントランス。ガラスをセットバックして控えめに。

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内部エントランス / 受付 (撮影:繁田諭)

建物の中央に中庭が配置され、内部は優しい自然光に包まれた空間に。


土地の勾配が3〜4度ほどあり、過度な造成を行わず小さな居場所造りをし、地形に合わせて物が流れやすい回廊式配置に。

車庫→試験室→作業室→会議室→オフィス→社長室
エントランス→オフィス→社長室→会議室→作業室→試験室→車庫

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少し進み左を向くと奥にはスタッフのオフィス。

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通路を奥まで進み、エントランスの方を振り返って見る。
左の部屋は作業室。

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エントランス奥の長い通路。右手の扉は、手前か試験室、会議室、キッチンと並ぶ。通路の最奥には社長室が配置されている。

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(撮影:繁田諭)
更に奥へ進み、振り返る。中庭は植栽やベンチが設置され、職員の休憩場所に。

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グラフィックデザインは、永易 直樹/ FARVEが手がけられた。
字体の色はノルトロックのロゴの色と合わせている。

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会議室

パーティションで二部屋に別けることが出来る。
窓から見えるのはモノレールの線路とマンション群だが、これらを"借景"にして日が落ちると『銀河鉄道の夜』のような景色に変わるそうだ。

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キッチンとダイニングルーム

キッチンとダイニングルームは必須項目として注文があったそう。欧州ではほとんどの会社にキッチンが設置されており、スウェーデンの企業であるノルトロックも例外ではない。朝と午後にフィーカと呼ばれるコーヒーを皆で飲む習慣があり情報交換の場となっているようだ。
ダイニングには薪ストーブがあり、パイン材で組んだ製品箱の廃材を燃料に活用させる。キッチンの外にはデッキと植栽が加わる予定で、季節の良い時期には外でも食事が愉しめるようになっている。

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キッチンから内を見る。奥はオフィス。
照明は、ライティングデザイナーの永冨 裕幸 / NEW LIGHT POTTERYによるもの。

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社長室

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オフィス

働く場所は大らかな空間になるように一人1つの窓を配置。元々のオフィスのイメージよりよく配置出来るように一人一人のワーキングスペースを広く提案した。これは、前田氏自身がパリの事務所で働いていた時の環境や経験が活かされているようだ。

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什器は合板の造り付け。一人一人スペースを持ちつつ、隣同士の気配を感じとれるように壁となる本棚に開口を造り、立つと全体が見渡せコミュニケーションがとれるように什器の高さは1.2mに抑え、窓枠高さなどとも揃えている。

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昼と夜とで使い分けが出来るように2種類の照明を設置。

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オフィスから見た通路

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扉奥は更衣室やトイレ。

空間構成と天井の高さや通路の幅から落ち着きのある凛とした空間。前田氏に伺ってみると、南仏プロヴァンス地方のル・トロネ修道院の中庭を回遊するような感覚を思い出しながら設計したとのこと。

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前田茂樹氏
『必要とされる用途を、出来るだけその敷地の中の時間(地形が持っている居場所の豊かさ、南北に抜ける卓越風や自然光)に添わせる形で、美しくかつ最小限の建築操作で造ることは、都市や地域のインフラを造るようなものだと感じています。風景として美しい土木構築物やインフラは、都市地域に新たな地形を創り出すようにも思います。』

 

設計監理:ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ(前田茂樹 木村公翼)

照明計画:NEW LIGHT POTTERY (永冨裕幸)

サイン計画:FARVE (永易直樹)

構造計画アドバイザー:満田衛資構造計画研究所

施工監理:新名工務店

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